日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2011年2月14日月曜日

アメリカのカスタマー・サポートの質の悪さ

「アメリカのカスタマーサポートは質が悪い」というのは日本人にとっては、いわば常識である。
このブログでもたびたび、不満をのべてきているのでご存じの方も居ると思う。
特に英語を苦手とする日本人にとっては、アメリカのカスタマーサポートに電話するのは一大イベントにもなることが多い。

英語が苦手なこともさることながら、対応の悪さ、遅さ、対応の間違いに閉口させられるので出来る限りさけたいのが本音だからだろう。

自分が一番接触することが多かったのは、電話会社のベライゾン(Verizon)だが、
ベライゾンの広告などで「顧客満足度ナンバー1」と言っているのを見ると、ベライゾンの質がよいのではなく、他の会社がもっと悪いのだろうと思うし。
we never stop working for you」というコピーをみると、本当のところ「stop」は不要「we never working for you」だろうなどと皮肉を考えてしまうほどだ。


まぁ冷静に考えてみれば、(勝手な推測だが)ベライゾンはカスタマーサポートのデータベース化に力を入れているのは電話越しの対応で感じる事がある。
電話越しで、それが感じられること自体良くないのだが(笑)、まぁそのあたりは(おそらく)入れ替わりの激しい契約社員に教育を入れるよりもシステムをより、使いやすくしたほうが手っ取り早いし質もかわらない。

しかし、それらはヘルプをみることができないような顧客には役に立つが、ヘルプを自分で見れるようなレベルになると、あまり役に立たない。
実際、それらの事例の一般的な物は、サイトでも見れるようにしてあると思う。
(あまりにも特殊な事例は、載せてないと思う)


電話での対応はイライラさせられるので、最近はメールで問い合わせをすることが増えたが、返事に3~4日かかるのはざら。場合によっては返事が来ないこともある(大体は対応するのが嫌な物がスルーされて浮いている状態だと思う)。
質問を箇条書きにわかりやすく書いていても、返事は一つの質問にしか帰ってこなかったりするのはあたりまえ。
メールでも一筋縄ではいかないのがアメリカのサポート。


いままでの自分の経験として、
一番良い対応をしてくれたのはApple。
普段Appleに良い意見を述べないこのブログだが、サポートだけは日本なみに良かった。
たまたま良いだけかも知れないし、事例が一番多い事例だったのもあるかもしれない。
しかし少なくとも対応してくれた人が機械的ではなく、余裕が感じられた。

Pogoplugのサポートはまぁまぁだった。
こちらはe-mailによる物だったが、最初は丁寧に対応してくれた。
忙しくなったのか、徐々に忘れられることが多くなってきたのは残念。
完全に製品に対する対応がされたという意味ではなく、サポートする社員の対応がまぁまぁよかったということだ。
少なくとも問題解決のために、なんとかするためにエンジニアとコミュニケーションを取っていることは感じられた。要するに誠意が感じられた。


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ここで少し日本のカスタマーサポートの裏話
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カスタマーサポートで入ったばかりの時は、
「決まり文句」を習い、「データベースの使い方」を習い、実戦投入される。
自分でどうしようも処理できなくなったときは、より経験を積んだシニアに振ることになっている。
大体、融通がきかない機械的な対応しかできないオペレーターはこんな段階である。
だいたいこのようなオペレーターが一番数が多く、機械的な対応をしてくるオペレーターは基本こんな感じである。


その中でデータベースの内容と現実にうける問い合わせの違いをいかに処理していくかをみにつけていくわけだが、早ければ1年、一般的に数年経験を積むと通常の事例は処理できるようになってくる。
顧客の心理をくみ取ることが出来るようになり、顧客の発言にあわせて柔軟な対応ができるようになってくるのもこの段階である。(人にもよるが)
電話口で対応をしながら手元のコンピュータから事例を検索するのもうまくなり、データベースがしっかりしていれば対応もよくなる。


さらに年期がはいってくると、顧客の対応をすばやく処理できるようになるし、人によっては寄りテクニカルな内容も処理できるようになってきて、スムースに処理が行えるようになってくる。
このあたりのカスタマーサポートに当たると、ありきたりの機械的対応で済まされることはすくなくなり、よほどのことがない限りは問題が解決するか納得のいく答えがもらえることは多い。




理想的な対応は
たえず顧客のことを気にかけており、顧客自身が自分が感情的になっている事を感じることなく、スムースに問題解決に向かっていける対応である。
これは顧客への心への対応ノウハウとテクニカルなノウハウの両方を必要とする。


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さて、悪感情をむき出しにした顧客の大半は、一時的なもので自分の使っている製品が説明されたようにうまく動作しないことでストレスを感じて生じた感情に流されているだけなので、誠意ある対応で処理できる。。

しかしながら数%程度,ごく少数だが必ずしもそれに当てはまらない、悪意をもった顧客も居る。
サポートをかき回すことを意図している人が居る。
しかも繰り返し電話してくる。
どこのサポートセンターにもそんな顧客が1人か2人はいる。
これは結構みきわめが難しいのだが、大体サポートセンターでも有名人となっていることが多いと思う。


しかし、顧客心理をくみ取ることを苦手とする社員(サポーター)は、経験者にも居るものでそういう人達はテクニカルな面のサポートはできても、感情面に対しては機械的な対応になりがちである。
そういう社員はさらに人に対してのコミュニケーションを苦手とする部分もあるので逃げに陥りがち。

いったん逃げ腰であることをこういった顧客に察知されると余計に感情を刺激することになる。
また、先の悪感情に一時的に流されて電話してきている顧客を、この悪意を持った顧客と勘違いするケースも多々あり、そうなると対応がぎくしゃくし、両者間に誤解を生み、話がこじれることも多い。
こういった泥沼化したケースになると、さらに上層部であるリーダー格の人に話が振られることになる。


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さて、日本のカスタマーサービスは比較的良い方だが
新製品の立ち上げ時には
1)事例が少なすぎる
2)表に出せない欠陥が、あり画一的なな対応を上から指示される
3)新しい部署として確立するため、新しい人が多い。
4)当然ながら経験者をバックアップ要因として入れており、その人数も通常のサポートよりは増やしているのだが、それでも問い合わせ件数が多すぎて対応しきれない。

たとえばサポートに40人居たとしても、苦情が多い時は、一時間に200件などざらである。
それに上記のようなことが重なったとする。
いくら上手な社員が対応に当たったとしても、こみいったものは処理に5分かかることはよくある。
多少込み入ったことになると20分以上かかることもある。

それに新しい社員の機械的な対応で、感情的になる顧客が増加するのでもっと話はややこしくなる。
これに対して上層部が、きちんとした対応が出来るようになるには1~2日要する。

これは想像だが、近年では新しサービスが次々立ち上がってきており、それぞれの会社がサポートチームを構成しているので、より経験者は必要とされているにもかかわらず不足しているというのが現状であろう。

それをかくしてサポートの良さを謳う、企業が残念ながら一般的で、現場とマネージメントの温度差を感じてしまう。


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さて話をアメリカのカスタマーサポートに戻そう。
以上のサポートセンターの社員の構造は日本のある会社で経験したことであり、おそらくどこもそんな感じだろうとは思うがアメリカでは多少事情が違うようだ。
国民性もあるのだろうが、概して態度が悪いことも多い。


この背景としてアメリカ人は自分に決められた以上の仕事はしたがらない。
給料が安いと特に、言われたこと以上のことはやりたがらない。
(それ以上は別に給料をもらわないとやらない)

