(写真は鍋潤さんの手。現時点で顔の公開許可をいただいてないので手だけ公開w 仕事でやったスピードレーサーの革ジャンのロゴがちらっと見えています。)
本当はモデラーの成田さんもこられる予定だったのですが、仕事が忙しかったのかとうとう最後まで顔を合わせることはできませんでした。(ひさしぶるにあえると思っていたのに。残念)
成田さん、こんどまた食事でもしましょうね。
ジョージルーカスとスピルバーグの絶大なる信頼を受け、彼らの数多くの音楽を作ってきた作曲家でもあり、指揮者でもあるジョン・ウイリアムス。
最初のスターウォーズの時から、数々のLPレコードを所有し、何度も聞いていたほどの大ファンだったので、本物が見れてうれしかったです。
ジョン・ウイリアムスのコンサートは結構行われており、前から知ってはいたのですが去年はすでにチケットが売り切れており買えなかったのですが、今回は鍋潤さんのおかげで無事確保。
こういうコンサートに気軽に行けるのはLAならではですね。
ハリウッド・ボールは、屋外コンサート場で、夜の8時30から始まったので夏にもかかわらず冷えてきます。
演奏中は、LAではよく見かけるヘリコプターの音が聞こえてきたり、鳥のさえずりがきこえてきたりと屋外ならではの、雰囲気があります。
途中の休憩時間には、後方の山にみえるハリウッドサインがライトに照らされれているのを見ることができました。(このコンサートに合わせた物か、それとも偶然なのかはわかりませんが)
また、高校生の時に、毎年恒例のように初日の出を見に近くの山の頂上へ登っていたのですが、月明かりと、部隊の裏手にみえる山の陰をみていると、ウォークマンにETの曲をいれて、深夜の山を登っていたのを思い出しました。
コンサートはジョン・ウイリアムズの語りからはじまりました。
見た目が全く変わらず年齢を感じさせない姿で、しっかりと説明をしてくれていました。
まさか今になって彼の生きた姿が見れるとは思っていなかったので、不思議な感じがしました。
演奏はウォルトディズニー・コンサートホールでの演奏で有名な、LAフィル。
演奏された曲は、前半はハリウッドメドレーのような曲から始まり、サイコをはじめとするヒッチコックの映画。ハリウッドゆかりの映画「サンセットブルーバード」、オードリーヘップバーンの映画(?)の曲などを演奏。スクリーンには各映画のシーンが音楽にあわせて編集された物が流れます。
また演奏ステージ(シェルと呼ぶらしいです)のライティングも音楽に合わせて色が変わります。
例えばジョーズは青、インディージョーンズならオレンジ、スーパーマンなら青と赤という具合。
後半はいきなりジョーズのテーマから始まり、続けて同じくジョーズのThe Barrel Chase(これも好きな曲です)これは映画のシーンを台詞付きで流してくれて、まるでサイレント映画時代に劇場で生演奏している映画を見てる感じでした。(実際に上映されていた映画のシーンはこれが近いです)
当然ながら映像にぴったりで、久しぶりに見たロイ・シャイダーの姿とも合わせてワクワクしました。
ジョンウイリアムスが裏話としてスピルバーグはいつも海の色と格闘していたと話してくれました。
撮影する日が違ったり時間や角度によって、海の色が青かったり緑だったりいろいろとかわるらしいんですね。それで同じシーンでもカットによって撮影日がちがうと色が変わってあわなくなってしまうということです。
当時はコンピュータなど無かったでしょうから、どうやってそれをきちんと合わせたのか不思議ですが、大変だったでしょうね。
さて音楽は、他にも1941,インディージョンズ、スターウォーズなどを演奏。
残念ながらET、未知との遭遇、ジェラシックパークは残念ながら聴くことができませんでした。
鍋潤さんの話によると、毎回違うらしいので、今度行ったら聴けるかも。
何度かのアンコールに応えてくれ、最後はスーパーマンで締めくくられました。
さて、このコンサートならではの風景。
アンコールで演奏された「ダースベーダ-のテーマ」ですが、たくさんの人が振っているのはペンライト(夜光棒)ではなく、ライトサーベル。
中にはインディージョーンズの仮装をした人や、ダースベーダ-のヘルメットをかぶった子供などもいてそれぞれに楽しんでいたようです。
驚いたのは次の写真をみていただけるとわかりますが
LAフィルの演奏者の人も何人かがライトサーベルを振りかざしていました。
もちろん演奏が終わった後のことです。
今回のLAフィルの演奏を実際に見てプロフェッショナルとはどういうものか、今一度考えさせられました。
特にコンサートミストレスの方の演奏がすばらしかった。
バイオリンは弓を動かすときにまっすぐ、しかも限られた領域からずれないで動かす必要があるのですが、はげしい体と左手の動きにもかかわらず、弓はぴたりと同じ領域にとどまり、まっすぐに動き続けます。
技術をこえて芸術の域に達しているなと思いましたが、よく考えれば音楽は芸術なんですよねw
うまく表現できないのですが、心の中にある物を外に出す、そのための技術にはとらわれておらず、心にわき出るものを外にだすとはこういうことかと思いました。
まさに技術ではなく心で伝えようとしているのだなと思いました。
これは技術は完全にマスターしていないと出来ないとことだろうなと思いました。
他のバイオリン奏者と比べても段違い。
この人と比べると他のバイオリン奏者は、まだ技術っぽさを感じてしまいます。
我々がVFXを作るとき、映画という芸術に関わっている以上、このコンサートミストレスのように技術にとらわれず、心から伝えられるようにすべきではないかと思いました。
そして技術を感じさせるのではなく、観客に映像に没頭させることが出来なくてはいけないと思いました。
なにせ我々は技術を見せるのが仕事ではなく映像を通してストーリーを語るのが仕事ですから。
まぁ、コンピュータは際限なく技術が変わり続けるので、難しい面もあるでしょうが、その視点を失わないように気をつけつつ、技術に振り回されないまでに熟練する必要があるのではないかとも思います。
最後に会場を後にするジョン・ウイリアムス(画面左下)
拍手がいつまでも、つづいていました。