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2010年9月30日木曜日

カリフォルニアのコミュニティー・カレッジ情報 (その2)

昨日のエントリ「カリフォルニアのコミュニティー・カレッジ情報」に関して、今度はAccombeeの今泉さんからも貴重な体験談をコメント欄へいただきました。

コメント欄をみていただければよいのですが、わざわざ見ない人も居るようなのと、このような良い情報がうもれてしまうのはもったいないですから、エントリとして扱わせていただくことにしました。

今泉さんはZOICで勤務する傍ら、Acombee社をたちあげ、現在「ハリウッド現役アーティストによる日本語オンラインVFXクラス」の準備を進めています。



では今泉さんからのコメントです。
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    自分の経験も少し役に立つかも知れないので、コメントさせていただきます。
    僕はDiablo Valley College>California State Univ. Northridgeと、いわゆる普通大学を卒業して業界に入りましたが、学校ではCGのクラスは一切取りませんでした。
    上記でコメントされている方のおっしゃるとおり、一般カレッジで専門的な知識を学ぶにはあまりにもレベルが低く、数日受けてすぐ「あ、こりゃダメだ。」と自習に切り替えて勉強しました。(5,6年ほど前の話です)
    その代わりにカレッジでは手描きのアートの授業やアートヒストリーなどを重点的にとる事にしていました。
    自分の場合は、VISAを取るために学位が必要だった事があって大学を卒業しましたが、CGの専門知識を学ぶ為に、長時間特定の場所に「所属して」勉強する必要はあまりないのではないか、と思っています。


-----(以上)--------
今泉さん、どうもありがとうございます。




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私(Melon)の経験
ところでコミュニティー・カレッジではないですが、自分の経験もちょっと書いておこうかなと思います。
私は日本で10数年働いた後、漠然とハリウッドを目指し始め通勤時間や休日を利用して独学でCGの勉強をしていました。
勉強中に、入門書にかいてあることと違うことが起きたり、バージョンが違って行き詰まったりと思うように勉強が進まず、なかなか基礎をみにつけるところまでいきませんでした。
今から9年近く前のことですから、チュートリアルも入門書も限られた物しかありません。
DSLもはじまって数年しかたっていない頃でしたから、インターネットで答えてくれる場所もほとんどありません。
身近にCGを知っている人は皆無だったので、どこか、自分の自習を助けてくれるところ、少なくとも本当に基本的な部分を少しでも理解するまで何らかのヘルプが必要だと感じていました。
ある日、某専門学校にロサンゼルス校(後に閉校)があることを知り、そこからハリウッドへの就職につなげられるかもしれないと思ったのと、失敗して日本でやり直すとしてもギリギリの年齢だと思ったので思い切って留学することにしました。

コースは6ヶ月の基礎コース、宣伝がうますぎるのでお金目当ての専門学校だろうと最初から思っていました。
ですから、授業の質などは最初から求めていませんでした。
行く目的は、あくまで基礎を身につけるきっかけ作りと、就職への足がかりです。

その某専門学校の東京本校では就職への手厚いサポートが売りだったので、アメリカ校でもきっちりサポートしてくれるのではないかと思いました(あとでこちらの勝手な思い込みだとわかりましたが)
最初は3ヶ月で良いと思っていたのですが、あいにくそこまで短いコースは無かったので無理に借金をして6ヶ月コースを取りました。

いまだから言いますが、当時はアメリカで就職するのにVISAが必要だとは知らず、卒業間際にそのことを知り愕然としましたw
まぁ、知らなかったからこそ、留学までして、一生懸命勉強に集中できたのかもしれません。

学校へ行っている間は、授業では最前列に座り、一言も聞き逃さないようにしていました。
たいした授業でないなら、「その内容をすべて理解できていない自分」はもっとたいしたことが無いですから。
行き詰まったりするとティーチングアシスタントの人が助けてくれ、質問にも答えてくれて、Mayaを勉強する上で、最初の後押しとしては、まぁ満足行く物でした。

アパートでは学校の復習をして、出たばかりのMayaの英語の入門書とAliasのMaya本で自習、また唯一の日本語であるオンラインヘルプを、最初から少しづつ読み進めていきました。
当時はオンラインのチュートリアルサイトなど無く、GnomonのDVDぐらいです。
英語は理解出来ないばかりか、DVDを買うお金もありませんでしたから、その本とヘルプがすべてでした。
文字通り寝る間も惜しんで勉強しました。
学校では、デッサンのクラスなども取りました。

同級生の大半は授業の質に不平を言っていましたが、最初から授業で自分のスキルをあげてもらおうとは思っていなかったので不平は全くといって良いほどありませんでした。
まぁたしかに、ちゃんとした授業を期待していったなら詐欺みたいな物でしょうね。
だって2時間程度の授業をしてあとは自分で製作ですからねw

今は、オンラインのチュートリアルを始め様々な入門書や、インターネットにも情報があふれています。
ブログやTwitter、掲示板などで質問をすることも出来ます。
だから、今は専門学校へ行くのは本当にもったいないという気がします。
唯一の利点は、同じ目的を持つ良い仲間にであえれば刺激になり、元気づけられます。

自分は専門学校へ行きましたが、自分にはその道しかなかったからです。
もっと長期の学校にいくための、お金も時間もなかったからです。
年齢的にも最初で最後のチャンスだったと、今でも思います。

今から専門学校へ行くことを考えているなら、よほど良いところでない限りは(もし得られるなら)就職のための援助と、良い仲間に出会うという目的に絞っておいた方がよいと思います。
そこまでお金かけなくても、できそうなことですがw
要するに授業からスキルアップにつながることが学べるのは、あまり期待できないと思います。
あとは自分一人になるとネットサーフィンとかしてしまう怠惰な人向けですかねw
 
スキルの大半は自分でみにつけるもので、人から教えられてみにつく物はほんの少しです。
まぁ、こんなことは本当にやる気のある人は知っていることですね。

 
今回は、学校の話なので以上です。(私が、どうやってVISAの問題を解決して就職したかはまたの機会に。)

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その11)

「本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足」シリーズも今回で11回目となりました。
お気づきかも知れませんが、できるだけ本に書かれている文章は省略し、最低限の引用に留めています。
著作権の関係もあり、本を買わなくなてもすむほどの情報を、こちらにのせてしまうわけにはいかないからです。
あくまで本への補足であり、本書を持っている人を対象に書いています。
しかし、本を持っていなくてもある程度は参考にしていただけるよう、ところどころに自分の考えなどを補足として織り交ぜています。

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Pg58 陥没穴
翻訳:「・・・大気と水のポケットがあります。
原文:「・・・pockets of air and water.

大気というと地球全体を取り巻いている「Atmosphere」を連想してしまい「?」と感じてしまいます。
原文は「Air」です。
おそらく以下のよう訳したほうがわかりやすいでしょう。
空気と水のポケットがあります。


幅50マイル(約80km)に及ぶ陥没穴
これは世界最大の陥没穴、エジプトにある「カッターラ低地」(Map)のことです。
幅120km 長さ80km、深さ133mです。この133mは海面からの距離を示しています。


都市の陥没穴
最近ではガテマラの住宅街で発生した陥没穴が有名ですね。
参照サイト:2のまとめR「グアテマラの街に突然、超巨大な穴が出現


家の中:
参照サイト:Gigazine「ある日突然家の床に巨大な穴

道路
参照サイト:らばQ「道路に突然巨大な穴が出現、でもかろうじて落っこちなかった車…中国
参照サイト:唸声の気になるニュース「道路に穴が開いたら、病院がつぶれた!

ジャングルの陥没穴
ギアナ高地にあるサリサリニャーマ山の陥没穴。


海の陥没穴
参照サイト:Gigazine「神秘的で青く美しい不思議な地形「ブルーホール」の写真いろいろ

燃える陥没穴
参照サイト:「ここが地獄への入り口・・・メラゾーマな炎の巨大クレーター(トルクメニスタン)
炎が発生した理由は、ガス漏れを防ぐために火をつけたようです。(参照


さて、本には「フロリダが陥没穴で有名」と書いてありますが。。。
フロリダ州マルベリー

トヨタカムリを飲み込むフロリダの陥没穴

フロリダの陥没穴の場所を地図で示したものもあります:Florida Sinkhole Maps (英語サイト)
そのほかフロリダ陥没穴関連サイト: Sinkholes(英語サイト)


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そのほか陥没穴をまとめたサイト
5 Giant Holes That Devoured Everything Around Them (英語サイト)
13 of the Biggest, Strangest, and Most Devastating Sinkholes on Earth (英語サイト)
List o' 10 Biggest Sinkholes on the Planet (英語サイト)
巨大な穴の写真特集 (日本語サイト)
陥没する地球: 世界中に出現する巨大な穴(日本語サイト)
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それにしても今回いろいろと調べてみて、この著者はいろんなことを知ってるなと感心しました。

2010年9月29日水曜日

カリフォルニアのコミュニティー・カレッジ情報

今日は、珍しい物を見ることができました。
二重になった虹(Double Rainbow)です。

見晴らしの良い会社からみているので、ほぼ全体をみることができました。
二重の虹をみたのも初めてですが、虹の根元を見下ろすような形でみたのも初めてです。

虹一本の幅は小さな山ほどもあり、主虹の左側から副虹がのびていました。
Wikipediaの説明どおり副虹は主虹にくらべてうっすらしていましたが、長く伸びているのは確認できるほどでした。
その虹の後ろで、稲妻がときどき光、不思議な光景でした。
数十分後に虹は消え、今度はきれいな夕焼けが、これまたLAのビル群に反射して、とてもきれいな景色を見ることが出来ました。
あいにくカメラを持ってなかったので、写真は撮れませんでしたが、ググるとたくさん引っかかりますw ちょうどこんな感じでした。
虹が消えた後に夕焼けになったのは、こちらの記事と同じような感じです。
同じような現象が続けて起きるのは、条件が似ているからなんでしょうね。

このサイトによると、二重の虹を見た人は幸せをもらうそうですが、たしかに見たときは、その壮大さと美しさで、幸せな気分を味わえました。
これから自分がやろうと思っていることもすべて不可能ではないような気持ちさえしてきました。
良い物を見させてもらいました。


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さて、本題に移ります。
先日のエントリ「VFX教育の価格 (Effects Corner)」について、現在カリフォルニアのコミュニティー・カレッジで勉強されているワカモレ・オークさんが、コメント欄にご自身の経験を投稿してくださいました。

せっかくの情報ですので、コメント欄にとどめていては、もったいないのでここに引用させていただきます。

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いつも貴重な情報を提供していただきありがとうございます。

私は現在カリフォルニアのコニュニティー・カレッジに通っているMaya初心者です。これからコミュニティー・カレッジへの留学を考えている人に役に立てばと思い投稿させていただきます。

