日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2011年7月27日水曜日

「ハリウッドCG業界 就職の手引き」 リビュー (その2)

前回の続きで、今回で完結しています。


「第4章 英語習得のためのTIP」
これは溝口氏による内容となる。
直接の面識はないのだが、さすがに海外でご活躍されてきただけにそのアドバイスも具体的で、参考になる。
おそらく通常の英会話は発音や文法に絞ってのアドバイスが多いが、このTIPは実際に英語圏で暮らし、英語を使って仕事をする上で必要となってくるTIPが多い。

その分、日本国内にいるとリアリティーがわきにくい内容もあるかもしれないが、これらに留意して英会話を勉強するとしないとでは渡航した後に違いが出てくると思う。

その理由は全てを身につけることが出来なくとも、いつもそういったポイントに注意を向けることが癖になっていれば、現地のネイティブの会話から自然と学べることが増えてくると思うからだ。

さて、溝口氏のTIPは、自分も知らず知らずのうちにやっていることもあったがこれは普通の英会話の本では出てこないだろうなと言うような内容もあり、まさに英語圏で仕事を通じ、四苦八苦してきた人ならではのTIPとなっているように感じた。
まさに実践的である。


「第5章 日米CGプロダクションはここが違う」
これは非常に参考になりました。
タイトルからすると違いを述べているだけのように見えますが、アメリカの(中堅以上の)CGプロダクションというモノがどういうものか、詳細に述べられています。
自分は、中堅以下の会社でしか働いたことが無くほとんどが小さいところだったので、大手ではどんなシステムで動いているのかが見えてこない部分があったのですが、この章をよんで多くの事がわかりました。

「第6章 ハリウッドでは「主流」の分業制を理解する」
ハリウッド映画の制作ではアメリカを問わず分業制が主流ですが、就職活動で自分の職種を決めるのに迷うことはよくあります。
もちろん最終的には自分の興味、スキルなどのバランスを考えて決定することになるのですが、それ以前になぜ分業制なのかと言うことを理解しておくことで,
スタジオにどういったニーズがあるのかということを推測しやすくなる部分はあると思います。
この章はハリウッド映画の制作体制をより深く理解するだけでなく、どうしてそうなっているのかまで説明されており、非常に勉強になりました。


「第7章 ハリウッドでの就職活動」
応募の際に「何ができるか」を見せようとしてきたのですが、これを読んで「何をしたいか」を見せようとしても良いのだとわかり、ちょっと安心したというか納得しました。
他にもデモリールやレジュメなどの注意事項が満載。
これを駆け出しの頃に知っていたらかなり助かっただろうなと思います。


「第8章 今すぐ行動に移す」
こちらも溝口氏によるもの。
これが結構、誤解されたり、出来ない人が多いわけですが、これが出来ないと実現もしないというポイントですね。
自己実現の本や多くのビジネス書を読んできた人には、お馴染みのことが書かれていますが、ポイントを押さえて数ページにまとめられており読んで実行するだけです。
多分、これを読んで実行に移せなければ、どんな本を読んでも同じ事でしょう。それほどポイントが押さえられているように思います。

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<読み終えてみて>
これで一通り読み終わったのですが、後半は非常に内容が濃いもので、9年もこちらで働いていて知ったつもりになっていましたが、まだまだ知らないことはたくさんありました。
まさに本のタイトル通りで、ハリウッドCG業界就職への道標です。

著者の鍋氏が友人だから、売り込もうとしているわけではなく、正直な自分の感想として、現在学生の方、そして現在プロとしてご活躍の方、ハリウッド業界を知るためにも、そして就職するためにもこれは必須の一冊だと思いました。

鍋氏自身も、様々な危機を乗り越えてハリウッドで継続してポジションを維持し続けており、その知識の実践を目の当たりにしてきました。


それはこの本にまとめられた内容でもあり、自分もこれからの就職活動に再度読み直して使っていこうと思いました。

なおこの書籍についての詳しい情報は下記のリンクからご覧いただけます。
ハリウッドCG業界 就職の手引き (国内版)

2011年7月26日火曜日

「ハリウッドCG業界 就職の手引き」 リビュー (その1)

友人でもある映像ジャーナリストの鍋潤太郎氏より冊子版「ハリウッドCG業界 就職の手引き」をいただいたので早速リビューを書かせていただいた。
(といっても実は書いたきり、ブログには投稿してなかったので今回、再読して多少訂正後の初掲載です)
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「第一章 北米CG業界の現状」
自分が持っている冊子は多少古い(2008)ので、第一章の情報は現在の動向には沿わないところが多い。
とくにここ数年でハリウッド映画を取り巻く状況は大きく様変わりした。
ILMはDigitalDomainまでもがCGアニメーションに参戦し、VFX組合の発足も噂され、もはや衰退の一途かとおもわれた西海岸のVFX業界も、「アバター2」、「アバター3」のためにジェームスキャメロンが新しいスタジオを設立するという話も持ち上がってきており、まさに先行きが見えない状況になっている。

