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2010年10月6日水曜日

広島の山奥にある「彫刻村」の思い出

今回は知る人ぞ知る広島の「彫刻村」の話です。

いまから20年ほど前のこと、当時は広島に住んでいた。

そんなある日、「彫刻村」というのを見つけ行ってみることにした。
本当は箱根の彫刻の森美術館に行きたかったのだが、遠くていけなかったので近場で似たような物がないか探していてみつけたのだ。

その場所は、山の中にあった。
中国地方にすんでいると、ちょっとしたレジャーで山の中のドライブをするのは珍しいことではない。曲がりくねった道を進んでいった。
しかし、途中から車一台の車幅しかないような道に変わってきた。
道を間違えたかと思ったが、一本道であり間違えようがない。
そのまますすむと舗装はなくなり、土の道と化した。
 まぁ、子供の頃は土の道もところどころ存在してたので、これも未経験ではない。

そのうち人気がなくなり、これで行き止まりだったらどうしようかなどと不安にかられながらも進んでいく。
途中、廃棄物処理場のようなところがあり、そこに積み荷を運んできたのだろうかダンプカーが脇に止まっていた。
その横を通り過ぎ、いよいよ山奥感が深くなった頃、急に目の前が開けた。
建物があり、そこが彫刻村だということがわかった。
どれぐらい山の中に入っていくのかGoogleマップで見るとよくわかる。


さて、まだ出来て間もないのか受付はまだ真新しい木造建築であった。
そこで入場料を払う。

なんでこんな山奥で普通に仕事できるのかもしかして狐が化けてんじゃないかと不思議に思いつつも、人に会えた安心感を感じた。

しかし、100ヘクタールという広い敷地内には、人っ子一人見当たらず、いるのは自分だけという感じ。
入り口から入ってすぐに、100m程度の通路が続くが、その両脇には人物の(子供だったか?)彫刻がずらっと並んでいる。
正確な数は覚えていないが10~20体が両脇に並んでいた。
当時と違い草木が増えているが多分この写真の場所↓

(写真は4travel.jpの「一人旅[268]の投稿より

ぽかぽかした陽気な日差しと鳥の鳴き声しかきこえないその空間は、まるでラピュタに出てくる天空の廃墟のようでどこからかあのロボットが歩いてきても不思議ではない雰囲気があった。

今になって知ったがこれは、奥山泰堂という人の彫刻らしい。
目は細かな彫刻はされておらずへこんでいるだけ、粗っぽい作りが一夜にして消滅したポンペイの人型をみているような感じさえする。


じっとみているうちに、彫刻がじっとこちらを見ているような感じさえしてきた。
たしかに、ほとんどの彫刻の目線はこっちを向いているのだ。
それに気がつくとどことなく背筋が寒くなってくる。
通路に向かって彫刻は立っているので、歩いている限りいつも彫刻に見られているような感じになる。
たまに人の気配を感じて振り返ったりするのだが、彫刻がじっとみつめているだけであり不気味感が増してくる。
もしかしたら自分の見ていないところで動いているのではないか?とさえ思ってしまう。

しばらく見て回っていると遠方に掃除をする作業員の姿が見えて、少しホッとした。
結局、箱根の「彫刻の森美術館」のようなところを期待していただけに、一人の作家の彫刻ばかりで、しかも近代彫刻を期待していたので多少がっかりして、足早に見て回り、1時間ほどで帰った。



彫刻を見るのは好きで、比治山の現代美術館にも仕事が終わってから散歩に行き、屋外彫刻をながめながら日が暮れるまでの時間を楽しんでいた。

しかし、この彫刻村だけは今までとはまったく違う異質な経験だった。
見ていると言うよりも、見られている感じがし、自分一人で広大な廃墟にいるような感覚。
(今は本当に廃墟になっているのかもしれないが。。。)
時間が止まったような感じというのはまさにこのことだったのかも知れない。
それとも異空間にいる感じと行った方が良いのかもしれない。
彫刻を見に行ったのに、彫刻に見られた気持ちのほうが強く印象に残っている。
このような経験は他では決して出来ないだろうし、後にも先にもこのとき限りだ。
きっとラピュタに迷い込んだらこんな感じなんだろうなとも思う。 
人が居ないという言う点では映画化の話もでているゲーム「MYST」のような場所に迷い込んだ感じもする。
貴重な体験であった。

この強烈な印象は今も残っており、それがどこだったかずっと気になっていた。
しかし「彫刻の森美術館」と名前が混同してどうしても思い出せなかった。
昨日、思いつきで、ある質問サイトで訪ねたところ、すぐに解答が来て、長年の疑問が晴れた。

いくつかのリンクを下においておくが、どうも当時車で通れた道は今はけっこうぼろぼろになっているらしく「彫刻村」自体も廃墟になっている可能性が高い。
今も、彫刻の村にはまだあの人物像がのこっているのだろう。
いつかまた行ってみたい。


(ちなみにその頃行きたかった箱根の彫刻の森美術館は7~8年後にいくことができた。)


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正式名称は「たいどう彫刻村


ブログ:新型そうだちゃんなダイアリー 「林道中倉線(南原峡)、たいどう彫刻村、林道今田線
林道は以前通った道と同じなのかどうか思い出せない。
たしかに「唯一眺めの良い場所」というのは自分も車を止めて眺めた気がする。
また林道の写真で小さな欄干がみえるところがあるがこの道もなんとなく通った気がする。


ブログ:クリーニングフミヤ 広島市安佐南区上安2丁目「千代田町 「たいどう彫刻村へ行きました。
こうしてみるときれいなところです。
まず東京近辺ではあり得ないところでしょうね。
しかしイノシシが居たとは、当時、出会わなくて良かった。


たいどう彫刻村林道


ホームページ:ひろしま観光ナビ
たいどう彫刻村


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ちなみにこれは比治山の現代美術館にある小道(引用元ブログ:Flash Backより)



同じく敷地内のヘンリームーアの彫刻(引用元
仕事が終わった後にスケッチしてたこともありました。
とにかく良い雰囲気でリラックスできるところでした。

2 件のコメント:

  1. Melonさん、こんばんは。
    さすがは広島、ミステリアスな空間がありますね。
    ポンペイの例えは、良かったです。

    私は、彫刻はどうでも良くって、
    逆にMelonさんは、お好きとのことですが、
    こういう所も、面で見るか、線で見るか、の嗜好の違いが出てくるのかも、
    しれません。

    しかし、ここはちょっと歩いてみたいですね。
    色んな意味で、楽しそうです。
    その時は、実物大のラムダでも持って行って、置いて帰りましょう。

    返信削除
  2. ヤマドリさん、こんばんは~。
    粘土でなにかつくるのが好きだったので、その延長ですかね。彫刻見るとどうやって作ったのか考えたり、骨格や筋肉のつき具合とかが勉強になって楽しいんですよね。
    本来の芸術鑑賞とは違うかも知れませんが....。

    もしいつか広島へいかれることがあったら行ってみてください。自分も次に一時帰国したときに時間があれば行ってみたいのですが、まだ車で通れる道が存在しているのかどうか怪しいです。

    返信削除