日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年8月16日月曜日

アメリカ大手VFX会社の給料は?!

※この記事は2010年8月に書かれたもので、ほとんどがアメリカ国内の情報です。

その後、アメリカのVFX業界はアーティストの売り手市場から、スタジオ主体の買い手市場に変化しましたので、このスプレッドシートの情報がそのまま現状を表しているものではないということを理解しておいてください。

アメリカのVFX業界大手は安い海外へのアウトソースもしくは海外の支部で作業をすることが主流になり、国内の仕事は激減し、高給とりの多くがレイオフされました。

この業界は仕事をとるのは入札制です。
税制優遇措置がある国がどんどん安い入札額を提示するため、アメリカのVFXスタジオは競争力を失い、閉鎖もしくはカナダなどの安い地域に支部を作り、そこでほとんどの作業をするかの選択を迫られました。

そのためアメリカ国内の仕事が減少し、アーティストの需要と供給バランスが崩れました。
低い給料、短い雇用期間(以前はフリーランスで半年だったのが今は2-3か月が主流な感じ)、悪条件(残業した時間は有給として計算されたり、保険補助なし)を受け入れざるを得ない状況になったわけです。。

もちろん、この状況でも高い収入を維持できる人もいますが、ショットアーティストというよりはもっと開発寄りだったり、アウトソースなどほかのアーティストも管理できるような人達です。
ようするに収入を維持するにはスキル&経験が高くなければ難しい状況です。


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VFXアーティストのために戦うブログ「VFX Soldier」からすごい情報がリーク(?)しました。

以前からVFX Wages(閉鎖されました)という各社の給料の目安がわかるサイトがありましたが、今回のはすごいです。
実際の会社から得た情報をもとにまとめ上げ、スプレッドシートにまとめた物です。

Wages In The VFX, Animation, And Games Industry」(Google Doc)


ぱっと見た限りでは
Activision Pubblishing, Inc
Blizzard Entertainment Inc
Blue Sky Studio
Digital Domain
Walt Disney Pictures and Television
DreamWorks Animation
EA
ILM
Sony Imageworks
Pixar
R&H
Scanline
Tipet
R&H

など最大手がずらりです。

日本のアニメでも制作費が書かれたシートがリークしたことがありました。
あれはあれで悲惨でしたが…。

結論から言うと、目指すなら大手!
中小企業は、どうしてもピクサーより低くなります。


以下がブログVFX Soldierの該当記事の翻訳

-----(翻訳)--------
VFX、アニメーション、ゲーム業界の給料


2002~2009年にかけて、アメリカ国内のいくつかのVFX、アニメーションそしてゲーム会社から集めた情報を元にスプレッドシートを作ってみました。(こちらからアクセスできます

アニメーション・ギルドは毎年給料についての調査を自発的に行っています。
VFX Wages(閉鎖のためリンク切れ)と呼ばれる、サイトもまたアーティストに自主的に情報をいれるよう推奨しています。

私の情報は直接その会社から入手した物で、ボーナスやストックオプションまたは、保証金などは含まれていません。


この情報は、どんなアーティストやTDが次回、DreamworksやILMのような会社と契約の交渉をするときにどれぐらいの支払いが予測できるのかを理解する手助けとなると思います。

サラリーについてさらなる情報を持つことは、交渉時にさらなる影響力を持つことになります。
プロデューサーはこの情報にアクセスしますので、あなたもそうすべきでしょう。
もしあなたがこれに追加すべき会社があると思うなら、私にe-mailを送ってもらえれば私は、その情報を取得することができます。



なぜギルド(組合)に加わる必要があるのか?

VFXとアニメーションの業界にいる多くのアーティストとTDは、10万ドル以上を稼ぎます。
なのになぜ彼らはギルドに加わる必要があるのでしょう?