しかしながら第一章を読むだけでも、通常のCG雑誌やWebサイトではえるのが難しいほどの質と量で海外スタジオの動向を見ることができる。
これは著者である鍋氏の姿勢であり、情報収集力の強さでもあるので、最新刊ではその質と量を保ち最新情報がぎっしりと詰め込まれているのではないかと思うので、(お金に余裕があれば)ぜひ最新刊も読んでみたいと思ってしまう。
おそらく日本語で読めて、ハリウッドのCG業界の概略を知ることができるのはこの本ぐらいではないかと思う。


「第二章、就労VISAの基礎知識」:
ここでは海外で働く為に必須のVisaについて書かれている。
実は自分は、渡米したときにはVisaといえばクレジットカードのことぐらいしか知らなかった。
要するにアメリカで働くには就労VISAが必要と言うことを知らず、学校の卒業間近に青くなったことを思い出す。
こちらのCG学校に通った(6ヶ月コース)ですが、そこで良い成績を出せば学校の求人情報の掲示板にでも貼り出された求人に応募すれば就職できるだろうと考えていたのです。
実際にはそんな甘い物ではなく、学校は求人情報の張り出しはおろか、紹介でさえしてくれませんでした。
この本には、Visaのことも詳しく書かれていて、渡米前に読んでたらくじけていたかもしれません(笑)
多彩な事例が乗っていて自分が就労VISAの条件に合うのかどうか、照らし合わせてみることが出来ます。

補足しておくと、小さい会社だと今までVisaが必要な人を採用したことがないところがあります。
そういう会社ではまずVisaの手続きについて説明しないといけないことがありますが、
ポイントをおさえて会社の負担が出来るだけ少ないことを説明する必要があります。
そういう意味では、Visa手続きについて詳しくないと説明も出来ません。
たとえば移民弁護士を見つける作業、弁護士費用、その他必要な費用は自分が負担するので、必要書類の提出だけをお願いするというのも一つの手です。
小さい会社ではこういった作業がすべて初体験ではそれを調べるだけで多くの負担になってしまうため敬遠されることもありえます。また会社の経営に影響を及ぼす可能性のあるリスクも避けたがります。
なのでそういったリスクで自分が負担できるモノは負担し、最低会社が必要なところだけをやってもらうという感じです。
こういった交渉でうまく了承を得ることが出来る可能性はないとは言えません。
Webサイトを検索すれば日本人を対象としたVisa手続きをしてくれる移民弁護士さんのサイトがいくつか見つかります。
中には詳しくその手続きを説明しているところもありますので

また移民弁護士も、事務手続き的なところもあれば、Visaがとれるように最善を尽くしてくれるところ、CG関係になれたところなどいろいろです。
大手のCG会社などは、やり手の移民弁護士を雇っており全ての手続きがスムースに進むようですが、なれていない小さな会社などでは移民弁護士はだれでも同じと考えている(というか移民弁護士がどんなモノか知らなかったりする)ことがあるので、会社だけに任せきれないところもあります。

まぁ日本から応募する人はこのような情報を必要とするようなケースはほぼ皆無だとは思いますが、アメリカの大学をでてOPTで働いた後にVisaサポートを考えているようなケースでは、もしかしたら参考になるかも知れません。

あいにく私はどの弁護士が良いかと言うことは知りませんので、こればっかりは現地で情報を集めていただくしかありません。
大手の会社に知り合いが居れば、その人が手続きしてもらった弁護士さんの連絡先を教えてもらうのも手かもしれません。
先ほど述べたように大手のCG会社ではその手続きに慣れた移民弁護士を採用していることが多いからです。

一つだけ追加しておくと、良い弁護士だからといっても、かならずうまくいくとは限りません。
Visaの取得資格がグレーゾーン(あいまい)な場合はそもそも拒否される可能性もあります。
弁護士はその成功したケースの数によってポイントが上がるようなんですが、良い評価を気にする弁護士は、確実なケースしか受けないこともあるからです。

もし自分のケースが心配なら、それと似たケースで解決した人に意見を聞くのも良いでしょう。

「グリーンカードの抽選には必ず毎年応募すること!」
それから、グリーンカードの抽選には、渡米するしないにかかわらず、将来海外で働く気が少しでもあるなら、毎年必ず応募しておいた方がよいです。
たとえ「英語が出来ないから」という理由があったとしてもです。
理由はいくつかあります。
1)海外で働く為に無条件で労働許可がもらえるのはグリーンカードだけ。
2)グリーンカードが抽選でもらえるのはアメリカだけ。
3)はずれて当然、あたればもうけもの
4)当たっても行く気がなければキャンセル可能
5)キャンセルした後もまた抽選に応募できる(再度当たる確率は低いとは思いますが)
6)サブプライム以降、応募者が減少している。

またグリーンカードは当選しても、即座に手続きを進めないともらえるとは限りません。
キャンセルする人数を考慮し、グリーンカード配布数の約二倍の人数に当選通知を出すからです。