というのを聞いたことがある。
なるほどなぁとは思う物の、もうちょっと納得のいく説明がほしいなと思っていた。


そして、その説明が先日ある方のツイッターで垣間見れた。

シリコンバレーで活躍されているエンジニア、上杉周作さんのつぶやきで内容をそのまま下にコピペしてみた。

@chibicode
アメリカのカスタマーサービスが悪いのは、顧客も従業員も多様な環境で育ったため、向上しようにも
1.従業員の教育にコストがかかりすぎるのと
2.(カスタマーサービスが当然でない環境で育った)顧客の満足度がそれほど上がらないから。
費用対効果だけの話なのでアメリカ人の人間性に問題はない




これみて、なるほどな~と思った。
個人的に「アメリカ人の人間性に問題はない」というのは、「アメリカ人の人間性に問題がある」というのと同じくらい一般論すぎる印象はある。
しかし、たしかに一般的なアメリカ人といえども教育に力を入れ、仕事としてきちんとやれば、今よりは出来るようになると思う。


「顧客満足度があがらない」というのは意外だった。
そうなのか? なんとなく疑問はのこる。
アメリカ人でもサポートの悪さに不平たらたらの人は数多くいるし見てきた。
対応がよければ褒め称える人も居る。
アンケートの集計に集まらなかっただけではないかという気もするし、それでも顧客満足度が上がるのは限られているのだろうか。


まぁ、このあたりはツイッターのつぶやき程度では、全ての説明がされているわけではないので自分の取り違えている部分があると思う。


一番納得できたのは、「多様な環境」「費用対効果」の部分
確かに、人種的バックグラウンドが多様すぎるので、これは納得できる。


日本人はとっつきにくいが、以外と本音を言い合う。
アメリカ人はとっつきやすいが、本当に心を分かち合うのは難しいという話も聞く。
そのような国民性も影響しているのだろうか。

まだこのサポートにまつわる疑問が晴れるまでには、まだ時間がかかりそうだ。


この上杉さんのつぶやきは、多岐にわたり、そして内容も濃く、自分にとっては最近のベスト・ツイッターである。
是非ご存じない方がいたら、一度フォローしてみることをお勧めする。

2011年2月9日水曜日

CGの習得方法

ブログ「teruyastarはかく語りき」の新しいエントリ
■「基礎が大事」という本当の意味を理解しているか?」で非常に重要な勉強の方法がのっている。
これはCGを勉強する上でも非常に大切なこと。

一部重要な点を抜粋しておきます。
 「例題」のみひたすら繰り返す! 
「練習問題」「演習問題」には手をつけない。


これをどのぐらいまえやるかというと、
「問題を見たら例題通りの解法がすぐ出せるぐらい」

これを別の言い方でも表現しています。
「基礎を解法まで暗記した」
「型を体で覚えた」


「基礎作業の意識コストを限りなくゼロに近づける」
「無意識で出てくる」




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 <「暗記」と「無意識から出る行動>
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さて、私は勉強法として行動に結びつく知恵を体得する場面において「暗記(意味を正確に理解しているかどうかは関係なく文字通り記憶するだけという意味において)はあまり有効ではないと考えている。
誤解を生みやすい言葉でもあるので、上記の「基礎を解放まで暗記した」という部分は除外して話を進めたい

ここで一番重要なのは
 「型を体で覚えた」
「基礎作業の意識コストを限りなくゼロに近づける」
「無意識で出てくる」

と表現されている部分である。

 これは、どの程度のレベルのことを行っているのか日常生活に当てはめて考えればよくわかる。
*顔を洗うときにどうやって蛇口をひねるかいちいち考えない。
*手を洗うときにどうやれば石けんが使えるかなどいちいち考えない。
*靴を履くときにそれほど深く考えることもしない。
*ゲームをしているときに、どの筋肉に力を入れてボタンを押すかなど考えない。
*運転中に赤信号になったから車のブレーキの踏み方を考えたりはしない。
これぐらいのレベルである。
これが無意識で出てくるということであり、体で覚えたと言うことであり、無意識で行動に起こせるということである。

実はこれはただ暗記(記憶している)のとは訳が違う。
暗記の場合は、行動に起こす前に思い出す」という作業が入ることが多い。
ようするに「無意識で行動に起こせる」とは暗記したことを行動に起こすよりも遙かに反応速度が早いのである。

このためには繰り返し練習することが必要である。
おそらく、最初は一桁ぐらいの回数を繰り返したぐらいでは習得できる事は 少ないだろう。

もう8年ほど前のことになるが、CGの学校へ行った初日に帰宅してやったことがある。
ひたすらMayaを起動→ポリゴンメニュー選択→ポリゴンキューブ作成→Mayaを閉じるという手順を数十回、以上繰り返したことがある。
これは、Mayaというソフトに抵抗をなくし早く親しむため、そして様々な感覚的な物を体感して体で覚えるためであった。
CGソフトは非常に一つのコマンドの機能が限定されているというのは文章を読めば自明でわかるが実際には指の筋肉、目の筋肉、頭での判断は追いついていないことがある。
そいういった、Tutrialでは説明すらされないこと、会社でわざわざ説明してもらえないことがある。
しかもそれは体感しなければ実感がわかないし、体感しなければ身につかない。
これが体感できたと感じるのは、何も迷ったり考えたりすることなく、自然と体が動いてできるようになる地点へ到達すれば、満足感と共に自分でも自信を持って獲得できたと感じる。
自分でそこへ到達したことはわかるのである。


 
 -------------
 <「基本」と「応用」>
-------------

  (このエントリでは「CG」といっているが、高度なプログラミングの世界に関しては、私は経験がない。それらは自分の予測の範囲を超えている。おそらくこの方法はプログラミングにも有効かもしれないが、理論として当てはまるかどうかはわからない。)

ここで、一点強調しておかなければならないことは、CGにおいては「基礎」という言葉を「入門レベル」と混同いしないこと。
「基礎」というより「基本事項」としたほうが良いかも知れない。
例えば入門レベルで勉強することは「ポリゴンモデル」や「テクスチャー」、「ライティング」がある。
これで辞めていたら何も出来ない。
「流体」や各ノードのアトリビュートなどを勉強する必要がある。
それらは上級レベルの内容もあるが、ほとんどは「基本事項」である。
それらの情報を、知恵を絞っていろいろと組み合わせるのが「応用」である。

自分の経験からなので、外れているかも知れないが控えめに言って「基本事項」が7割、「応用」が3割と考えても良いかも知れない。
たとえばスクリプトを勉強しはじめて数学の知識が必要だなと思ったらそれは「応用」ではない。
それはさらに基本事項が必要となったと言うことだ。

CGは一分野だけではなく、ありとあらゆる分野の知識が集まってきて現在の形になっている。
なので習得すべき基本事項は膨大な数があるのである。
それらを次々習得していき、チュートリアルなどをやってたり、経験を積んでいけば応用の2割程度は知らず知らずの間に身についているような気がする。

実際の所、「応用」の部分は「頭を使う」ことである。
記憶ではない。
応用が出来るようになりたければヒント無しで自分で難しい問題を解く事を積み重ねれば出来るようになってくる。





-------------<繰り返しの重要性>
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さて話を「繰り返しの練習」に戻すが、
CGソフトでいえば、何かをするときに何も見ないでも、悩むことなく行動がおこせるというレベルである。