私が留学しているコミュニティー・カレッジのカリキュラムは就職を目指したものではなく、デジタルツールの基礎を学ぶことを目指しています。幅広いジャンルを勉強するのでゼロから勉強をスタートする人や趣味でアニメーションをつくる人向けかもしれません。

【カリキュラム:デッサン、色彩、写真、ビデオ、デジタルミュージック、メディアアートの歴史、Photoshop、After Effects、Final Cut、WEB、Flash、Maya】

カレッジのFlashとMayaのクラスの教授たちが生徒にアドバイスしていることは、世の中のプロの方たちと同じだと思います。

今まで言われたアドバイスを書いておきます。
「有名大学に入っても就職できるわけではない!勉強しろ!」
「Lynda.comのような安い教材を活用して勉強しろ!」
「学生時代の数年勉強したくらいでアニメーションをマスターできると思うな!勉強しろ!」

結局、基礎は授業で教えるから安心していいけど、就職できるレベルになりたいなら自分で勉強しろということですね。

残念ながら上記のアドバイスをくれたFlashとMayaのクラスの教授たちのように良い教授ばかりではありません。

カレッジの教授のレベルはアタリハズレがあります。
良い教授の場合はレクチャー時間内の情報量が多いですし、自習時間では個人的に指導してくれます。
しかし悪い教授の場合は基本的なことすら理解していないのでレクチャーすらできてません。(4時間レクチャー時間があるのに30分しかレクチャーできない・・・)

通常はそこそこの授業をしてくれるのであまり心配することは無いと思います。しかし、デザインの生徒さん(生徒の大半は社会人)はヤル気が異常に高いのでそこそこの授業では満足してないようです。

ビジネスマンのように費用対効果で留学を考えていいかどうか疑問が残りますが、コミュニティーカレッジに通っている私の場合、年間$8,000くくらいの学費なのでそこそこの満足度です。
(アメリカに滞在するためのVISA代も含まれた出費だと考えてます)

ながながと書いてすいませんでした。

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以上、ワカモレ・オークさんからのコメントでした。
ワカモレ・オークさん貴重な生の情報を共有してくださり、ありがとうございます!


年間8000ドルというと、先日の記事にあった学校と比べるとかなり安いですね。
 もちろん、ルームシェア-をしても月$500程度の家賃、そのほか食費なども必要ですし、自習のための教材費も必要ですが、それを補う余裕も生まれてきます。

ワカモレ・オークさんのブログ「形の統合に関する手控帳」には、これまでの授業のことなどが書かれており、もっと生の情報がたくさん掲載されていますので、興味のある方は一度ごらんになってみてはどうでしょうか?



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さて、コミュニティー・カレッジはもうひとつのエントリ「VFX業界における教育の価格 (VFX Soldier)」でも教養を高めるために利用すると良いと推薦されていました。


「コミュニティーカレッジ」は、アメリカの公立の二年制大学のことで、専門学校と短大の要素をあわせたような学校です。
私の住んでいる地域にも「サンタモニカ・カレッジ(SMC)」というコミュニティー・カレッジがあります。

LAの大学というとUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が有名ですが、授業料が高いため留学生などは一度サンタモニカ・カレッジに行って必要な単位を取得し、三年次よりUCLAへ編入を目指す人が多いと聞きました。
教育内容の質はそこそこ良いようです。


特に学位取得が目的ではなく、特定の科目だけを受講することも可能です。
一般の人も参加できるESLのクラス(以前は無料でした)もあります。

ハリウッドCG業界就職の手引き」、「海外で働く映像クリエーター」、「Boarding Pass」などでお馴染みのジャーナリスト/CGアーティストの鍋潤太郎さんは、その昔このサンタモニカ・カレッジでHoudiniのコースを取られたそうです。

一般的にこちらの大学は、海外の留学生に対しては、地元の人よりは割高もしくは、割引がきかないという不利な面があるようですが、それでもコミュニティーカレッジは安いようですね。

また「コミュニティー」とつくだけあり、地元民にひらかれておりプラネタリウムのプログラムや温水プールの施設などそこの学生でなくても安い金額で利用できるようになっています。

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その10)

Pg51 ジオメトリを破壊する

メモ:破壊されたジオメトリの作成方法についていくつか書いてありますが、何が「最善の方法」かここに書かれています。
しかし、すべてをその方法に頼ると大変です。
ショットにもよりますが、おおまかには他の方法を使い、重要なポイント(たとえばカメラに近いとか)だけこの方法をつかうのが時間の節約になります。


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翻訳:「シミュレーション中の外観を評価することが重要です・・・・

ここに書いてあることをもう少しかみ砕くと以下のようになると思います。
シミュレーションをしているとき、たとえば100フレームあるならフレーム2~99は変化している過程です。
その間にシミュレーションの対象は刻々と変化して、最終フレーム(フレーム100)の形状に行き着きます。
その途中で、特定のフレームで停止してみたときに、きちんとした変化になっていることをチェックする必要があるとうことを述べています。
ここでいう「きちんとした変化」というのは、そのシミュレーションが「破壊」であれば、破壊されるものの材質による違いを表現しているかと言うことになります。
この本では、その例として、木、草、コンクリートの違いを挙げています。

そしてその変化過程をきちんと描くには、各破片について適切なジオメトリの形状が必要であることを説明しているのだと思います。
たとえばコンクリートでは丸や三角、多角形など様々な塊となりますが、木の破壊では木の繊維を反映した長細い木片ということになります。

ここでは破片を作ることについて書いているので以上ですが、シミュレーション全体について付け加えて言うなら、破壊されるものの材質によって、そこから生み出される動きも異なってくるのは言うまでもありません。


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Pg52
レッキングボール: Wrecking Ball これは日本語で言うと「鉄球」ですね。Pg52の最初では「鉄球」と訳されているのになぜかその後はレッキングボールとなっています。
かと思うとまた「鉄球」と訳されているところもあり、翻訳が一定していません。
「鉄球」に統一して問題ないと思うのですが...。

ちなみに鉄球とはこれですね。



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ステップ3
Maya2011でやっているのですが、このようなことは起きませんでした。
ただ、鉄球が砂場のそこを通過しただけです。


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ステップ5
ここでボールの位置は変化しないと書いてありますが、Maya2011で試してみた限りでは、転がっていきました。
すなわち、回転をともなう移動があります。
シミュレーション的には、このほうが正しいのでMayaのアップデートに伴う変更があったのかもしれません。


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ステップ7
翻訳:「すべてのパーティクルを砂場内からでないようにすることです。
原文:「keep all of the particles in the sandbox.

意味的には通じるのですが、ちょっと奇妙に感じます。
「keep」ですから、以下のようにしたほうが良いように思います。
すべてのパーティクルを砂場内にとどめるようにすることです。


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ステップ10
翻訳:「レッキングボールを無効にします

補足:鉄球のシミュレーション(ステップ6でキャッシュ済み)を無効にするという意味です。
鉄球のnClothShape1ノードのアトリビュートエディーターの一番上にある「Enable」のチェックを外します




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Pg58
翻訳:「・・・初期状態をいつでも落ち着かせることが出来ます。
原文:「You can relax the initial state・・・

翻訳としては間違っていないのですが、わかりにくいですね。
落ち着かせる」は原文では「リラックス(relax)」です。
意味は、「ステップ10」でやったように、シミュレーションをすすめてnCltohやパーティクルの動きが静まるまで待つことです。

これは「初期状態のリラックス」というコマンドの名称にもなっているので、その機能を参照するとよりわかりやすいかもしれません。
「初期状態のリラックス」は指定したコマ数だけシミュレーションをすすめ、最後のフレームで初期状態の設定を自動で行うコマンドです。ダンプの設定も行えます。
参照:オンラインヘルプ「初期状態(nSolver > Initial State)



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補足:

この練習は基本的なダイナミックスの概念を理解するには非常によい物だと思いますが、実際に最終的なものにするには、この次の陥落穴の練習でもそうですが、まだまだ手を入れなくてはいけない状態です。
初心者は「スタジオ・プロジェクト」という本のタイトルを文字通りに受け取らない方がよいでしょう。

そのことはPg51の「ジオメトリを破壊する」にも書いてありますが、プロダクション(特にTVや映画)においては、飛び散る破片などは、もっと高レゾリューションでリアルなモデルが必要でしょう。
そもそもコンクリートの大きな破片すべてが、あそこまで飛び散ることは考えられないので、小さな破片をエミッターなどを使い、別の形で追加してやる必要があります。
それに煙や土を表現する必要もあります。
そうしたものすべてを追加してはじめてプロダクションの使用に耐える物になると思います。

そうした実用に耐える物にするにはただ単に高レゾのモデルと置き換えるという方法では出来ないこともあります。
「スタジオ・プロジェクト」というならそこまで、書いてほしいところですが、そのあたりのデティールアップのテクニックは「ダイナミックス」の範疇から外れる部分もあり、ショットによりケースバイケースでもあるので、あえてページを割かなかったのでしょう。

そういえば、そういうテクニックを書いた本は見たことがないですね。
まぁこまかいことは自分で考えろってことでしょうか。
そのあたりが考え出せないようなら、プロとして日常で合う様々な問題にぶつかったとき、なにも解決できないということにもなりかねませんからね。

2010年9月28日火曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その9)

Pg50 自然なシミュレーション

翻訳:「要するに、自然の要素を使用してシミュレーションの結果に影響を与えるということです。
原文:「The bottom line is to use natural elements to influence the outcome of the simulation.

「要するに」という言葉の意味としては、「(それまでに述べてきたことを)簡単にまとめると」というような意味があり、その意味で捕らえる方もいると思います。(自分はそうでした)
原文は「The Bottom line」で、意味としては「肝心の」とか「重要点を強調する」という意味になります。
したがって「要」という字を使うなら「要は、自然の・・・」というふうにしたほうがわかりやすいかも知れません。
ただ、ここでは重要なことをのべているので、「肝心なのは、」とするのがよいかもしれません。


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翻訳:「すべてが人工的な物だと言うことを考えると、馬鹿げて聞こえる、あるいは当たり前のことのように感じるかも知れませんが、自然ではない要素はシミュレーションに含めるべきではありません。
原文:「This may seem ridiculous or obvious, given that it’s all artificial; but if it doesn’t exist naturally, then it shouldn’t be included in your simulation.