詳しくはこちらを「アメリカ抽選永住源 当選後の手続き




第三章「ハリウッド就職のためにキャリアを磨け」
これは先ほどのVisaの取得を念頭においてどのようにキャリアを薦めていけばよいか書かれていて、自分がどのように海外での就職(CG)へむけて進んでいけばよいかを考えるために非常に参考になると思う。
ただ学校などの選択方法だけでなく、将来の就職活動にむけてどのようなジャンルを選択すればよいのかというアドバイスもされている。
自分はただがむしゃらにCGさえできれば良いと思っていましたが、今となれば的を最初から絞っておけば良かったと後悔もあります。
大きな目標は実際に達成するまでに多くの経験と努力、そして忍耐を必要とすることもありますがそれは最初から目標として絞ってあれば、今より早期に達成できたであろうからです。

デモリールの重要性についても述べられていますが、自分の採用される側、採用する側、両方からの経験からいってほとんど経歴とかよりもデモリールです。
これですべてのセンスと技量が見て取れるからです。まさに「百聞は一見にしかず」。
大手ほど、そしてすぐれた会社ほど、その人のセンスと技量を見抜く力はしっかりしているように思います。

さらに求められるスキルについても書かれています。
これはハリウッドの業界を知らない場合は、非常に為になると思います。
自分も渡米前に読めたらよかったなと思います。

なおこの書籍についての詳しい情報は下記のリンクからご覧いただけます。
ハリウッドCG業界 就職の手引き (国内版)

2011年7月4日月曜日

海外就職に使えるジョブ掲示板

VFX Job Hunt
http://www.vfxjobhunt.com/
たくさんのジョブボードに投稿された求人情報をまとめているサイト
Twitterでフォローしておくと投稿された情報をTLで見る事が出来ます。
VFXに限らず、モーグラ系のジョブボードにもリンクしているのでいろんな仕事が見つかります


2-PopForums.comのジョブ掲示板
http://www.2-popforums.com/forums/forumdisplay.php?f=180
老舗のジョブ掲示板。7-8年ほど前にCG系の就職というとここが主流でした。
ほとんどの仕事はここで見つかります。


CREATIVE HEADS. NET
http://www.creativeheads.net/
一時期はVES(米視覚効果協会)のメンバー向けジョブボードはここの情報をのせてました。
(今はVESのHPからはなくなったようです)
Twitterで配信もしてますし、メール登録しておけば定期的に情報が送られてきます。
このサイトはは、自分のプロファイルページを作成しデモリールやレジュメなどをアップロードしておけば直接サイトから応募できます。
情報をみるには検索条件を指定して検索する必要があります。
Animation&VFX /Television / Film / Art /Animation /Graphic Design /Californiaで絞り込んだ結果はこちら
経験からですが、以前DreamWorksやDisneyの求人では他のジョブボードには無い情報が合ったりしました。
またDreamWorksなどは、このサイトから応募しても、あとでアーティストは直接デモリールを送ってくれというメールが来たりして多少混乱したことがあります。


ani-jobs.com 
http://www.ani-jobs.com
Jobs Forumから求人情報が見れます。



VFX RECRUIT
http://www.vfx-recruit.com/
あまり使った事は無いんですが、大手からも投稿があるようです。


VFX WAGES
http://www.vfxwages.com/
JOBSをクリックすれば求人情報が見れます。
「WAGE」とは賃金、すなわち給料(ここでは時給)のことです。
このサイトが業界にとって、画期的なのはこの機能です。

実際に勤務した人達からの情報がよせられています。
WAGESをクリックすれば各社の時給がどのぐらいか見る事が出来ます。(要無料会員登録)
会社によっては報告が少なすぎて偏っていたり、あきらかに嘘だろうというぐらい高額な報告もみられるので、信頼度は70-80%ぐらいです。あくまで参考程度に。

(補足)
日本と比べて時給が高いと驚く方も居るかも知れませんが、家賃やその他の必要経費は日本よりも高いことが多いようです。その辺りを計算にいれると生活レベルは同等か、やや良いぐらいです。
例えばアメリカなどでは保健にかかる費用、医療費は日本とは比較にならないほどたくさんかかります。保険に入っていても子供の定期検診で毎回$20とられるとかは普通です。
一度、救急車を呼べば数百万かかるとか。保険も高い費用を払っていても、全ての場合に適用できるとは限らず救急車の費用が自腹になるケースも。
説明書には細かな条件がびっしりと書かれています。
またほとんどのケースはフリーランスの価格だと思われます。
フリーランスは自営業なので、支払う税金の比率が高くなり、保険も自腹です。その辺りは雇用側もわかった上での価格設定ですので、VISAサポートを受けて社員(スタッフ)として雇用される場合は金額がフリーランスよりも低いのが一般的です。


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補足:
以上、サイトによってはアメリカに限らず、インドなども含めて各国から採用情報が寄せられています。
また、仕事内容もVISAサポートを前提とした企業、交渉可能な企業、地元の人のみもしくはVISAサポート不要な人のみの場合が混在しています。
特に2週間などの短期なものはVISAサポートはないとおもって間違いないでしょう。