実は、これは数年の実務を通すことで身につくことと思われているが、その数年間で何回も同じ事を繰り返しているうちに身についているのである。
要は年数ではなく繰り返しの回数なのである。

その繰り返しの練習も、ただ漠然と何も考えないでやるのではなく、集中して自分の心の動き感覚に注意しながらやった方が効果が上がる。

なので、この繰り返しの練習を合理的にできるシステムがあれば、その分野に関してはストレスが少ない上に、非常に速いスピードで物事を習得することが出来る。

あいにくCGの世界はそれらが混乱しているので、
自分で整理整頓しつつ、自分で自分にあった道を見つける必要がある。



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<変数やアトリビュートの値>
-------------

そして繰り返しの練習をしているときにいくつかの問題にぶつかるときがある。


その最も大きな物が、なかなかスムースに出来るようにならないということ。

スムースに出来ないと言うことは、なにか心に引っかかることがあったり、ちゃんとした数値を覚えていなかったりするとうことだ。


ここで障害になっているものは「理解」である。
練習している物がスムースに行動に移せるのは、そこにある物事をきちんと理解しているからである。

通常、きちんと理解していないからこそ、引っかかる。
たしかにチュートリアルに出てくる、変数や数値は、ある程度は記憶に頼る必要があると感じるかも知れない。

しか~し!

これでさえも、まず考えなくてはいけないのは自分が理解しているのかと言うことである。
変数や数値がなぜその値、文字なのか、秒、フレームなどその数字には意味(単位)があるのか?
それらの変数はどことつながりがあるのか?
数値は、実際にシーンの中でどのぐらいの影響を与える物なのか?
こういったことを理解するために
*スライダを色々いじって試してみる必要があるかも知れない。
*変数名の意味を考える必要があるかも知れない。
*ヘルプを見てその数字の意味を調べる必要があるかも知れない。
*アトリビュート名を調べてみる必要があるかも知れない。
これらをすべて明白に出来れば、かなり良い線までいく。

そして、この問題に関して、もうひとつできる事がある。
 そういった数値などは、メモしておくと言うことだ。
ここでいう「練習」は、「キーボード操作とマウスを操作」、すなわち「行動」 に関する物を指す。

まず暗記に頼る前に、暗記しなくてもいつでも参照できるように手元に書いて置いておく。
そして練習中はひたすらキーボード操作とマウス操作でソフトを使いこなすことに焦点を置く。
手が止まったら、きっとわかないことがあるか、迷いがある。
それを明白にするためにすぐにメモを参照する。
そしてすぐに練習を続ける。

これをひたすら繰り返す。
そのうちメモを見なくてもできるようになる。

さらに続ければ、不安が取り除かれて、勉強したことの知識がつながり、今やっていることの理屈が有機的に理解出来てくる。
おそらくこの段階まで行っていれば、同じ事をやっているにもかかわらず
*深く理解している
*楽しくなっている
*自信がでてくる
ことを実感できる。
自分が習得したことは自分が知っている。


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<補足>
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もういくつか補足しておきたいことがある。
この「練習」とは大体CGにおいてはチュートリアルでやっていることを繰り返す事になると思う。
たとえば 「第一章」でやっていることを繰り返し練習するとか、「ビデオチュートリアル」の一部とか。
大体チュートリアルは、複数の基本技術を次から次へと説明しているので、自分で短く切ってわかる範囲でやっていく方がよい。
通しでやった方が理解しやすい場合はそれで良い(Houdiniなどは、そういうことがある)

そしてチュートリアルは体を動かす「練習」だけではなく、いくつかの裏付けとなる知識や理論が説明されている。
それらをしっかりと理解しておくことが練習の前準備として必要である。
もし出てくるコマンドやノードがわからなければ自分のレベルで必要な部分だけは明白な理解を得るようにする。

もう一つは、そのチュートリアルを通して自分はいったい何をしようとしているのか、そのノードや値を操作して自分は一体何をしようとしているのかを意識し、できるかぎり明白にしておくことである。



そのチュートリアルが自分にとって段違いに難しいレベルのこともある。
「レベルが高い」とは必要となる「基本事項」の数が多いものであり、そのいくつかを習得できていないものである。
その場合は、もっと低いレベルに移るのが得策だ。
もしもう少しがんばればいけそうと思う場合は「練習」の前段階である「理解」をしっかりさせれば通り抜けられるかも知れない。


「理解」とはいろいろ考えることなく、それがわかるということであり、意味を知っていると言うことである。

「理解」とは「記憶」ではない。
そこを勘違いしないように、 ヘルプで見た知識や辞書で調べた意味を「記憶」するのは何の意味も持たない。

自分が人に説明すると仮定してみるとわかりやすい。
その知識を持たない人に、何も見ないでわかりやすく説明できるなら理解している。
ヘルプや本、辞書などに書かれた文章を、そのまま口にして相手に本を渡すかのように受け渡すだけなら、もしかしたら明白にはわかってないかもしれない。


ー-------------
<柔軟性をもつこと>
ー-------------
以上のことは、理想的な理論であるが、この通りにやることは、できる。
ただ、柔軟性を失ってはいけない。

やってて効果がないなら、もしかしたらもっとよい方法があるかもしれない。
自分に合う方法を選べばいい。
ある事にはこの方法が役に立つかも知れないが、あることには役に立たないかも知れない。
一度も完全に忠実にやって見たことがなければ、もしかしたらその効果は永久に感じないかも知れない。

完璧性をもとめすぎても初心者にはハードルが高くなる。
たとえばあるノードの全てのアトリビュートを理解する必要はない。
そのチュートリアルで使われている範囲で理解すればよい。



自分は、上記で書いていることをいつも心に止めているが、いつも使っているわけではない。
(たぶんそれが上達が遅い理由であるかも知れない)
それは、理路整然とレベルをおってまとめられたチュートリアルは、ほぼ皆無であるからだ。
ただ、自分の理解力、行動にも注意を向けており、必要なときには使うようにしている。

2011年2月4日金曜日

メモ:働く人が自分の能力を積み重ねる話。

ブログ「島国大和のド畜生より」:
働く人が自分の能力を積み重ねる話。
このエントリは、何かを学ぼうとするときに大切な心構えと、それがどのように役に立つかを非常にうまく簡潔にまとめられている。
他にもおもしろそうな過去エントリが一杯のブログ。


---以下上記ブログより抜粋: ---

その道10年の奴と、今期から手を出しました、では勝負にならない。
新卒と、ベテランに同じ戦力は求めない。
歩いてきた道は嘘をつかないし、知っている道は早足で抜けることが出来る。落ちた落とし穴は2度目以降は警戒する。

 これは、「貯めてる奴が、貯めてる分野では強い」という当たり前の話であって、じゃあ若者は勝負にならないかというとそういう話ではない。

「貯める気がある奴が強い」

若者だろうが、今まで蓄積が無かろうが「貯める気があればどこまでも蓄積されていく」


教える側からすれば、
貯める気のある奴には、突っ込んでモノを教えるし、考え方を教える。
貯める気の無い奴には、近道と結果だけを出す方法しか教えない。


教えてもらう側になった時は「蓄積する気がある/ない」を明確にするのがいい。

蓄積する必要がなければ、単純な手順だけ覚えてショートカットすればいい。
蓄積する必要があれば、仕組みと考え方を理解しないといけない。


---以上抜粋おわり ---

 -------------

なにかを身につけようとするとき、これは大切なこと。
大体このあたりが混乱していることは多いと思う。

そして、初心者の時には、仕組みと考え方を理解することなく、即戦力(近道と結果だけを出す方法)しかしろうとしないこともある。
おおむねビデオチュートリアルは、近道と結果だけを教えるような事が多いと思う。
(おそらく多くのCG学校もそうでしょう)

2011年2月3日木曜日

記事:ビジュアル・エフェクツ業界はカリフォルニアで生き残れるか?