一見まともな文章なのですが、自分にとっては要点がとらえにくかったので、このように変えてみました。
すべてが人工的な物だと言うことを考えると、これは明白で馬鹿げたことのように見えますが、自然の中に存在しないならシミュレーションに含めるべきではありません。

この「自然なシミュレーション」の段落を最初から読んでいると、「ああ、要するにフィールドや他のツールを使ってコントロールするのは二の次だってことね」と思ってしまうかもしれません。
もうすこし説明がほしいと感じます。

というのは、これではフィールドや他のツールで追加するコントロールはすべて悪いように感じてしまいますが、それらが必要な事もあると思うからです。
それに「シミュレーション=自然」ではありません。
その間には大きな開きがあります。そもそも前の章でフルイドの説明をするときに、フルイドのアトリビュートは現実の要素に置き換えた物ではないと本人も言っています。

ここで本当に言いたいことを推測すると
フィールドや他のツールだけでコントロールするのではなく、「そのエフェクト」が本当の自然の中で起きているとしたら「どの部分が地形から影響を受け」、「どの部分が重力やそのほかのエネルギーの影響をうけているのか?」を見極めて、それを別の物で代用しないということだと思います。
例えば地形によって溶岩の流れが変わっているのをフィールドの力で曲げてはいけないということです。

これは結構重要なことで、この重要性の段階を理解することは、スキルアップに役立つのではないかと思います。自分なりに考えをまとめてみました。
目的のエフェクトを作る際に、
第一に、そのエフェクトをコントロールするために必要な力はどこから来ているのかと言うことを見極める。
第二に、それを地形やフィールドなどの要素に振り分ける。
第三に、フィールドではなくジオメトリなどの要素を先に操作し、フィールドなどは後で必要なだけ加える。

ジオメトリは、パーティクルのフローに与える影響としてはかなりの力を持った物で、それで大体の動きが決まってきます。
そういう意味ではまずジオメトリでできるだけ近似した動きがつくれないかを試してみるのは有効でしょう。



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砂場の床:プロジェクト「砂場」のステップ1で作ったジオメトリ「砂場」の箱のこと。
あえて「床」としているのは横の壁は理論上(説明上)無いものとして考えているためだと思います。


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翻訳:「影響を与えるマントルのオブジェクトと影響を受ける地殻のオブジェクトを作成します。

これは間違いではないのですが、原文ではオブジェクト名(「影響を与えるマントルのオブジェクト」と「影響をうける地殻のオブジェクト」)はそれぞれイタリック体(斜め文字)になって、強調されていることを補足しておきます。



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翻訳:「別のジオメトリを砂場に追加して、パーティクル層を成形します。」
原文:「Extra geometry can be added to the sandbox to help shape the particle layer.

「Can be」であることから可能性を述べており、そうすべきだと言っているわけではありません。
また「成形」は原文では「Shape」。意味としては「成形」でまちがっておらず「形を作り出す」という意味になります。
自分なりに意訳すると以下のようになります。
別のジオメトリを砂場に追加して、パーティクル層の形を変える事もできます。


さてここまででレイヤーはどうなっているかを整理しておくとわかりやすくなります。

上層:「プレーン」(次のプロジェクトで追加する) :地殻に相当
中間層:「パーティクル」部分  :マントルに相当
最下層:「砂場」の箱の床部分 :何の層かわからない、
ただの入れ物?マントル層は大きいので、その周囲のマントル層を省略し、そこからの反作用をこの箱で作り出すため?

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翻訳:「基本的なツールを使用してジオメトリを操作し、パーティクル層内で反応を引き起こします。
原文:「You can manipulate the geometry by using basic tools to provoke a reaction in the particle layer.

間違いではないのですが、「to」以後の文章がそれ以前の文章の内容によって意図的に行われていることを強調するには、以下の方が良いのではないかと思いました。
パーティクル層内で反応を引き起こすために、基本的なツールを使用してジオメトリを操作します。


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翻訳:「地殻の層(詳細なジオメトリの層)は・・・
原文:「The crust layer, or detailed geometry layer,

この部分は、そのまま訳すと「地殻の層、もしくは詳細なジオメトリの層は・・・」となるのですが、これだと二つの層があるように勘違いされてしまう可能性があります。
これは二種類の層のことを言っているのではなく、一つの層の呼び方を変えているだけです。
原文がそうなのですが、紛らわしい説明の仕方ですね。


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翻訳:「各要素は個別に変更され、前の層の上に積み重ねられます。
原文:「 Each element is modified independently and is built upon the previous layer.

「積み重ねられる」というのは原文では「built upon the previous layer」なのですが、
これは「その前段階をベースとして次の物が作られる(築き上げられる)」ことを表現しています。
ようするにある層のレイヤーが変化して,そのすぐ上の層の形状が変化することを言い表しています。

意訳するとしたら、このようになるのでしょうか?(ちょっと自身がありません。)
各要素は前の層の変化を受け、個別に変形します。


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翻訳:「このアプローチを・・・非破壊的な方法で・・・変更できます。
これは原文もその通りですなのですが、「非破壊的な方法」とは、シーンのジオメトリを作り直すことがない、もともとある物を削除、変更(すなわち破壊)することなしに、そのまま使うことができるということです。


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翻訳:「地殻をリジッドボディーの断片からnClothに変更して、コンストレインで結合している粉砕したサーフェイスにすることができます。
原文:「the crust could be changed from rigid body pieces, to nCloth, to a shattered surface held together by constraints.

微妙にわかりにくかったので自分なりに解釈したことを書いておきます。
コンストレインはnClothのコンストレインのことを示していると推測できます。
このたとえでは、先にリジッドボディー用の断片のジオメトリを作成しているようですが、それは通常個別の破片にわかれた個々のジオメトリからなります。

nClothでリジッドボディーをシミュレートする場合、自分の経験では、これらのジオメトリをマージして一つのオブジェクトにしてからnClothへ変更します。
なので「to a shattered surface」が「a(一つの)」と表記されている可能性があります。

もうひとつの可能性は(こちらのほうが可能性としては高いですが)一つのジオメトリにまとめないで、個々の破片をそのままnClothにしてしまい、それをnClothコンストレインで結びつけているということです。
ただ、コンストレインをそのような使い方で使ったことがないので、推測に過ぎ無いことをお断りしておきます。
もし、ご存じの方が居たら、ぜひ情報をお寄せください。


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翻訳:「シミュレートされた下の層は・・・
原文:「 the simulated bottom layers ・・・

間違いではないのですが、
シミュレート済みの下の層は・・・」にしたほうがピンとくるかもしれません。


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翻訳:「このように考えてください。
原文:「Think of it this way:

原文では最後は「.(ピリオド)」ではなく「:(コロン)」になっています。
よって、正しくは「このように考えてください」となり、これ以降の文章がそのことの説明であることがわかりやすくなります。


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翻訳:「最下位レベルを微調整し、それを高解像度のバージョンに適用することも出来ます
原文:「 finetuning the lowest level and then applying it to your high-resolution version.

「最下位レベル」とは「最下層」のことではなく、ローレゾのモデルのことだと思います。
ようするに最も低い解像度のモデルでシミュレーションの微調整を済ませ、それを高解像度のモデルにおきかえることができることを示していると考えれば理解しやすくなると思います。

2010年9月23日木曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その8)

Pg47 プロジェクト砂場
ステップ2
ここでは解像度を20に設定していますが、この設定で10ユニット四方の箱は縦横21個x高さ3個(総パーティクル数:1323個)のパーティクルで埋め尽くされます。

「近接充填(Close Packing)」をオンにした場合は、隙間を少なくするようにならべられるので21個と20個の列が交互に繰り返されます。 (高さ3個、総パーティクル数:1518個)


ちなみに箱を小さくするとパーティクルのサイズが小さくなり、同じパターンで埋まることから、容器サイズに比例した解像度であることがわかります。






このため、解像度を10にした場合はパーティクルのサイズが大きくなります。

 
参考までに、オンラインヘルプには以下のように書かれています。
「オメトリのバウンディング ボックスの最長軸に沿って配置する nParticle のグリッドを指定します。たとえば、解像度の値が 20 であれば、nParticle はジオメトリの最長軸に沿って、等間隔にオーバーラップしないように配置されます。 」
(参照:オンラインヘルプ「オブジェクトを埋め尽くす(Fill Object)

20に設定しているのに、なぜ21個になるのかは不明です。おそらくゼロから20までカウントされているのではないかと思います。


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Pg48 ステップ7

翻訳:シーンのスケールを和らげる必要があります。
原文:The scale of the scene needs to be toned down.

スケールを和らげる」という表現は奇妙な日本語に感じました。
和らげる」と訳されている部分は原文では「toned down」です。
これはオーディオなどのボリュームを「下げる」という意味ですから、

シーンのスケールを小さくする必要があります。」としたほうが自然です。


補足:Nucleusソルバは、本に書いてあるとおりデフォルトではメートルで計算します。
「スケールアトリビュート」オプションの「空間スケール(Space Scale)」は1がデフォルトですが。これは1ユニット(グリッドの一マス)を1mとして扱うことを意味します。

1ユニットのサイズはPreferenceのSettingから変更することが出来ますが、nucleusソルバはこの設定とは関係なく「空間スケール」の設定に従います。
日本人なら通常は1マスをcmとして扱うことが多いのでここは、「センチメーター」になっていると思いますが、たとえば布を作るためにオブジェクトにnClothを使うと、nucleusソルバはデフォルトで、100cm四方のテーブルクロスを100メートルの大きな布として計算します。
1ユニット=1cmのつもりで作っていたのに、1ユニットを1メートルで計算されると、アトリビュートの設定値も大きく異なり、計算時間も出てくる結果も違ってきます。
nucleusソルバにセンチメートルで計算させるには空間スケールを「0.01」に設定します。

nDynamicsを使うときは必ずこの、空間スケールを自分が想定したモデルのサイズにあった値に変更してやる必要があります。

注:空間スケールを調整しても、Maya フィールドなどの外部のダイナミック フォースのマグニチュードには影響しません。 (参照:オンラインヘルプ:Maya Nucleus ソルバのプロパティ


この本ではアメリカで一般的に使われる単位「フィート」に換算するため0.304に設定しています。

「アメリカで一般的に使われる」と書きましたがCG業界一般の事ではなく、世間一般のことを指しています。
CGの実作業では「cm」を使う時も「フィート」を使う時もあります。
私がいたところでは「cm」を使った作業が大半でした。
ただ一般的な会話ではフィートが使われ、プロデューサーとの会話などでもフィートで話がすすみます。

参照1:キャラクタセットアップでの基本的なnCloth
参照2:3D CG soft system unit. MAX、MAYA、SI、Houdini (参照元ブログ:Succhin。)

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実験:
実践にあったようにシャベルを作り、すくい取った後に持ち上げて落とす動作を加えた上でBounce、Friction、Stickinessのそれぞれの値を変えてみた。

Bounceの値: 1.3などの大きい数値を設定してみた。
互いに押されるので、掘った跡がすぐにパーティクルで埋まる。これはFrictionをゼロに設定したときに似ているが、球の弾み方が大きいのが違いシャベルすくい取るときも弾んで飛び散っている。
2.0以上の大きすぎる値は、互いにはじき合って、画面いっぱいに飛び散ってしまう。
初期状態の設定によっては計算がかなり重くなるのでいきなり大きな値に変更するのは避け1以下か、大きくても1.3程度の値で調整した方がよい。