それは、この業界でプロフェッショナルでいるなら良い給料をもらいますが、少しまたは全く健康保険や退職金がもらえない状況で多くの人はプロジェクトが終わったら別のプロジェクトへ、施設から施設へと渡り歩きます。

(省略)



ピクサーの低賃金

ピクサーはいくつもすばらしい作品を作っているので、最高の賃金を支払っているといつも思っていましたが、そうではないようです。
彼らの給料は大多数の会社に比べると、20-30%低いのが普通です。
これはこの名誉ある場所での仕事であるからこそ行えることだと思います。
アーティストは低賃金を受け入れるのはピクサーで働くためにはお金を払ってでも働きたいからだと、マネージャーが考えていると思います。

興味深いのはこの方針は上層には適用されないと言うことです。
ディズニーのCEOであるロバート氏は国内のCEOで最も高い給料を受け取っている一人であるからです。
今年、彼の国内のランク付けは#2から#9へ多少、下落しました。
しかしながら、ImageMoversを閉鎖し、ディズニーの仕事を減らし、トイ・ストーリー3で抜群の成績をおさめ2011年にはトップに返り咲くことを来します。



PDI とDream Works(グレンデール):ノン・ユニオンとユニオン

私は意図的にPDIとグレンデールのDreamworksを分けたのは給料の比較が簡単になるからです。
DreamWorksは二つの施設を持っています。一つはグレンデール、そしてレッドウッド市にあるPDIです。
グレンデールのファシリティーはアニメーション・ギルドとの契約下にありますがPDIは違います。
給料は普通グレンデールのほうが高めですが、それは以下の疑問をもたらします。

組合化が、それほどお金がかかるなら、なぜDreamWorksはもっと仕事をPDIへ流さないのか?
PDIはほんの数百マイル北にあるだけです。

あなたはいつも議論を耳にするでしょう。
もしその会社が組み合いに所属するなら、彼らは仕事を他へ送るでしょう、しかし皮肉にもグレンデールの施設は、とても大きく拡張し、毎年2つ~3つの映画を作っているからです。



あなた自身のデパートメントの給料アンケートを指揮する。
私は以前、VFXの会社で5年働いたある友達ができました。
かれはとても働き者でした:ショットをすべて時間通りに終わらせ、良い評価を得、技術的な能力もありました。
同僚ともうまくやり、信じられないほど会社に対して誠実な人でした。
彼は自分の給料に満足し、自分が関わるプロジェクトが大好きでした。
彼の上司が、毎年良くなっている評価にもかかわらず昇給を拒んだときも、不満さえ言いませんでした。
ある日、彼のデパートメントにいるあるアーティストが匿名の給料アンケートを実施したときに全ては変わりました。

彼らはそれぞれ自分の時間給を紙に書き、ビンの中に入れました。
そしてそれらがみんなに見えるように貼り出されたのです。

それは彼の給料がデパートメントの中では他とは比較にならないほど最低の金額であることをあらわにしました。
彼の次に良い人は、時間給にして10ドル以上も彼より高かったのです。

彼は悟りました:彼が会社にずっと捧げてきた忠誠にたいして、かれらは口頭や書かれたほめ言葉を返してきましたが、他の会社からきた新しいアーティストには、その仕事が同等かそれほど良くなかったとしても充分な支払いをしたのです。
彼はよりよい条件を求め会社を去りました。彼はそのときは気まずい思いをしたようですが、いまはとても幸せです。



VFX業界の奇妙な世界
VFX業界はビジネスでは奇妙な世界です。
あなたは、長期の貢献や、最高の仕事、技術的な優れた能力をもつ働き手に報酬を与えると思うでしょう。
しかし最終的には、あなたが何をしたかではなく、どれだけの影響力を持っているかにかかってきます。
通常、それは他の会社への移籍を意味します。


けちな管理者は安くて忠実な働き手は、離れようとしないことを知っていますから、それについて手を煩わされることはほとんどありません。
通常、新しいアーティストがより多くの給料をもらう理由は、彼らはきついスケジュールを抱えているため、他の会社を離れさせるために疑似餌が必要だからです。