(執筆中;このエントリは書きかけです。後でおおきくかわる可能性があります)

ここ数年、ハリウッドのVFX業界は大きく変わりました。
大手のVFXプロダクションが軒並み海外へ支部を作り始め、インドや中国といった国へのアウトソーシングが当たり前になりました。
 一方で、Sonyなどはオープン・ソースのソフトがリリースされたり、DDはエフェクト用のキャラクターアニメーションやトロンに至っては、コンセプトから製作。
Motion Theoryはギレルモ・デル・トロとくんで、彼のコンセプトを製作するMiradaと言う会社を立ち上げました。

こういった、明らかに今までと違った方針が見え隠れしていたのですが本日、投稿された
The hollywood reporterの記事に、その見えざる裏事情が掲載されました。


記事リンクCalifornia Visual Effects Houses Fight to Survive
 (カリフォルニアのビジュアル・エフェクト・ハウスは生存をかけて戦っている)


半ば予測していた部分もあるのですが、思った以上に状況は深刻かつ変化も激しいのには驚きました。
大手のフットワークの軽さそして、先を見越した計画に驚かされます。
裏を返せば、かなりの切迫した状況にある事が伺えるとともに、監督といったクリエイター、そして世界のVFXプロダクションに影響を及ぼし、最先端コンピューター技術を牽引する大手だけに先が見越せるのかなとも、思いました。



とりあえず、いつもながら適当ですが、その意訳をしてみました。

-----(↓ 以下、意訳 ↓)--------


Can the visual effects industry survive in California?
ビジュアル・エフェクツ業界はカリフォルニアで生き残れるか?

With VFX businesses under pressure to do more with less — and with impossible-to-compete-with financial incentives being offered in various states and countries — the final two months of 2010 saw the closure of three notable California-based visual effects businesses: Asylum VFX, Café FX and ImageMovers Digital.
VFXビジネスはより低予算で、より大きなプレッシャー、そして様々な州や国で提供される太刀打ちのしようがない財政支援があります。
2010年の最後の二ヶ月に、3つの著名なカリフォルニアのビジュアルエフェクトの会社が閉じました。Asylum VFX, Café FX そして ImageMovers Digitalです。


“The incentives being offered (outside of California) are very compelling, and our clients expect us to be able to offer prices that reflect these incentives, for better or worse,” said Randy Lake, executive vp and GM at Sony Pictures Imageworks.
(カリフォルニア外で)提供される支援金は、うむをいわせぬ魅力があり、
「私たちのクライアントは、これらの支援金を反映したもっと良い価格かそれなりに見合った価格で提供する事が出来ると期待します。」とSonyピクチャ・イメージワークスのジェネラルマネージャー兼副社長のランディー・レイク氏は述べます。


To stay alive, California-headquartered effects houses surveyed by The Hollywood Reporter say their business strategies include early involvement on a project, carefully controlled overhead and sending work to areas that do offer incentives.
ハリウッドレポーター誌から調査をうけたカリフォルニアに本部を持つエフェクトハウスは、あるプロジェクトの初期の段階を含む彼らのビジネス計画は、よけいなオーバーヘッドを注意深くコントロールし、それらの支援金を提供している地域へ仕事を発注しています。


For Industrial Light + Magic, a key is getting involved early. “We are really partnering with the productions,” company president Lynwen Brennan said.
ILMにとっては、初期の段階から関わるのが鍵となっています。
社長のリンウェン・ブレナン氏は「我々は、プロダクションと本当の協力者となっています」と述べています。


Depending on the scope of the work, that may be accomplished at ILM’s San Francisco headquarters, at its Singapore base or at other VFX houses with ILM managing the workflow.
仕事の範囲にもよりますが、それは、おそらくサンフランシスコに本部を持つILM、そのシンガポール支部、またはその他ILMがワークフローを管理するVFXハウスで行われたと思われます。


“It’s not about having people who can work around the world but having the right talent,” Brennan said, a belief echoed by other interviewees. “We took our time to handpick the vendors that we work with.”
「世界中を駆け巡って働ける人たちを抱えようと言うことではなく、適切な才能をもった人を見つけたいのです。」とブレナン氏は述べます。
インタビューを受けた人たちから信じられないほどの反響がありました。
「私たちは自分の時間を一緒に働くベンダーを注意して選ぶのに費やしました。」

In Singapore, ILM and Lucasfilm — with its Jedi Master Training Program begun in 2008 — have developed talent of their own.
シンガポールのILMとルーカスフィルムでは、ジェダイ・マスター・トレイニング・プログラムが2008年に始まりました。ー彼ら自身が才能ある人材を開発したのです。


“Now Lucasfilm Singapore is in a place where we can take on significant portions of work and significant complexity,” Brennan said. By the end of 2010, an estimated 50% of talent at the base was Singaporean.
「さて、ルーカスフィルム・シンガポールは処理する仕事の割合を増やし非常に複雑な仕事を行うようになりました。2010年の終わりまでには、人材の50%はシンガポール人になります。


Lucasfilm Singapore completed roughly 25% of 2011 Paramount release Rango and is contributing to some of ILM’s San Francisco-led projects including Transformers: Dark of the Moon and Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides. The Asian office is running out of space, and a new building is set to open in 2013.
ルーカスフィルム・シンガポールは2011年にパラマウントから公開されるランゴの約25%を完成させました。
トランスフォーマーズ’:ダーク・オブ・ザ・ムーン、そしてパイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉を含むILMサンフランシスコの主要なプロジェクトにも関わっています。
アジアのオフィスはスペースが不足しつつあり、2013年には新しいビルが完成予定です。


Singapore also offers aggressive incentives.
シンガポールはまた非常に積極的な支援金を提供します。

Digital Domain also is seeking to get involved earlier in the production cycle. “We are trying to position Digital Domain as a production-company resource to the filmmakers,” CEO Cliff Plumer told THR, adding that the Venice-headquartered VFX business aims to get involved in the development process — creating concept art and presenting creative options — and working with the filmmakers to get a project greenlighted.
デジタル・ドメインはプロダクション・サイクルの初期段階に入り込もうとしています。「我々はフィルムメーカーに対して、デジタル・ドメインをプロダクション・カンパニー・リソースとして位置づけようとしています。」とCEOのプラマーは話します。
ベニス本部は開発プロセスに打ち込むVFXビジネスを目指しており、コンセプトアートを創作し、クリエイティブなオプションを示しました。
また、プロジェクトをグリーンライトに持ち込む為にフィルムメーカーと働いています。




This was the case on Tron: Legacy, for which the Venice team created an early sequence to help to procure a greenlight. Once the film got the go-ahead, DD served as the lead VFX house, working in Venice and at its Vancouver-based operation (shooting also took place in Vancouver). For this massive project, DD also hired additional VFX houses in areas including India and Toronto.
トロン:レガシーは、ベニスのチームがグリーンライトを獲得する為に、初期バージョンを作る手助けをしたケースです。
一旦、フィルムにゴーサインが出たら、DDはリードVFXハウスとして働きました。ベニスとバンクーバーの支部で作業を行い、(撮影も同じくバンクーバーで行われました)。
この膨大なプロジェクトの為に、DDはインドやトロントを含む地域のVFXハウスを採用しました。