Frictionを増加すると泥のように粘性が高まった感じになる。

Stickinessを増加するとこれも粘性が高まった感じだが、Flictionと違い、重力の影響を受けにくくなる。たとえばあるパーティクルの横にパーティクルがくっついているがすぐには落ちてこないような感じ。
ちょうど「つぶつぶ粘土(参照)」のような感じです。


FrictionとStickinessは5や10という大きな数字を入力しても問題なかった。

2010年9月22日水曜日

VFX業界、アウトソーシングの価格 (VFX Soldier)

昨日に引き続きブログ「VFX Soldier」のエントリ翻訳です。
今回はアウトソーシングについてです。

毎回、変な翻訳ですみません。


ー---(以下、翻訳)----------
 The Price Of Outsourcing In The VFX Industry
VFX業界でのアウトソーシングの価格


たくさんのVFXアーティストは定期的また悲観的に、いかにして彼らの仕事がインドや中国といった発展途上国へアウトソーシングされたのかについて話します。
私は以前の投稿で、この議論は雇用主によって脅しとして(as a boogeyman argument)、定期的に作られていると感じると述べました。 

先週末、映画「Alpha and Omega」が公開されました。

 
これは、アメリカで企画され、インドで大部分のVFXが完成されたアニメーション映画です。 私にとっては最悪アニメーション映画オブ・ザ・イヤーです。

さて映画の評判は?
$9,106,906(約7億7409万円)を売り上げ、rotten tomatoesでは以下のようなリビューと共に15%という評価でした。

「この映画は入場料を上げるために3Dを使った最悪の例だ。
監督のAntorny BellとBen Gluckは、そこそこの景色を作り、モップのようなたてがみをもった土曜日の朝のアニメに出てくるような、オオカミと組み合わせた。
そしてChris Denk (“Shark Bait”)と Steve Moore (“Open Season”) によって書かれたすこしばかりのアイデアを何度も繰り返している。
(以下、翻訳略)」

これは痛いですね! 踏んだり蹴ったりなのはCrest Animation(この映画を作ったインドの会社)の株は次の月曜日には10%暴落した。
さらに、インド映画を作るのにくらべてとても高価でした

この映画の予算は4500万ドル(38億円)になった。

Nikki Finkeによればそれは2000万ドルだが、Crest Animationのこの映画への投資額はライオンズゲートの投資額の50%である。
それにもかかわらず、Forbesの記者Sramana Mitraが彼女の記事の中で予測した「インドへのアウトソーシングが死期を迎える」ということをほのめかすような結果となった。

インドと中国で仕事を完了させる経費の利点は早々と消え始めている。

しかしながら、現実にはインドでの給料は上昇している。
インドへのオフショアにおける経費の利益は1:6だった。
今日では、最も良い者で1:3である。

インドと中国は、大規模な居住費バブルにある。

中国での居住費のバブルはアメリカの不動産バブルよりも大きいと言う人も居る。
それを埋め合わせるために、収入もあげる必要がある。


VFXの熟練者でありインストラクターであるSteve Wright氏は非常に洞察力のある記事「インドの出エジプト記(PDF)」を書いた。
「インドのタレント・プールの明白な利点は、もちろんその低価格にある。
おそらくあなたは彼らがその利点を急速に失いつつあると言うことを聞くのは興味深いことでしょう。

インドにビジュアルエフェクツを設定するのは「新しいホットな事」だったからです。
投資家には事欠かなかったため、みなインドにビジュアルエフェクツの事業をもちこみました。
そして、今はアーティストよりも多くのVFXスタジオの作業机があります。結果として、彼らは他の会社のスタッフを狩り集めています。」

私は、他の国で作られたある低予算映画のことを思い出しました。
Hoodwinked(2005年)は約1750万ドルで、フィリピンで作られました。
 
公開された週に1240万ドルを売り上げ、世界規模の興行成績は1億1000万ドルでした。
なぜ、Hoodwinked2をすぐに作らなかったのでしょう?

また、誰が低予算のCG映画をロサンゼルスのような高価な場所では作れないと言いたいでしょうか?Battle for Terra はほんの少ししか興行成績を上げられなかったインデペンデントの低予算映画です。
 
しかしながら、ロサンゼルスで20人のアーティスト(アニメーションギルドの社長、Kevin Kochと幹事のSteve Kaplanを含む)によってとても低予算のうちに作成されました。

私はその予算についてとても良い考えを持っています。
大きなスタジオがクラフトサービスに費やすのとほぼ同じだったと思います。
(訳注: クラフトサービス:映画の撮影などで他の部署のために食事などを用意したりする部署)
それは、通常の劇場アニメの予算の1/10で、ロサンゼルス・レベルの給料を払っています。

もちろん、Battle for Terraは見た目も低予算です。しかし私はAlpha and Omegaよりはかなりましなように思います。
それは価値は競争力があり、LAのVFXの給料が支払わています。
さて、だれが海外だけが安価なVFXを作れる場所だと言いたいのでしょうか?

これが、私が発展途上国へVFXをアウトソーシングするのはもう終わりに向かっていると主張する理由です。


VFX業界の多くにとって本当の脅威は、彼らの領土のVFXの仕事へ助成金として公共資金を与えるカナダ,イギリス、ニュージーランドのような国家やニューメキシコ州やミシガン州による保護貿易政策です。

これは違法な行為ですが、私が聞いた話です。
大作映画を作っているある大きなスタジオが助成金を交付されたVFXの仕事を施設へ送ったが、大部分を終わらせることが出来ず、大失敗をしたのです。

(原文: It’s an illegal practice but from what I’ve been hearing, one very large studio producing a very big film is about to be burned pretty badly by sending subsidized vfx work to a facility that could not finish the bulk of the work the bid for. If and when this happens, it will make some big headlines.)

-----以上、翻訳終わり--------


まだすぐに変化があるわけではありませんが、記事を読んだ限りでは優秀な人材はインドや中国では不足しているという感じがしますね。
ひょっとしたらこれは世界的規模でそれが言えるのかもしれません。
そう考えるとCG業界は、まだまだこれからという感じもします。

また、この調子なら、もしかしたらハリウッドでの仕事量も盛り返してくるかもしれません。
ただし、給料は以前ほどに盛り返すことはないとは思いますが。

2010年9月21日火曜日

VFX教育の価格 (Effects Corner)

追記(Sep/22/2010): 下記の翻訳の中にLynda.comについてかいてあります。Lynda.comでは無料で体験できるコンテンツもありましたが、それとは別に一日間無料で体験できるサブスクリプションリンク)が開始されました。
私は登録していませんが、おそらく一日間だけ有料のコンテンツにもアクセスできると思われます。
ぜひ、この機会に体験してみてはいかがでしょうか?
Lynda.comはオンライン・ビデオチュートリアルですが、字幕を表示する機能があり、英語の聞き取りに自身がない人には、敷居が少し低くなっています。
 なお下記翻訳の中にもこのサブスクリプションへのリンクを追加しておきました。

-------------

昨日のエントリ「VFX業界における教育の価格 (VFX Soldier)」の元記事をうけて、Scott Squires氏が自身のブログ「Effects Corner」でコメントをかいていますので訳してみました。

正直たいしたことは書いていないので、さほど参考にはならないかもしれません。
また、昨日のエントリもそうですが、彼らの視点は、アメリカ人の視点であり、Visaのことなどは考慮されていません。
そして、かならずしも大手のプロダクションを目指す視点でもなく、中小を中心としたこのVFX業界全体を対象として議論されています。

日本を含め海外からアメリカ(最近は他の国も)を目指す人は、Visaが必要ですし、また目指すところも大体は中規模以上の大手が中心となります。
したがって、彼らが言っていることとリアリティーが食い違う部分があると思います。

私は、こちらでこのキャリアをスタートし、どちらかというと一般的なアメリカ人に近い形での取り組み方なので、 参考になりますし、言っていることもわかります。
また日本でのCGの経験はありませんが、前職では、自分自身で勉強してキャリアアップをした経験があり、そういう意味で、日本にいてまったく当てはまらないかというと、そうでもないと思っています。
とくに日本のCG業界でも、能力が重視されるのは変わらないでしょうし、学校へ行かなくても独学で成し遂げることは可能だと思います。
しかし、独学の場合は英語の教材が中心となるので、英語力は必要となるように思います。




----(以下 翻訳)---------
 Price of VFX Education
VFX教育の価格

VFXSoldierがVFXの教育について、よい記事を書いています。

VFXSoldierが指摘しているように、これらのすべてのVFXスクールは利益が目的です。
それはそれで良いのですが、実際のコストがどのぐらいなのかに注意しましょう。
特に彼らが売っているものや卒業時までに実際、何を終わらせることができるのかを知る必要はある。

これは、全ての本やDVD、クラス、そして脚本に関するその他のアイテムの類です。
限定されたマーケットで夢と共にこれらを販売する全ビジネスがあります。

夢を持つのはかまいませんが、決してあせって借金をしてしまわないこと。
特にあなたがそうしなくてもよいなら借金などしない方がよいのです。
私は最近、教育に関する別の投稿へのコメントとE-mailの質問に対して答えました。


学位のコース-

VFXに学位もしくは特定のソフトウエアを要求するVFXプロダクションを私は知りません。
(原文:I don't know of any vfx company that requires a degree in vfx or a specific software package. )
「学位」はあなたがとった授業の証明になりますが、あなたが採用されるのはリールとクレジット・リスト、あなたが知っているソフトのリスト、あなたの知識のレベル(レジュメには正直に書きましょう)です。

もし、あなたが大学や専門学校の学位がほしいなら、あなたの近くの学校や知っている学校を調べればよいでしょう。
しかしながら、本当のVFXのクラスを提供する学校はとても少ないのです。

あなたはどんなソフトウエアでも本やDVD,オンラインのコースで基本をほんの少し学ぶことが出来ます。
よい本やよりよいオンライン・クラスはプロフェッショナル・レベルの教材を含んでいます。
自己学習なので、あなたは自分自身で努力しなくてはならないのは明かですが、これはたくさんの余計な費用をかけずに、あなたのペースと場所で学ぶことができます。
私は電気とコンピューター・プログラミングと写真術、VFX、そのほか多くのことを自分で勉強しました。


たくさんの人(先生)による授業は、先生が実際に実用的なプロダクションでの経験を持っており、それらの問題をカバーする構造の授業でない限りは、ソフトウエアを学ぶ手順に徹しています。

多くのソフトウエア販売会社は学ぶための教材やチュートリアルを用意しています。
ほとんどのソフトウエアは、マニュアルをまず最初に読みます。

もしまだチェックしていないのなら学校に関する以下の投稿を読んでください。
http://effectscorner.blogspot.com/2007/06/visual-effects-schools.html

Lynda.comにはMaya,Nukeなどのクラスがあり、安価なSteave Weright氏のNukeのチュートリアルがあります。
(リンク:無料の一日サブスクリプション

fxphd.comescapestudios.co.ukはさらに踏み込んだオンラインのチュートリアルを提供しています。ぜひリンクをチェックしてみてください。


私は、Lynda.comの一つのクラスを見ただけなので、どれが良いか悪いかを述べることはできません。.