もしあなたが離れるとショーが終わってしまうほどの人気役者でない限り、あなたが望む昇給を得るにはその会社を去らなくてはなりません。


さて、悲観論者や6桁の給料(一千万ほど)はアーティストにとって多すぎると感じるCGTalkの閲覧者はその半分の値段(もしくは無料で)その仕事を喜んでするでしょう。
実際の所、私はそのような、ある人と仕事をしたことがあります。
彼は我々が関わっている映画のディレクターを知っており、その作品に関わることができました。
かれはその映画のすごいファンでした。しかし(保険などの)保証は何もなく、ほんの少しの報酬がもらえただけです。
かれはそれでも良かったのです。


数ヶ月後、会社が再交渉の時に何も与えないという、まったく失礼な態度を彼に取った後、熱望はいらいらした態度に変わりました。
何か自分が大好きなことに対して、他のだれよりも、一生懸命働いて、あなたの周りの人があなたよりももっと多くの物を得ているのは、むなくそがわるくなる状況です。

それはアーティストであることをやめ、ビジネスマンになるべき時です。


がんばり続けましょう!


---(翻訳終わり)----------




いやぁアンケートの話と、最後の話は身にしみます。
実際いくら貢献しても、交渉しない限り実質的な見返りはありませんでした。
 なのに後から来た人は数ヶ月で自分達と同等の給料にまで昇給してしまうのです。
日本人などVisaサポートを受ける人たちは、それをネタに最初から低めに給料を設定されることもあります。


言葉は悪いですが、実際、交渉した物勝ち、ごねた物勝ちという面はあると思います。
ただごねすぎると職を失うことになるので、それは会社の状況と自分の技量をよく見て冷静かつ適切にごねる(交渉する)必要があります。

ちなみに上記の元記事の最後に「アーティストをやめてビジネスマンになるべき時」ってのは交渉ごとにも明るくなり、そしてうまくたちまわれよと言うことですね。
こっちはそもそも交渉しないと給料上がらないですからね。(今までの経験では。。)

ちなみに、今の職場は2週間の予定で、通常よりも8ドル安い時給で働いていたのですが、
一ヶ月延長され、3ドルアップ。
そして、来月も働いてほしいから、Bookingしてよいか?ときかれたのですが、来月あたりから大手の募集が始まりそうなので、
、一ヶ月丸々は拘束されたくないと返事しておいたんですね。

そしたらプロデューサーに呼ばれて、なんとか一ヶ月できないかときかれました。
こちらは宛にしてるところがあるわけでもなかったんですが、安給料で働かされるのは嫌だったので、正直なところこのままの給料ではきついと話したところ、こちらが言う時給にしてくれることになりました。(ようするに8ドルアップして通常の自分のレートに戻った)

今回はかなり気に入ってくれたので、強気に出ても良い結果につながったのだと思いますが、いかに出せたとしても出さないようにしているかがよくわかりました。

有能な人は複数のスタジオから引き合いが出ることがあり、その時はこちらはこれぐらい「出してくれる」ということで相互に競い合わせることもできるようですが、これも限界はあると思います。
もっと多いケースですがプロジェクトが終わり、次の会社に移るときに給料の設定を高くするということです。
経験を積んでいるので給料は高くなって当然という考え方のようです。
ただ会社によって「前の職場では給料いくらだった?」と聞かれることもあります。

交渉で強気に出て成功したのは初めてで、ちょっと交渉の楽しさを知ったような気がしますw

それにしても、日本のVFX会社で同じような物作ってみたらどうなるんだろうか?
あっ、それから言い忘れましたが、このスプレッドシートは税金がひかれる前の値段だと思われますこっちは給料も高いですが、家賃や保健、医療費もかなり高く日常の足は車です(車も軽自動車は売られていないので普通車以上になります)から、出ていく額もそれなりです。
また子供がいると、たとえ公立学校へ行っていたとしても日本の学校ほど充実してない音楽、運動、美術などを習い事に通わせるとさらに出費がかさみます。
当然ながら家族規模によっても家賃、医療費は異なりますが、家族持ちでは800-1000万であまり余裕のない日本の中流レベルと同等という話はよく聞きます。
もちろん、独身なら出費も抑えられるので同等の給料なら少しは贅沢できると思います。




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