“On Tron, we hired (outside VFX facilities) and showed them a lot of technology we were developing so it could integrate,” Plumer said. “The days of being a black box are over. You need to be more open to share assets and technology.”
「トロンでは私たちは外部のVFX会社を採用しました。そして私たちが開発していた技術の多くを彼らに見せて(技術の)調和をはかりました。」とプラマーは話します。「ブラック・ボックスでいる時代は終わりました。あなたはアセットと技術を共有する為にもっとオープンになる必要があるのです。」


Sony Pictures Imageworks also aims to streamline technical resources and infrastructure so that budgets are spent more on talent and less on overhead.
Sonyピクチャー・イメージワークスはオーバーヘッドを少なくし、人材にもっと経費を費やす事が出来るように、テクニカル・リソースとインフラの合理化を目指しています。


In recent years, Imageworks reduced its physical footprint in L.A. — consolidating into a single building — while opening bases in India, New Mexico and Vancouver, all of which offer financial advantages. “The key for us is maintaining talent in Culver City but also feeding the other offices,” Lake said.
ここ数年、イメージワークスはLAの物理的な機器の設置面積を削減し、一つのビルディングに統合しました。
インド、ニューメキシコ、バンクーバーに支部を開いてもおり、これらすべてが、経済的なアドバンテージをもたらします。
「カルバーシティーの人材を維持するのは我々の鍵ですが、他のオフィスの維持もまた然りです」とレイク氏は述べます。


“New Mexico was a result of aggressive tax incentives,” he added. “We’ll be getting up to 80-90 employees as we reach production peak on The Green Lantern.”
「ニューメキシコ支部は積極的な税制優遇措置の結果です。」と彼は付け加えます。「グリーン・ランタンのプロダクションがピークに達するときには80〜90人を雇用します。」


The majority of Alice in Wonderland was handled by Imageworks in Culver City, though work was sent to its India and New Mexico operations as well as to Café FX.
インドとメキシコの支部、CafeFXにもその仕事が送られたにもかかわらず、
アリス・イン・ワンダーランドの大部分はカルバーシティーのイメージワークスで処理されました。


On the technical side, Imageworks is looking to streamline operations with open source initiatives. Imageworks and ILM co-developed and in 2010 launched an open source system — dubbed Alembic — aimed at helping VFX companies easily share complex animated scenes regardless of what software is being used.
技術的な面では、オープンソースのイニシアチブをとりオペレーションの合理化をめざしています。
イメージワークスとILMはAlembicという名前のオープン・ソース・システムを共同開発し、2010年に立ち上げました。
VFX会社が複雑なアニメーションをもったシーンを使用しているソフトウエアに関係なく簡単に共有できる事を目指しています。


Look Effects is a mid-sized FX house that debuted in L.A. in 1998, and in 2008 it opened an office in Brooklyn “to combat runaway business,” company president Mark Driscoll said. “New York has a pretty substantial tax incentive program, and that has turned out to be a rather substantial business generator for us. In this strange economy, we had our best year every last year. We grew revenue by about 40% from 2009 to 2010, and we expect 2011 to be on par. We have tapped into the creative hub that is New York.”
Lookエフェクトは1998年にLAでオープンした中規模のエフェクトハウスです。そして2008年にrunawayビジネスを戦う為にブルックリンにオフィスを開きました。」と同社の社長マーク・ドリスコールは話します。
「ニューヨークはかなりたくさんの税制優遇プログラムを持っています。そしてそれはむしろ我々にしっかりとしたビジネスを立ち上げる手助けをしてくれます。
この奇妙な経済状況の中で、毎年がベスト・イヤーを更新しています。2009年から2010年にかけて総収入は40%増加しています。
おそらく2011年も同じぐらいでしょう。
我々はクリエイティブなハブを利用しました。それはニューヨークです。」


Driscoll said the company’s rule of thumb in this challenging time is living within one’s means. Look Effects runs a tight ship. “We are targeting director-driven movies, going after high-end but moderately sized projects,” he said. “We are not trying to go toe to toe with (large facilities such as DD).”
(翻訳 一部省略)
「我々は、ディレクター・ドリブンの映画を目指しています。ハイエンドを目指していますが、控えめなサイズのプロジェクトです。」
「我々は(DDのような大きなプロダクションのように)何から何までやろうとはしていません。



Black Swan was produced in New York, and Look Effects’ Brooklyn facility handled the visual effects work. Work on Robert De Niro-Bradley Cooper drama Limitless is among the projects now shared between its Los Angeles and New York operations.
ブラック・スワンはニューヨークで制作され、Lookエフェクツのブルックリン支部はそのVFXを処理しました。
ロバート・デニーロとバドリー・クーパーのドラマ「リミットレス」のプロジェクトははLAとNYで共同で作業されました。


The VFX industry, meanwhile, saw the recent launch of Atomic Fiction in Emeryville, Calif., headed by three veterans of ImageMovers, the former Disney-owned venture in Marin Country led by Robert Zemeckis, Jack Rapke and Steve Starkey. The Atomic partners told THR that its plan right out of the gate is to maintain low overhead. This will include exploiting cloud-computing services for rendering and possibly opening new bases where it could take advantage of incentives.
カリフォルニアのEmeryvilleに最近オープンしたAtomic Fictionはイメージ・ムーバーズの3人のベテランが上層部に就きました。
(略)
これは、オーバーヘッドを低く抑える事を計画しており、レンダリングの為のクラウド・コンピューター・サービスを利用することを含み、支援金のアドバンテージがある場所に新しい基地を開く予定にしています。


Though there is strong work in awards contention this season, many VFX pros viewed 2010 overall as a weak year for visual effects innovation. Some wonder if cost control is ultimately affecting the quality of the work.
このシーズンはアワード争奪戦の強力な仕事にもかかわらず、多くのVFXのプロはビジュアル・エフェクトの革新という点では、2010年は全体的に弱かったとみています。
コストのコントロールは仕事の質に完全に影響しているてんについては驚かされます。


It’s difficult to pin down, ILM’s Brennan said. “There is always a range of quality and a range of budgets, and there is always a range of easy to difficult work,” she said. “You make compromises based on budget.”
ILMのブレナンは言います。
「品質の範囲と予算の範囲、そして優しい物から難しい物までの仕事の範囲がいつも存在します。」
「あなたは予算をベースにしてそれを調整しなくてはなりません’

-----(↑ 以上、意訳 ↑)--------



アウトソーシングで、ダメージを被るのはカリフォルニアにあるVFXプロダクションであり、スタジオではないということには注意が必要です。
ハリウッド自体がダメージを受けているというわけではなく(もしかしたら世界的な映画離れなどがあり、低迷なのかも知れませんが )「ハリウッドのVFX業界」がダメージを受けているのです。
スタジオはVFXの仕事を発注する側であり、VFXプロダクションではなく映画自体を初期計画から予算調達まで調整して製作、配給しているところです。
ユニバーサルスタジオとか、ワーナーブラザーズ、ディズニーとか、ですね。

ハリウッドで危ないのは「カリフォルニア」の「VFX業界」であり、それはハリウッド映画業界の一部門であり、VFX業界の一部です。
ただ長年、VFX業界を牽引し、ハリウッド映画業界を支えてきたのは「カリフォルニアのVFX業界」です 。
それがハリウッドの映画業界から見放されつつあると言うことが 問題になっているわけですね。
なぜ問題かというと、この変化がここ2~3年で起きており、VFX業界で働く人の職が急激に失われているからです。