すべてもしくは、ほとんどのオンラインクラスにおける欠点は英語のみであると言うことです。

言うまでもなく、オンラインクラスはそこそこのコンピュータとインターネットアクセスが必要です。


現実のクラスの強みは、あなたの使う言語であ行われると言うことです。
先生が厳しくそして様々な実践をさせてくれることを期待しましょう。

もしあなたがクラスをとる必要があるなら、私はそれらの学校に関する他社の意見をみることが出来るウェブサイトやを見つけましょう。
あなたは、学校を薦める会社があるかどうか、たくさんの会社にコンタクトしてみてもよいでしょう。

NukeとMaya - 

これらはハイエンドな仕事で最も人気があります。アフターエフェクツも幅広く使われています。

しかしながら、あなたは地元のVFXプロダクションのジョブリストに何が含まれているかをチェックした方がよいでしょう。
もしかしたら、MaxやLightwave、AfterEffectsがあなたの居る場所では最も人気があるかもしれません。
あなたの売りとなるスキルがなんであるかを忘れないようにしましょう。
もしあなたが、ほとんどの場所では使われてないようなあるソフトウエアを知っていても、あまり価値はありませんから、この点をまず最初に考えましょう。


そのほか、私のブログでもふれた点として、何が起きているのか実際のプロセスを理解しておくと言うことです。
もしコンポジットの基本的な考え、キーイングし、色調整をすませるなどを理解しているなら他のソフトに切り替えて特定の機能を学ぶのは簡単になります。

また問題を解決し調整するのも簡単になります。
もしあなたがどのボタンを押せばよいのかと言うことしか知らなければ、なにか通常と違うことにとりくむのは難しくなります。


----以上、翻訳終わり---------

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その7)



Pg45 地球の層 : 補足
和訳:早い段階で下す判断は重要な意味を持ちます。
原文:The decisions you make early on are critical.

Decisions:決断、決定、結論


「重要」は原文では、「important」ではなく「Critical」です。
Critical:重大、決定的
若干のニュアンスの違いがあります。
「早い段階で下す判断」は、後の判断を正否を左右するほど重要だと言うことを意味していると思います。



和訳:これらの層が連携することにより、地球の構成要素は循環します。
原文:The layers work together in recycling the Earth’s material.

地球を構成する物質が循環する中で各層は互いに作用します。



和訳:燃料は核の強烈な熱です。
勘違いする人も居るかもしれませんが、ここの核とは「Core」で「Nuclear」ではありません。

またところどころにでてくる「構成要素」とは「Materials」です。
構成物質」と訳した方が自分にはわかりやすかったです。


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Pg45 核 :

和訳:核は千年に約1cmずつ膨張しています。
原文:the core is also expanding, about 1 centimeter every millennium.

「Expanding」は「増える、膨張、拡大」の意味があります。
膨張というと風船のように膨らんでいくイメージがあるのですが、ここでは核が大きく成長することを言っています。
核が大きくなると言うのは、核の結晶化が進んでいくことであり、結晶となる成分がどんどん付着して成長しているのであり、膨らんでいるのではありません。

そのためここでは
核は千年に約1cmずつ増加しています
のほうが良いと思われます。
意訳するなら「核は千年に約1cmずつ成長しています」のほうがぴったりですが。
後の文章にも「膨張」という言葉がつかわれていますが、結晶化による「増加」もしくは「成長」と置き換えたほうが良いでしょう。

核の結晶化についてはサイト「ホーキング織野のサラリーマン、宇宙を語る」の「内核と外核を語る。」にある説明がわかりやすいです。



和訳:これはわずかに感じるかもしれませんが、規模を考慮する必要があります。
原文:This may seem insignificant, but consider the scale.

これは取るに足らないことのように見えますがスケールを考慮してみてください。
と訳してみました。
しかし、何が言いたいのかこれでもわかりません。
千年で1cmの成長ですが、表面積は途方もなく大きいということが言いたいのでしょうか?


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Pg46 核(続き) 補足

この膨張により熱が放出されます。

この熱はさらっと説明されているだけですが、後でダイナモ理論に結びつく重要な役割をします。

これについてはWikipediaのダイナモ理論のところに説明があります。
内核が成長する際に内核との境界において軽い元素(おそらくは硫黄、酸素、またはケイ素)が退けられることで重力のエネルギーが熱として放出され、内核境界における結晶化の潜熱、ならびにカリウム、ウラン、トリウムの放射能[1]によっても熱が放出される。



移動する外核と内核が組み合わさることにより地球の磁気が発生するのです。この二つの層はグループとして扱われます・・・」
ここのところで、ダイナモ効果のことを説明しています。

ダイナモ効果

b. 電磁石説

3 地磁気

コンテンツ+キャリアという考え方 (その2)

7月1日のエントリ「コンテンツ+キャリアという考え方」では、明和電機社長の発言からいろいろと発展させて考えていたが、どうしてもしっくりこない部分があった。


それが先日ふとしたことで、すっきりした。
それは会社の帰り道に前のクルマのバンパーに貼ってあるステッカーを見たときだった。
それはLAでも最大のレコード/CDショップで中古の売買もしている「Amoeba Music」というショップのステッカーだった。
時々、音楽イベントも開くほどの大きなところで、MP3全盛の今でも健全なのかな?とそのステッカーをみたときにふと、明和電機の社長、土佐信道氏がのべていたことを思い出した。

強引な言い方をすると、これまで、プラスチックに付加価値をつけて高く売るプラスチック販売会社が、「レコード会社」であった。
紙に付加価値をつけて高く売る紙販売業者が「出版業界」だった。
それは「コンテンツ(情報)」と「キャリアー(物質)」が分離不可能だったから成り立つ商売でしたが、デジタル時代は、それが個人レベルで簡単に分離できるようになってしまった。

ここで同じくコンテンツとプラスチックが融合した「オモチャ」を見てみると、現時点ではそれが分離できない。
「ああ、自分はオモチャを作れてよかった・・・」と思うのは、分離できないゆえ、複製するしかなく、それが即収入になることであろう。


ここでは、おもちゃを「コンテンツとキャリアーが融合した」とかいてあったが、それは今ひとつ自分にはピンとこなかったので気になっていたのだ。


CDは音楽というコンテンツをプラスチックの媒体で、配布する。
音楽というコンテンツに接触するためにかならずCDとCDプレイヤーの存在が必要で、物質的な制限を生じさせる。




生の演奏が聴きたければ、その場所へ特定の時間に行く必要がある。
時間と場所が制限される。 制限されるからこそ価値がある。

一方、MP3はプレイヤーのみならず、パソコンでも再生でき、理論的には世界のどこからでもアクセス可能であり、物質的なターミナル(末端)に依存しない。

コンテンツは、こうして制限があり、制限がある媒体を通じて配布されるからこそ、ある価値が生じていたのではないかと思う。
そして、人々はそれにお金を払っていたのではないかと思った。
コンピュータによってその制限が取り払われ、制限がないがゆえに価値が下がる。
いわば希少価値がなくなってしまうということになる。
これからも、コンピュータによって制限が取り払われるものは、どんどん音楽や映画の後を追うことになるのだろう。


さて、おもちゃはどうか?
おもちゃはコンテンツを伝えることだけを目的として作られた媒体ではない。
なんらかのコンテンツが得られることだけを期待しておもちゃを買うことは無い。
(ここで、ゲームはおもちゃには含めていない)

確かに思想やアイデアをつたえることもできるが、CDやコンサートのように、純粋にコンテンツを伝えるためだけに存在しているわけではない。
むしろ、おもちゃ自体をきっかけに、様々なストーリーや遊びといった別のコンテンツを生み出す役割をしている。



おもちゃにコンテンツが存在するとしても、それは限定、分離されたものではない。
音楽や映画のように具体的に限定された内容ではなく、シンボル化され、ユーザーの自由度が加えることができる程度になっていると思う。



明和電機社長の「コンテンツとプラスチックが融合した「オモチャ」」という考え方がどうもしっくりこなかったのはこの部分で、おもちゃは「コンテンツと媒体」という二要素に分類したり音楽と比較するのは間違っているか、すくなくとも土俵が違うような感じがしていたからだということがわかった。

どちらかというと、社長が言っている者にぴったり来るのは絵画や彫刻ではないかと思う。

作者の意図、思想、感情(コンテンツ)を伝えるものが絵画や彫刻というキャリアである。
そのキャリアに人々はお金を払うが、そのコンテンツは分離不可能である。

VFX業界における教育の価格 (VFX Soldier)

ビジュアルエフェクト業界の実情を伝えるブログ「VFX Soldier」でまたまた興味深いエントリが投稿されました。
VFX業界における教育の価格」と題された今回のエントリは、高い授業料を支払ってまでその見返りが得られるのかどうかという事に焦点を絞っており、これから学校へ行こうと考えている人もしくは、いま学習中の方にも広く参考になる話となっています。

いつも通り適当ですが、翻訳してみました。



------(以下、翻訳)-------
The Price Of Education In The VFX Industry
「VFX業界における教育の価格」



アメリカでの授業料の値上がりは、信じられないものがあります。
ここに教育と、ヘルスケアと、居住費のコスト上昇を比較したよい記事があります。

教育費が突出しているのは驚くべき事ではありません。
言い換えれば教育の費用はおおきなバブル期にあり、いくつかの最近の記事では高くなる授業料について異議を唱えています。

VFX、ゲーム、そしてアニメーションの業界には、キャリアを始めるために助けとなるカリキュラムを提供する有料の学校が数多く存在しています。
しかし、その大きな投資にあった価値の見返りが本当にあるのでしょうか?