ILMやDDのように海外に支部を設立した会社は、スタジオから仕事を受けるために現地の税優遇措置、支援金による安価なサービスを提供できる態勢を早くから整えました。
いままでの設備やノウハウも生かす事が出来、かつ安い価格で仕事を提示する事が出来る。
カリフォルニアで働く、アーティストにとってはメリットはありませんが、その大手プロダクション自体はダメージは減らし生き残ることが出来ます。

DDの方針はまさにMotion Theory(Miranda)がとった方法と同じである。
まさに今のブームはコンセプト段階の制作に移ってきていると言えるかもしれない。
もはやカリフォルニアはアーティストでも、よりコンセプト段階にかかわるアーティストが求められている。
予想は、していたことだが、企業がその体制に実際に移行するのは自分の予想以上に早かった。

また映画のコンセプト段階からかかわりその撮影法などの立案にも関わっていると見られる。
これはVFXプロデューサーやスーパーバイザーの役割が大きいと思われるが、いわばそのことでその映画にGoサインがでたとき、そのVFXワークのイニシアチブを取ることができる。
簡単に言えばVFXの大半を自分達にものにできるということだ。

Lookエフェクトの事例は、モーショングラフィックスなどコンセプト段階から作れる小さな会社が強いということを表す別の例だろう。
LAにもCMやミュージックビデオを手がける小さな会社がいくつもある。
それらは映画産業からは完全に違うルートがあり、それなりにうまくやっている。
これらは大きな仕事はあまりしないし、そんな態勢もパイプラインもって無いことが多いが、コンセプト立案からできるので、CGだけを製作する会社よりもお金になると聞く。

いままでと違い、個人もコンテンツを作り発信する時代になってきた。
興味深いのはそういった創作性が大企業にもより求められるようになってきているというところ。


ショックなのは、前々からのべていたように、
下請け作業でハリウッドの仕事を得る事で、多くの国がノウハウを取得するという事が実際におこっている。
このままでは日本はますます他国に差を付けられるのは目に見えているなと思いました。
政府による支援は、まさに仕事をとるという事以上の目的、すなわちスキルやノウハウの吸収を助けていると思います。
これは、将来自国のコンテンツを作るのに役立つことです。
(ただし、その同じレベルを自国の予算で作れるかどうかがが問題となりますが)

SonyとILMが共同で開発したOpenソースAlembicは、開発者自らにとっても非常に重要なツールとなり得るということだ。
大手は、それにより利用できる会社が増え、最終的には自分達のメリットになる。


こういったオープンソースによって、ますます全世界のプロダクションのフラット化が始まる。
いわば今まで大きな会社が最初から最後まで作っていたが、将来はそれが分散され、世界中の小さなVFXプロダクションがカリフォルニアの大きなVFXプロダクションの指揮の元に製作を進めると言うことが起きる可能性もある。
簡単に言えば、全体の制作費を引き下げることが出来れば何でもありということになる。


今やハリウッドの魔法は広く公開され、「魔法」ではなくなりつつある。
技術だけでなく、映像制作に関するノウハウ、ひいては製作の方法と行った管理部分、映画の見せ方といった美的な物に関するノウハウ。
全世界の各社が、歩調を合わせ、相互にノウハウをやり取りする、そのベースとなるのは共通する仕事、ハリウッド映画のVFXである。

その仕事をとれない国は、この枠組みから完全に外れてしまうのかどうか気になるところ。




気にかかるのはSantaMonicaにある某中規模エフェクト会社(上記の記事にはでてこない)
昨年は自社でSF映画を一本作ったが結果的には(元は取れた物の)はずれであった。
今回二回目であり、監督としての技量にも自信を失っているのではないかと予測できるような話も聞いた。
今は、とりあえず映画のエフェクトワークを継続してとっているようだが、自社コンテンツを作る事が出来なくなれば先行きに不安は残る。

自社コンテンツがなければ、もしくはDDやMotionTeory(Mirada)のようにコンセプト段階から手がけるようにならなければ映画産業で生き残るのは難しい可能性もある。
そのためには他の監督やプロデューサーの要望に応える必要がある。



最近、パイプライン要員をリクルートしていたので、よりパイプラインを効率化して、コストの削減を試みているのだろうか、これからの動向がきになるところだ。


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さて個々のアーティストとして身の振り方をどうするかが一番きになるところだ。
ただ基本的にはこのブログやツイッターで何度も言ってきた選択肢になるとは思う。

1)コンセプト段階で関われる人
MotionTheryの社長と話していて思うのは、コンセプト系に関わる人には職はある。むしろこれからどんどん増えてくる。
モデリング、テクスチャーを含むキャラクターデザインや環境デザインなど。
トラディッショナル・アートができる、もしくはセンスあるアーティストが重要視される。
スタジオに見せるテスト映像、エフェクトアーティストはこの制作に携わる事が出来る。

2)パイプラインやアセットに関われる人
TDやエンジニアと行ったテクニカルな知識を持った人
ようするに各国のアーティストが働きやすい環境を構築できる人員である。

3)今まで通りのアーティスト
大手のアウトソーシング形態をみると、安定した感じもある。
ただ、そういった企業でもLAに新たなブランチを立ち上げた会社もある。
ただ、継続は不明という、大企業でもLAでのビジネスは見通しが出来ない面があるという事だろう。
もしこのままの状況が続けば(おそらく続く)、アーティストの必要数は減少する。
安いが、しかし高度な事ができる人材、部下を統率できるリードアーティスト、そして卒業したての安い人材が重宝されるようになるだろう。
高給取りのスーパーシニアという位置づけの人は、一部を除いて不要になるかもしれない。

ただ、ハリウッドにはピンからキリまで数多くの小さなプロダクションがたくさんある。
今まで通りのCGアーティストの職が、絶対数として減少することはあり得るが、無くなることは絶対無いだろう。


現地で生き残る身として考えてみた場合のその他の条件
1)身軽なフリーランス
面倒なvisaサポートがなく、必要なときだけ必要なだけ使えるフリーランスは無駄な経費を押さえることが出来るので、より重宝される可能性はある。
これはフリーランスがいいのか社員がいいのかということではなく、フリーランスとしての募集が増えるだろうと言うこと。
ようするに応募するならフリーランスしか無くなるだろうと言うこと。
社員もある程度は必要だろうからある程度は確保するとは思うが狭き門になりそうだ。
今更言うこともなくハリウッドはフリーランスがベースであるので、これは今まで通りとも言える。

日本から応募する場合、まずはVisaサポートが必要となるので、これは当てはまらないかもしれない。(Visaサポートを受けている場合は通常フリーランスはできない)
応募の仕方は変わらない、世界的に競争力のある、すばらしい作品を作って応募すること。
会社が気に入ってくれればVisaのサポートはしてくれる。

アメリカの話だが、要するに海外から応募して、就職できるときにはVisaサポートはしてくれるし、そのときは正社員扱いなのでフリーランスとは違う。
アメリカは他の国と違ってVisaを取るのは難しいので、再度同じ人材を雇うのが難しいため、そんなに簡単には首(レイオフ)になったりはしにくい。
通常は給与額をフリーランスより低く抑え、仕事が少ないときもなんとかつなぎ止めてくれる。

そんな事情もありこの項目は、これから日本から応募しようとする人には関係ないとも言える。

ここ数年のハリウッドの仕事状況を考えてみた

2009年~2010年、ハリウッドで働くアーティストは非常に厳しい状況でした。
これらはフリーランスにとっては非常にきつく、Visaサポートされ正式雇用されている人達でさえ、会社を移籍する必要がでてきたほどでした。
それらがどのような物であったのか、ネットから情報を集めてみました。

多くの仕事がアメリカ国外へアウトソースされ、仕事が大幅に減少した。
仕事が減少したのはアウトソースだけが原因ではなく、
2007年11月2日から始まった全米脚本家組合ストライキは、2008年2月12日までの3ヶ月間にわたり続いた。

このストライキがどのような経緯を得て、映画の制作に支障を来したのかわからないが、その後の二年間に制作される映画が減少するようなきっかけとなったことは間違いないらしい。
TV番組は台本が無く、制作ができないという事も起きた。


そして今度は、全米映画俳優組合(SAG)と映画テレビ製作者連盟(AMPTP)との交渉が長引き、それが影響を与えたという話がある。
2008年6月30日にAMPTPとの契約がきれ、新しい契約を巡っての交渉が長引いた。

SAGは、契約切れ前の駆け込み撮影があったと以下の記事の最後に書かれている。
参照:Asahi.com「スト機運揺さぶる不景気」

そのため7月~9月の撮影日数は映画が前年比38%減、CMは24%減とある。

そしてストはおきていないものの、同年12月24日時点でこの交渉はまだ決着がついていない。
参照:「米映画俳優組合、ストライキ決議を延期」


米映画俳優組合内部でもストへの賛成派と反対派にわかれていた。
全くの創造だが、この契約書が無い状態では、きちんと働いている俳優も居るし、なかなか製作者側の意図したとおりには働いてくれない俳優も居たのかも知れない。

2009年4月19日、9ヶ月ぶりに歩み寄りがみられ、ストライキは回避された。
米映画俳優組合、今夏ストは回避。ハリウッド製作者側と暫定的合意




これをエフェクトに絡めて考えてみる。
ここではハリウッドで主流の実写に合成されるエフェクトの仕事で考えてみる。
エフェクトはポストプロダクションなので、まず撮影された映像が必要となる。
要するに撮影が終わっていることが前提となる。

まず2007年11月~2008年2月の脚本家組合のストで、脚本がない状態になる。
しかし、すでに脚本が完成している作品もあり、それらは制作は続けられる。
実際、うちの仕事はスト前に脚本が完了していたので制作で進められていた。

問題となるのは、それらがすべて出尽くした後である。
まったくの推測ですが、おそらく2008年の後半は、脚本が不足した状態になっていたのかもしれません?(本当に、まったくの推測です)
ストが終わり2月から仕事に入ったとしても、すぐに脚本が出来るわけではない。
数ヶ月、映画などでは場合によっては1年以上かかるケースもある。
ストの間に途中で止まっていた脚本を継続するにも、監督が他の仕事をしていると評価できず、さらに保留になり延期される可能性もある。
また間が長くあいたことで、なかなか調子が戻らなかったり、すっかり別のアイデアに変わって書き直したりするケースもあるだろう。
ようするに業界のエンジンがかかるまでに時間がかかる。

実際の所トランスフォーマー2でさえ、このストライキから悪影響をうけたらしい。


TVなどはぼちぼち脚本ができはじめても、数年かけられる事もよくある映画は、2008年半ばの時点では完了した脚本が少なかった可能性がある。
しかも2008年の半ばには俳優組合の契約切れがあり、今度は俳優の手配ができなくなる恐れがつよくなってくる。

少なくとも上記のデータからすると7月以降の撮影日数は38%減である。

俳優組合との契約が成立しなければ、いろいろと面倒なことがありグリーンライトがつく(撮影許可がおりる)プロジェクトも少なくなる。
スタジオは曖昧な状態ではGoサインをだせず、様々なプロジェクトが中途半端なところで止まることになる。
これによりさらに撮影される映画が減少することになる。

またこの年9月に世界金融危機が顕在化した。
おそらくこの時点ですでに多くのスタジオでは資金繰りが悪化していた可能性がある。
資金繰りが悪化するとますます、いろいろなことにストップがかる。
特にいろいろな懸念があるときはそうだ。
海外へのアウトソーシングに拍車がかかり始めたのもこの頃なのかもしれない。

そして2009年4月に俳優組合のストが回避されても、そこから俳優との契約やいろいろな準備に取りかかるのではすぐには撮影は始まらない。
その準備に2~3ヶ月かかったと仮定すれば、おそらく2009年の後半には撮影される作品も増え始めた可能性がある。
その間、資金繰りの悪化から海外へのアウトソーシングは継続されたと見る方が妥当だろう。


2009年は撮影されたものの海外へアウトソーシングされたものも多い。
それ以前からのアウトソーシングでより安定したパイプができていたのかもしれない。

そして2009年も半ばになると新しい脚本もできはじめ、俳優もすべて元の調子に戻ってきたと考えてみる。
そしてそれらのグリーンライトが点灯し撮影に数ヶ月が費やされ、ポストプロダクションに回り始めたのが2010年の初め頃。
ちょうどBattleLAやグリーンランタンのポスプロが始まった頃である。

しかし、2008年の金融危機により悪化した状況はスタジオの映画に描ける予算の削減にかなり影響し、2009年にグリーンライトが点灯した作品でもポスプロにもろに影響し、アウトソーシングに拍車がかかったといえるかもしれない。(再度断っておくがすべて自分の勝手な推測。想像です。)


この新しい状況での映画作りになれてきて、どう対応していけばよいのかが見えてきたのが2010年ではないかと思う。
そして、新しい脚本も次々に上がり始めて徐々に映画の本数も増えてきたように思う。
その撮影が終わり、現在2011年始めにおいては大手のハリウッドプロダクションが、大量の採用をし始めたと見ることが出来る。
また年始は求人情報が増える時期だが、過去二年に比べても今年の現地求人は多い。
イギリスやオーストラリアなど他国の求人が減っているようにも見えないので純粋に仕事量が増えている可能性がある。


また一方でアウトソーシング先や海外へ支部を作った会社にもいくつかの問題が起きはじめている。
インドや中国ではその質の悪さを指摘する声を聞く。
インドのアーティストの環境は劣悪で、無料奉仕を強要される場合も多く環境改善が望まれつつある。
カナダは自国のアーティストを採用するよう圧力をかけ始めた。

こういった点から、現時点ではまだハリウッドで人を採用するのが得策と見始めた可能性もすてがたい。



いずれにしろ、予算の話をのぞけばスタジオは今、本調子に近いと言える。
 その延長である今年の製作状況がどうなるか、VFX組合が設立された場合どう影響するかが今年の見所だろう。
 今年の状況次第では、これから後数年の傾向が決まるかも知れない。
VFXの組合の話も出てきており、ハリウッドで働くアーティストにとって必ずしも悪いニュースばかりではないがまだまだ気は抜けない。

2011年2月2日水曜日

「第9回VESアワード授賞式」 レポート

2011年2月1日 6:30からビバリーヒルズのヒルトンホテルに会場を構えて第9回VES授賞式が開かれました。
監督のクリストファーノーランほか、著名人もちらほら。テレビなのか新聞なのかプレス用の場所が用意されそちらでインタビューを受けていました。
(インタビューが行われている場所↓)