 

ゲームの勉強をした生徒が卒業後にストリッパーになる。
ゲーム業界でのキャリアをめざしフロリダにあるアート専門学校へ通ったある若い女性の話です。彼女は$73000(約620万円)以上のスチューデント・ローンを抱えて卒業し、どのゲームスタジオにも就職する事ができなかったため、借金の返済をするためにストリッパーになったというものです。

彼女のうけた教育が、どれだけぼったくりだったかがわかった後、彼女は、この学校について他の生徒達に警告するためにWebsiteを作り、一連の youtube動画を作りました。 

彼女は教育における自身の粗末な選択にたいする責任を負ったのでしょうか? 
まったく、その通りです、しかしこの問題について彼女に話すチャンスをあげましょう。
訳注:URLとYoutubeのアカウント名は Sue Ai Now(Aiを今すぐ訴えよう)の意味になっています。ちなみに上記ウエブサイトをみるとわかりますが、Aiとは彼女の通ったフォート・ローダーデール・アート専門学校のことです。

ある学校が利益が目的であっても、目的でないとしても、最終的にはすべてを継続するためには、お金が必要です。
お金が絡んでくるとき、誰かがその負担を負わなくてはなりません。潜在的なVFXの生徒に大して答えられるべき、二つの基本的な質問があります。

1.VFXの教育における投資に対する見返りは何なのか?
2.そのVFXの教育は業界において競争力のあるアドバンテージをあなたに与える事ができるのか?

まず、投資に対する見返りについて話させてください。
授業料を支払うとき、あなたはかなりの見返りを提供するキャリアを期待して、自分のお金を投資しているのです。 
幾人かの生徒はそのお金を両親から得ますが、ほとんどはスチューデント・ローンから得ているでしょう。
Sallie Maeはアメリカのスチューデントローンの中でも最大手の一つです。
すばらしいウエブサイトをもち、どのぐらいの借金になるかを見積もりしてくれます。 

最もよいのは、その借金の返済のためにどれぐらいの収入が必要となるかを推測してくれる事です。 私はいくつかの有名なVFXスクールに必要な数字をこのサイトで計算してみました。Sallie Mae は卒業後の月収のうち10%を返済に充てるようにすすめてきました。おわかりのように、それほど良いものではありません。

 

アートカレッジの 二年間の専門コース

授業料: $85,278 (約725万円) (授業料、経費、寮費と食費、教科書代、その他の費用)
卒業後の月払額: $987(約8万4千円)
15年払いの場合の支払総額:$177,746(約1500万円)
必要な年収の見積もり: $118,440(約1000万円)

Gnomonデジタルプロダクション2年コース
授業料: $66,075 (約562万円) (寮費、食費、教科書や文具代は含まず)
卒業後の月払額: $765(約6万5千円)
15年払いの場合の支払総額: $137,700(約1170万円)
必要な年収の見積もり:  $91800(約780万円)

二年間のフォート・ローダーデール・アート専門学校
授業料:$67,982(約578万円) (授業料、経費、寮費と食費、教科書代、文具代、そのほかの費用)
卒業後の月払額: $787(約6万7千円)
15年払いの場合の支払総額: $141,660(約1204万円)
必要な年収の見積もり:$94,440(約803万円)


高度な教育はより多くの報酬を求める。
このように高額な授業料をみるとなぜVDFXアーティストが高い給料を要求するのかがわかるでしょう。
問題は、卒業したての被雇用者が、ある業界で6桁(約1000万円)もの収入を得る事は非常にまれな事です。
あるVFXプロダクションは卒業したばかりのアニメータを時給12.5ドルで雇いました。
彼らのなしとげる仕事はシニア・アニメータが成し遂げる事と同じではありません。
理屈としては、彼らのうちの一人でも、ひとつのショットを終わらせる事ができれば、節約した価値があります。
問題は彼らのうちの誰も、ショットを終わらせる事ができず、結局はシニアアニメーターがその仕事を終わらせるはめになるということです。
VFXの教育費がいかに高いかそして、ピクサーのような最高の会社がこの業界では最低の年間、約60000ドル(約510万円)という給料しか払わないことを知ったとき、その投資は失敗である事を認識するでしょう。



VFXの教育は競争力のあるアドバンテージをあなたに与えるか?
もしあなたがお金を持っているとしても、VFXの教育はこの業界で仕事を得るために必要な競争力をつけてくれるでしょうか?  あり得ません。

だいたいのVFXプロダクションは、申請者のデモリールを山積みにしています。
スーパーバイザーはリールをみる時間は少ししか持っていませんので、紹介者か、経験を積んだアーティストのリストに向かいます。
たとえ、ある生徒のリールが非凡なものであっても、VFXについてほとんど知らないであろうリクルーターの手にゆだねられます。
VFX業界はどんな学校へ行ったか、もしくはどれほどデモリールがよいかではありません。 
すべては影響力(Leverage)なのです。 
もしあなたに能力があり、あなたの仕事ぶりを複数の会社に比べさせることができるなら、自分のレートをすぐに上げる能力を持っているといえます。
(訳注:ちょっと自信ないので原文を載せておきます:If you have the ability and are able to get companies to compete for your services, you have the ability to quickly raise your rate. )

 いくつかのケースではVFXの教育への支払いはあなたを傷つけます。 山のようなスチューデントローンの借金をもつことは、自分を深刻な状況におくことになり、スチューデントローンの請求を支払うために会社のどんな要求をものまなくてはならなくなります。



では、この業界に入りたくて高い目標を掲げたVFXアーティストへの私からのアドバイスはなんでしょう。
VFX の教育へ数百万円もはらうのではなく、よいコンピュータとたくさんのトレーニングDVDに数十万を使いましょう。自分自身でVFXを勉強する事で、たくさんのお金を節約できます。 セルフラーナーになること一般的な問題に対する答えを自ら発見することは、このVFX業界ではとても重要な特性です。チュートリアルやDVDはあなたに特定のツールをどのように使うのかをみせ、かっこいいVFXの手順を行います。ツールや手順の使い方について知る事は鍵となります。



短期大学に通う
重要な思考のスキルは成長を助けてくれ、他者とのコミュニケーションに違いをもたらします。
高度な教育は、その発達を助け価値があるものです。
地元のコミュニティーカレッジはとても安価ですがすばらしいコースを用意しています。
あなたはVFXに関して自宅学習する間に、短期大学校で一般的な教養を得るべきでしょう。



ただのアーティストにはならない。
VFX業界は特定の専攻科目や教育を要求していません。
実際の所、自分でVFXの勉強をしている間、財政学、コンピューターサイエンスかあなたの掛け金を守ってくれる何かを専攻するのが良いでしょう。
ゴールはVFXの仕事を得る事にすべきでしょう。
もしそれがレンダーファーム監視係、コーディネーター、ファイナンス・アシスタントであるならそうしましょう。
働いているアーティストとコネクションを作り始めるために足をドアに滑り込ませましょう。
人々はあなたの仕事ぶりを知り、あなたの興味と能力を見せるデモリールを見るでしょう。
そして、ゆくゆくはあなたはチャンスをつかむことになるでしょう。
訳注:Foot in the door(足をドアに滑り込ませる) :まず足を入れれてドアを締めさせなければ中に入るチャンスも生まれることから、目的のために、まず自分を少しでも受け入れてもらうこと。


私の個人的な教育に関する話
私は短期大学に通い、後に公共の大学へ移籍しました。
私はコンピュータ・アートを学び、すぐに自分が勉強していることは業界で仕事を得るには不十分であることに気がつきました。
私は勉強を続けましたが、コンピューター・サイエンスのコースで補足し、土曜日にはVFXのDVDで自分自身をトレーニングしました。
私のコンピューター・プログラミング・スキルは、ゆくゆくは私のVFXスキルに気がついてくれた多くのアーティストと確かな関係を作ることになった、あるVFX会社でテクニカル・アシスタントとしての仕事を得させててくれました。

彼らは私が仕事を得るのを助けてくれました。
あなたの最高の雇用者はあなたが働いている会社ではなく、あなたが一緒に働いているひたと立ちなのです。
国民は教育システムの問題に気がつき始め改正し始めました。
人々は、借金を続けることはできませんし、ふさわしい支払いをしているわけでもありません。
私は数人から、スチューデント・ローンのシステムが改正されてきていると聞きました。
あなたが支払うべき金額はあなたが得られる収入のパーセントになるという話で、良いアイデアのように思います。

.
その間、がんばりましょう。



------(以上、翻訳終了)-------


(補足など)
影響力(Leverage)について
レバレッジとは、「てこ(Lever)の使用)という意味で、金融関係では良く聞かれる言葉です。
Wikiによると
経済活動において、他人資本を使うことで、自己資本に対する利益率を高めること、または、その高まる倍率。
ここでは自分の給料をアップするためには、自分の能力にプラスして何かが必要であり、その何かとは複数の会社に自分を取り合いさせることと書いてある(と私は解釈しました)。
たとえば二つの会社があなたを気に入ってくれていたとして、こっちの会社はこれだけ払ってくれるからといえばもう一方の会社が金額をあげてくるという事になります。
そうやって給料をあげることができるのは、両者が気に入ってくれる能力があるからです。

私の個人的なケースでは、今の仕事は気に入っているが、通常レートよりひくい、このままでは生活に影響がでるので今職探しをしていると説明して、通常レートまで上げてもらったことがあります。
この場合も相手が気に入ってもらえたからこそできたことで、気に入ってもらえなかったり、金額が予算と合わないなら「あらそう、残念だわ」で終わってしまいます。


-------------
(以下は個人的な意見)
さて、ここに書かれていることすべてがいきなり日本にいる日本人に当てはめられるわけではありません。Visaの関係もあります。

また、個々で書かれていることは中小プロダクションには、間違いなく当てはまりますが、大手となると、どこまで当てはまるかは疑問は残ります。
というのは大手では募集時に学歴について書いてあることがよくあるからです。
ただ、それは目安に過ぎないことはかわりません。根本の所では、大手であろうと学歴よりも能力重視となると思います。
ただ本当に学歴を不問にしてしまうほどの能力をもっている人が少ないってのはあるかもしれません。

 さて、ここに書かれていたことはアメリカはともかく、日本国内でもある程度当てはまると思います。
某有名CG学校などの例もありますし。
すべてを学校に期待するのは、間違っているとは思います。
学校へ行くなとは言いませんが、学校に行けばアーティストになれるとか就職できるとは考えない方がよいです。
自分が自分の意志で自分の体を動かさない限り、アートや技術は身につかないでしょう。
学校では、半ば強制的に授業や宿題などでやらされるので、ある程度は身につくのですが、それでできることには限界がでてきます。


CGアーティストになりたいのでどんな学校がいいかと訪ねられた事があるのですが、最終的には学校ではなくすべては自分で努力する必要があると言うことを話したのですが、どこまで理解してくれたのか...。
ここに書いてあるとおり、CGアーティストになるにはCG専門学校へ行く必要はありません。
きっかけをつかむだけなら半年コースで充分ですし、どちらかというと普通の大学か純粋なトラディッショナルアートやコンピュータ工学を専攻した方がよいでしょう。
(日本人にとってはアメリカで働く為にはVISAが必要で、それには学歴が必要とされるケースがほとんどです。)

2010年9月16日木曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その6)

Pg38 太陽を作成する 
ステップ1
 補足
上に移動して上部で折れ曲がります。

原文「It travels up and is deflected off the top.