会場はタキシード、スーツ、イブニングドレスで着飾った人達であふれ、華やかな雰囲気を呈しています。


前にステージがあり、VES Awardのロゴがあしらわれたデザインとなっており、左右両側にはモニターが配置されています。

(ステージの反対側には大きなビデオカメラがスタンバイ↓)


実は会場入り口のロビーにソファーがおいてある一角があったのですが、そこにCat Shit Oneの笹原監督の姿が!
他の知り合いと話していたのと、監督あくびの連続でお疲れのようだったので声をかけそびれました。まぁ明日のノミネート祝賀会に参加するのでその時にでもご挨拶出来たらと思い今日はあきらめました。
  (会場に入るモデラーの成田さん↓)
 


授賞式が始まるまでに時間まで、会場の脇にあったオークションの部屋も見てきました。
映画のポスターに役者や監督のサインなどをほどこし額装したものがメインで中には、映画に使われた小道具なのかサインの入ったギターなどもありました。
手前に置かれた紙に、金額を書いていくのですが、書き込まれた金額は値段は数百ドルから千数百ドルまでいろいろ。
それほど多くの人は参加してないようでした。




授賞式が始まる前にディナー。
以前のVESはハリウッドが会場だったんですが、その時一度参加したときは柔らかいステーキだったんですが、今回は硬い鶏肉。
なんかぱさぱさしてまずい。
写真は撮りわすれましたが、デザートの写真は撮れました。
そしてこのデザートがまた甘すぎ。
ヒルトンホテルの食事いまいちでした。
(デザートの写真↓)




たまたま同じ席に座った人達の中に、以前同じ会社で働いていた人がいてびっくり。
そして隣の隣にMotion Theoryの方が居たので、話しているとなんとMotion Theoryの社長さん
ということがわかりました。
Motion Theoryは最近ギレルモ・デル・トロとMiradaという会社を立ち上げており、私の友人もそこで働いていたので聞いてみるとよく知ってました。
エフェクトも結構やっていると言うことでHoudiniについて聞いてみると。
ほとんどのエフェクトはHoudiniでやっており、Houdiniはとても良いそうです。
実際の所、Houdiniを使うと最終的にコスト削減につながるとも。

ギレルモ・デル・トロともすでに仕事を始めており、彼の天才ぶりに驚いていました。
そしてあの映画もすでにコンセプトに着手しているそうで、ますます行きたくなってきました!



<オープニング>
まずはVES授賞式のオープニング動画
(実はこれより前にもっと長いオープニングがありましたが撮影忘れ^^;)


まずVESのエグゼク・ディレクター エリック・ロス氏の話で始まりました。
このブログでもたびたび伝えてきましたが、最近のアウトソーシングによるLAの仕事の危機にふれました。
(私のブログの過去ログよりも、今泉さんのブログでこれに関する最近の記事が翻訳されていますので、ご存じないかたはそちらをご覧ください。
LA Times -アメリカVFX業界の危機
LA Timesの記事なので、内容的には若干危機感をあおる描写であり、かつ今年の動向や組合の話までは含まれてないですが、これまでの状況を知るには充分だと思います。)

さて、エリック氏は同じく「組合」の話に触れました。
VESは中立の立場を保っていましたが、エリックの話し方はアーティストよりの話しであり、VESがより前向きにコミットしようとしているかのような期待がもてる話しでした。
VESが公式に「組合」の話に触れたのはこれが初めてかもしれません。

そして2~3週間後になにかの発表があることを示唆する発言も。
いよいよハリウッドのビジュアル・エフェクト業界も、変革の時がきたのかもしれません。


<授賞式>
さて日本からはCat Shit Oneが短編アニメーション部門でノミネートされ、期待を集めましたが、残念ながらPixarの「Day&Night」が受賞。

部門の受賞作品発表直前に、部門内の全ノミネート作品を2~3分にまとめたムービーが流されるのですがCat Shit Oneが画面に現れた時は、結構盛り上がっていました。

通常はノミネート作品に関係しているグループだけ盛り上がり、他は拍手をするだけというパターンが多いのですが、Cat Shit Oneが画面に写ると、笑いと共にYeah!とかかけ声もかかりました。

残念ながら受賞はできませんでしたが、手応えは感じました。
純粋にうけていた感じはしますw
笹原監督の次回作に期待です。

<Cat Shit Oneの上映時の会場>


(こちらは笹原監督自ら撮影されYoutubeに投稿された動画↓)



次はHow to Train Your Dragon(ヒックとドラゴン)が受賞した瞬間ですが、どれだけの人が居たかよくわかるように撮影してみました。
これでも出席している人は、その作品に関わった人のほんの、ほんの一部(数%)です。
実際、どれだけ多くのVFX関係者がいるのかここから想像すると、驚くばかりです。



さてこちらはHaloのCM動画が受賞した瞬間です。

このCMはMethod Stuidos で制作され、知人が二人関わっています。
そのうちの一人は皆さんよくご存じ、モデラーの成田さんです。

成田さんはこのCMでもリード・モデラーとして参加されており、上記の動画はHaloの受賞が発表された成田さんの喜びの瞬間です。
後ろ姿ですみません。真ん中で両手を握って上に上げているのが成田さん、ご本人です。
席を立ったのは、受賞した他メンバーと喜びを分かち合うために移動しているためです。
(残念ながらノミネートされた名前には含まれていませんので、舞台上には上がられてません)


実はこの喜びの少し前に、先ほど話したモーションセオリーが関わった作品があったのですがおしくも受賞できませんでした。
しかし、その受賞作品の名前が読み上げられた瞬間。
社長さん拳でおもいっきり机をたたいて、一瞬まわりが凍り付きました。
「俺もう帰る!」とまで行ってました。(結局最後まで居ましたがw)



<HaloのCM、フル動画はこちら>


fxguideのHaloの記事(リンク)


ゲーム関係では、トレイラー部門で、ブリザードのWorlde of Warcraftが受賞。
さすがです。


 今回は途中休憩無しで、一気に進められ11時過ぎに終わりました。
以上VES授賞式の様子でした。
鍋潤さんも、現行のためか写真撮影などいそがしく会場を行ったり来たりされていましたので、そのうちもっと綺麗な写真が彼のブログに掲載されるのではないかと思います。


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ノミネーション作品の選別投票にも参加したある友人と話をしていて思ったのは、受賞決定のための投票が、あまり厳密ではないような気がするということです。


もちろん、インチキがあるとかではないのですが、投票者は24部門それぞれに対して、わずか1週間という中で投票を終わらせなければなりません。
一つの部門で3~5の作品がノミネートされていますので、まともにひとつひとつの動画を見ていると非常に時間がかかります。
インターネットで全VES会員が投票出来るシステムにはなっているのですが、忙しい人などはおそらくすべての動画を見切れては居ないと思われます。

また部門に分類されているものの、その部門の定義に厳密に沿ってエフェクトを評価しているのではなく、作品としての内容評価になっている人も多いのではないのかという疑いです。
たとえばインセプションおもしろかった=エフェクトすごいという単純思考になってしまっているということです。

VESのメンバーは5年以上のプロとしての経歴がある事が前提で審査を通って初めてなれるので、そのようなブレは少ないとは思いますが皆無ではないとは思います。

そのあたりの対策がキチンとされていないなと思うのは、部門のタイトルが、きちんと審査ページに説明されていないという点があります。
各部門の区別がわかりにくい物もあります。

このあたりはもっと改善されるべきではないかなと思いました。