ここでMaya内で起きていることは「フルイドが上昇し、最上部で広がってまた下降する」という現象です。

自分だけかもしれませんが「折れ曲がる」というのは個体もしくは移動する個体の経路を連想してしまい、違和感を感じてしまいます。
水の流れが「折れ曲がる」とはいえるかもしれませんが、煙や「折れ曲がる」とはあまり言わないと思います。


また主体となる流体の意志で曲がっているような印象も持ちますが、原文のDeflectは「向きをそらす」という意味です。
「is deflected」で「そらされる」という意味になります。

自らの意志ではなく、なんらかの外部要因があって「向きが変わる」という意味にとらえることができますので、
上昇し、最上部で向きが変わります。
のほうがわかりやすいように思います。



Pg39 ステップ3 補足
カラーの設定は
0.125 :黒
0.250 :赤みのあるオレンジ
0.375 :黄
0.500 :赤みのあるオレンジ
0.625 :黒
0.750 :赤みのあるオレンジ
0.875 :黄
1.000 :赤身のあるオレンジ





ステップ6 補足
速度(Velocity)の渦(Swirl)を20に設定していますが、自分には早すぎると感じました。大体5ぐらいでもよいように思います。

そもそも太陽表面で起きている色の変化は、巨大な炎などによって起きているはずで、実際にはその巨大さゆえに移動距離が長く、その即度もゆっくりに見えてしまいます。
Youtube動画「NASA | New Eye on the Sun Delivers Stunning First Images

実際に、動画などでよく動いて見えるのは、だいたい早送りされている。
プロミネンスの4時間の動きを40秒に縮めた画像でこんな感じである。
Youtube動画「太陽プロミネンス




Pg40 太陽にデティールを追加する
ステップ2 補足


普通はわかると思いますが、超初心者の方のために。
「初期状態の設定」を選択する前にフルイド・コンテナを選択する必要があります。


Pg41 ステップ4補足(メモ)

流体には寿命はありません。」
原文:「Fluids do not really have a life span.」
寿命=ライフ・スパン

アトリビュートは流体を分散させますが、他のアトリビュートと混合されるだけです。パーティクルノードのように消失することはありません
原文「The attribute causes the fluid to dissipate, but only because it is mixed with other attributes. It does not die, like a particle does.」

Dissipateは「消散」という意味になります。

これはちょっと自信ないのですが、こうなるように思います。
他のアトリビュートと混合された時のみ、アトリビュートは流体を消散させます。パーティクルのように死滅することはありません

ますますわかりにくくなったかもしれません。

ここで言いたいのは
流体を形成する粒のひとつひとつが
1)パーティクルだと完全になくなるが、フルイドの場合はいつまでも残り続けると言うこと。
2)見えなくなるのは無くなったのではなく、分散したことで見えないほど希釈されてしまったから。

ということだと思います。


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追記:ボーンデジタルのご担当から連絡があり、このブログで書いてきたことの一部(翻訳に関するところ)を正誤表へ反映していただけるそうです。
まだいつになるかは未定です。

2010年9月6日月曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その5)

これで5回目となりますが、
内容的に間違いだけでなく、内容に関する別の説明を加えたり、勝手に自分の考えを追加しているのでシリーズ・タイトルを変更しました。合わせて過去のエントリのタイトルも新タイトルへ修正しました。
旧: 本「スタジオプロジェクトDynamics」の間違い
新: 本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足

このエントリ・シリーズは本「Maya スタジオプロジェクトDynamics」を持っていない人には、まるでわからない内容となっていると思いますが、意図的に最小限の部分しか載せていません。
気になる人は、本を購入することをお勧めします。


いままで述べてきたように、多少表現に難がありますが、このようにパーティクルやフルイド関係のアトリビュートの詳細をまとめている入門書は他にないと思います。
これからMayaでエフェクトを志す人は必読書といえるかもしれません。


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Pg29 コンテンツの詳細 補足その1
コンテナのコンテンツを表現するには、Mayaの[コンテンツの詳細]オプションを変更します。
原文は
You describe the contents of a container by modifying what Maya calls content details.
重箱の隅をつつくと「オプション」とはどこにも書かれていません。

直訳的に訳すと、
Mayaの[コンテンツの詳細]に手を加えて、コンテナーの内容を描写します。

これでもまだわかりにくいので意訳すると
コンテナーの内容は[コンテンツの詳細]から設定します。

結局の所、言いたいことはこういうことだと思います。



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Pg29 コンテンツの詳細 補足その2
・・・プロパティーは世界であるコンテナ内での・・・
日本語としては少し奇妙な感じがします。

原文は「・・・within their world, the container・・・

同訳してよいか困るのですが、
世界」だけだと、どの世界のことをさしているのかわかりません。
原文は「their world」ですから

・・・プロパティーはその世界であるコンテナ内での
と「その」をつけるだけでも少し理解しやすくなるように思います。



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Pg29 コンテンツの詳細 補足その3

詳細はボクセルに値を適用するだけです。ただの数値として考えてください

原文は
Details merely apply values to voxels and should be thought of as just values.

このDetailsを一般的な「詳細」という単語と、とらえるべきか「コンテンツの詳細」ととらえるべきか迷いましたが、
Details」と原文にあるので「コンテンツの詳細」のことだと思われます。

なので、意訳としてはこうなるのではないかと思います。
コンテンツの詳細は、ただボクセルに値を適用するだけで、ただの値として考えるべきです

もっとわかりにくくなったような気もしますねw

後に続く文章を読むと少しわかってきますが、要は

ここで設定する数値は物理学的な現実の数値とイコールではない。
MayaのFluidをコントロールするための独自の値にすぎない。

ということが言いたいようです。


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過去の関連エントリ:
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その1)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その2)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その3)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その4)

2010年9月5日日曜日

テスト

テスト

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その4)

とりあえず今回で4回目ですが、別に、作者やボーンデジタルさんの揚げ足をとったり、細かなミスをつついておとしめようという意図は全くありません。
むしろ、その逆で入門者向けに、ここまで良い本はいままでなかったので、これは日本のスキルアップにはとても良い後押しになるのではないかと思っています。
個人的に何か収益になるわけではありません。

したがって、この本を買った人が、ちょっとした文章の意味が理解出来ず、結果としてうまくいかずにがっかりして途中であきらめてしまうというのは、見過ごせません。
誤植や翻訳ミスといった凡ミスは非常にもったいないと思います。

以前、Mayaを習い始めの頃、こういった日本語訳されたチュートリアルのちょっとしたミスで、 説明通りに行かず、どうしてよいかもわからず数時間はまってしまったことがありました。
結果として、高い金を払って買ったにもかかわらず、そのチュートリアル本は少し読んでおしまいでした。
もちろん期待していたスキルは伸びません。
こうした経験からちょっとしたミスが特に初心者には大きな障害となるとわかりました。

一方で、翻訳の難しさもわかります。
Mayaを熟知した翻訳者などそうそういるわけでもないので、こういった本の翻訳は大変な作業だと思います。
以前、業界は違いますが、マニュアルの原稿と版下作成にも関わったことがあるので、どんなにチェックしても見過ごされがちな点もあることはよくわかっています。
ただ、こういったことを許容していては、質の良いチュートリアル本は生まれてきません。

特にエフェクト関係はチュートリアルが少ないので、この本だけはなんとかガイドとなってほしいと期待しています。

この手のステップバイステップのチュートリアルを正確に校正するには、実際に実践しながらステップを追っていく以外にないでしょうし、それが一番確実な方法だと思いますが、実際の出版現場では非現実的なステップかもしれません。

スキルが高い人たちはこのような入門書は、それほど読むことはないだろうし、
かといって初心者でしかも日本語版を購入する人は、間違いなどを指摘することはできずに、ただの説明不足や誤植、誤訳に振り回されるだけですから、ほおっておいては、なかなか解決できないだろうことが推測できます。

よって、私のようなある程度Mayaになれている人間であれば、ステップの間違いに気がつきやすく、チュートリアル程度なら英語も少し理解できるので、誤訳も指摘できます。

私のような人は他にもいるかもしれませんが、その人達がちゃんとメモを残し、しかも公開するかどうかという点については、もっと確率が低くなります。

ということは、この勉強の機会をうまく利用し、気がついた点を残し、公開していくのが、この本を手にした全ての人にとって役に立つのではないかと思ったのがこの「本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足」シリーズを書いている理由です。





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Pg21 ステップ2の誤訳
: 「デフォルトでは、シーンにないライトがない場合には、Mayaによって有効に設定されます
: 「デフォルトでは、シーンにライトがない場合にMayaはあるライトを有効にします。

これは、デフォルト・ライトのことを説明しているわけですが、デフォルトライトの詳細はオンラインヘルプをご覧ください。

CGでは、かならずライトがないと、レンダリングしても真っ黒になってしまいますから、何かしらの結果をみれるようにするには、最低一つのラインとが必要となります。

毎回、シーン作成する度に、ライトを作成する手間を省く意味でもデフォルト・ライトが自動で作成されています。
通常、Mayaのシーンにライトを作っていなくてもレンダリングしたときにオブジェクトが見えるのはこのデフォルト・ライトのおかげです。
これはディレクショナル・ライトです。


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Pg21 ステップ3への補足
図1.25は、この時点での銀河のイメージのスナップショットです。
とありますが、これは翻訳の間違いではありません。
.原文自体、ストレートな言い方でなくて多少わかりにくい説明だと思います。

もしかしたらこのIBLを利用してレンダーしたイメージのことだと思われる方もいるかもしれないので補足しておきたいと思います。
(自分がそうでしたので)

この文の一つ前で「galaxy.iff」をロードするという文がありますが、ここでは「そのgalaxy.iff はこんな画像です」と説明しているだけです。
あえていえば「銀河」と訳さざるを得ないので、どのことを指しているのかわかりづらいのですが原文では
Figure 1.25 shows a snap-shot of the galaxy image at this point.」
となっています。
the galaxy image
であり、その前にあったgalaxy.iffを指していると思います。
ここがややこしくなっているのは、

「galaxy.iff」はファイル名のことを指しており
その後の説明はこのgalaxy.iffというファイル内にある画像(イメージ)を見せたいのでキャプチャーしたものを掲載しておきます。という意味です。


意訳するなら
図1.25は、galaxy.iffに含まれているイメージ画像です。
というほうがわかりやすいかもしれません。


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Pg22 一番上にあるIBLノードの説明について補足
これは違和感なく理解出来る人もいるのだと思いますが、自分は少し引っかかったので

イメージをシーンに合わせて回転させることができます。
とありますが
原文は
You can rotate it to align the image in your scene.」
ここで「合わせて」と訳されているところは、原文では「align」です。
Alignには、「そろえる、調整する、整合させる」という意味があります。

これをそのまま訳すと
シーン内では、イメージを調整させるために、それを回転させることができます。
となりますが、「それ」という表現ではあいまいさが残るので、以下のように表現するとよりわかりやすくなります。

「それ」というのはIBLノード(mentalrayIbl1」ノードのことを指していますので、
文章としては
シーン内では、イメージを調整させるために、IBLノードを回転させることができます。
というほうがしっくりくるでしょう。

しかし、これは原文と多少異なってくるため、この訳を載せることは出来ないでしょうね。



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Pg22 ステップ4 補足
イメージをベースにしたハイブリッドのディレクショナル・ライトが作成されます。
とありますが、
ここの「ディレクショナル・ライト」は原文では「directional lights」と最後に「s」がつく複数形です。
要するにイメージのピクセルカラーと強度を元に、たくさんのディレクショナルライトが作成されるという感じですね。
(いくつ作られるのかはわかりませんが)

それを踏まえておけば後に続く「各ディレクショナルライトは、・・・」の文脈は理解しやすいと思います。



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バグ?
このメンタルレイのIBLレンダリングですが、Maya2011だと、星とアステロイドベルトは真っ黒になってしまい背景の画像しかレンダリングされません。
オブジェクトのアルファはあるので、ライト(IBL)のバグだと思うのですが、何かご存じの方がいたら教えてください。

設定は
デフォルト・ライトをOFF
IBLを作成。
画像を使用
IBLのEmitt Lightをオン

です。

ちなみにMaya 2011 64bitを使用、 Hotfix3 64bitでインストールし直しましたが現象は変わりませんでした。

これについてはまったく同じ問題を抱えている人もいました。
The AREA: Maya 2011: IBL?
このスレッドの中にもあるのですがバグについて書いてあるのは以下のURLのページです。
http://mayastation.typepad.com/maya-station/2010/08/light-emission-from-ibl-node-increase-render-time-in-maya-2011.html
ここにあるようにQualityUとVを7にしても、このシーンの場合は、変わりませんでした。

(2010/9/5 追記: Maya2010にて同じシーンファイルを開いたところ、問題なくレンダリングできました。やはりMaya2011でのバグと思われます)



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Pg25 流体のメカニズム 補足
冒頭の文章で、
その後数年のうちに、ジオメトリ操作の分野において新たな用途が見いだされました。
これだと、「ジオメトリ操作の分野」に焦点が合っているような気がして、なぜいきなりそのような話になるのかちょっととまどいました。

原文は
And over several years, this technology found new uses in manipulating geometry.

合っているかどうかはわかりませんが、自分なりに訳してみると
数年のうちに、このテクノロジーの新たな用途がジオメトリ操作において見いだされました。
微妙な違いですが、これだと原文にもあるように「このテクノロジー」と明記してあるので、その前にされたパーティクルの話が続いていることがわかります。

ちなみに、これはソフトボディーやクロスシミュレーションのことを言っているのでしょうか?


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古くからある技術に基づく新しいツールが登場しました。

原文は
a new tool emerged based on an old science.

「science」ですが、これを「技術」と訳すこともできるのですが、自分の場合は「科学」と訳した方が納得できますし、あとの文章
「実世界の流体メカニズムの研究がベースになってい・・・」に結びつきます。

自分なりの解釈した訳は
古い科学に基づく新しいツールが登場しました。



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これはさほど代わりはないのですが、

主な概念の基本を理解するだけで十分です

原文は
only that you have a basic understanding of the principal concepts.

自分なりに解釈した訳は
主要な概念の基本的理解があるだけで充分です。


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過去の関連エントリ:
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その1)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その2)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その3)

2010年9月4日土曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その3)

pg18のステップ2のところです。

「・・・ランプを目的のアトリビュートにドラッグすることでしょう。」

とありますがこの「ランプ」は原文では「ramps」と複数形です。
図を見ても推測できるのですが、ようするに一つのランプではありません。

しかしここではどのRampをどこへ接続すればよいのかが明確に書かれていません。
ramp1~ramp3までありますが、ramp3はこの一つ前のステップで作成したもので、これはパーティクルの半径に関係しているもの(radiusPP)です。


このステップでは
「ライフ カラー」(Life color) には、RGB PPにつながっているramp1を、
「ライフ 透明度」(Life Transparency)にはOpacity PPにつながっているramp2を
それぞれ接続します。

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また参考までにその後Pg19
パーティクルサンプラノードが作成されます」とありますが、これも原文は「Particle Sampler Info nodes」と複数形です。
ようするにramp二つを接続しているのでこのノードも二つ作成されます。
その後に続く、「これらのノードを使用すると」というのはこの二つのParticle Smapler Infoノードのことを意味していることがわかり、その後の文脈の意味が理解しやすいと思います。

またこの部分の文章は誤訳ではないかと思われる箇所があります。
これらのノードを使用すると、パーティクル単位のアトリビュートでシェーダーアトリビュートを制御できます。
とありますが、これはどう考えても意味が逆。
シェーダーアトリビュートでパーティクル単位のアトリビュートを制御している」という意味であるべきだと思うのですが
実際には原文の意味合いは多少違っています。

原文は「These nodes enable you to drive shader attributes with per particle attributes.」となっています。
日本語だと、「・・・アトリビュートで」の「で」の部分は「by(~によって)」ではなく、「with(~と共に)」です。

なので、正確には
これらのノードを使用するとシェーダー・アトリビュートと共に(と一緒に)パーティクル単位のアトリビュートを制御できます
とすべきだったと思います。

これは原文もわかりにくい説明の仕方ですが、
翻訳も、どうみてもMayaを知っている人が訳した文章ではないですね。
Mayaを知っている人なら読んでておかしいなと思うはずです。

まぁこの辺は、ボーンデジタルさん(日本語版発行元)らしさが出ていますw

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ステップ4でも、小さいことですが、誤訳があります。
[グローの強度] アトリビュート白黒のランプ・・・
は正しくは
[グローの強度] アトリビュート白黒のランプ・・・
です。

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最後に老婆心ながら、この「Comet_Mat」パーティクル・クラウド・シェーダーをパーティクルにアサインするのを忘れないようにしましょう。
ステップ2の一番最初に書いてあるのですが、わかりにくかったので。
いくらレンダーしても青いクラウドしか出てないと言うことはデフォルトのシェーダーのままだということです。
画面ではパーティクルのRGB PPの色を表示しているのでわかりにくいですが、ソフトウエアレンダーの時はクラウドシェーダーから色を取ってきます。

このチュートリアルは、そこでクラウドシェーダーの設定をやり直すことなくパーティクルのRGB PPのランプ設定をそのまま持ってくる方法の説明です。


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関連エントリ:
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その1)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その2)
本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その4)

Star Wars EP1 と DOUBLE


今回はほとんどVFXとは関係ないことですが、同じアートに関わる者としてなにか手本になるものがあるのではないかと思ったのと、趣味のメモのためです。

さて、今日、子供にスターウォーズの「The Imperial March」を聞かせてやりました。
(ちゃんとしたのが聞きたい人はこちら w) 
プレスクール(保育園)でスターウォーズに感化された他の子が歌っているのを聞いて、覚えてしまったようです。
ご存じの通り、うちにはテレビを置いていないので、知るすべはないのですが、教えてもいないのに結構正確に口ずさんでいたので、ちょっと不憫におもい。
CDだけでもと思い、聞かせてやると大喜びしてました。

 さて、他に聞かせた上げられる曲はないかといろいろ探していたとき、スターウォーズEP1の曲を思い出しました。


シリーズでも異色なコーラスが入っているこの曲ですが、この曲にはあることが一緒に記憶に残っていて今でも思い出します。

それはこのエントリのタイトルにもなっているのですが、歌手の「DOUBLE」です。

この二つの関連を上げられる人はいるでしょうか?
「DOUBLE」は姉妹のデュオであり、当時としてはめずらしく本格的なR&Bを日本語で違和感なく聞かせてくれる歌手であった。

1999年の公開時、起床時にラジオをタイマー代わりに使っていたのですが、そのときに音楽番組に合わせていました。
そこで、このEP1の曲が初めてラジオで流された。
ずいぶんイメージが変わったなと当初は多少がっかりもしたのですが、聞いているうちにこれもありかと好感度があがり始めたとき、「急な話ですが・・・」とDOUBLEの姉のSACHIKOさんの急逝が伝えられました。
ちょうど「Shake」が大ヒットしていた時期だった。

当時はテレビを持っておらず、インターネットも電話回線だったので、どれほど世間で大きなニュースになっていたかは知らないままだ。

歌もうまくリズム感があり、なにより歌声が美しかった。
CDも買って、毎日聞いていたほど、DOUBLEは好きだったのでこれはショックなニュースだった。

その後は、あまり聞かなくなっていたが、これがきっかけでDOUBLEを思い出しWikiで調べてみたら、なんとSACHIKOさんが亡くなった日とEP1のアメリカ公開日同じ日(1999年5月21日)だった。
だから同じ日だったんだと今更ながら納得。

16年ぶりのスターウォーズ新作という喜びと一緒に、いつも結びついている記憶である。

その後のDOUBLEの活動などが気になり少し調べてみたところいくつかYoutubeで妹のTAKAKOさんのインタビューを見つけることができた。
姉の死を乗り越えて、ソロでここまできちんと成功できたのはすばらしいと思う。
そしてプロであること、好きであることの本質を垣間見ることができたような気がした。

DOUBLE 初めて語るSACHIKOのこと

心に残ったのは、「私って歌を歌うことが自分なんだなと思って・・・」という言葉。
好きを超えてそれが自分のアイデンテティーであると客観的に自覚できるというのはすごいことだと思いました。
 DOUBLEというデュオがそれまでのアイデンティティーであったわけですが、それはおそらく半ば姉を頼りにしてのこと。
姉を失うことで、アイデンティティーを(おそらく)失い、ファンの言葉で新たなアイデンティティーを確立できた。これはファンの言葉のおかげと言えるかもしれませんが、SACHIKOさんの精神力と音楽に捧げている姿勢によるところが大きいと思います。
自ら選んだ道を進んでいく者としてこれは大いに参考になります。


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以下はおまけです。

DOUBLE 音楽とヒゲ(1of3) 
 

DOUBLE 音楽とヒゲ(2of3) 
 

DOUBLE 音楽とヒゲ(3of3)  



そのほかインタビュー
DOUBLE SPECIAL INTERVIEW Part 1
DOUBLE SPECIAL INTERVIEW Part 2
DOUBLE SPECIAL INTERVIEW Part 3
DOUBLE SPECIAL INTERVIEW Part 4
DOUBLE SPECIAL INTERVIEW Part 5 
DOUBLE、復帰コメント! 


DOUBLEの歌声を分析 - 日本音響研究所 所長・鈴木松美氏 



最後に「Angel」を