日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2009年9月29日火曜日

「トランジション」を考える。 (ストップ・トリック)

現在CGの発達により、より複雑なエフェクトが作られるようになった。
エフェクトには、比較的簡単にできるものから、複雑な行程を必要とする物までいろいろなものがある。

その中でもいろいろな映画でよく使われる物に、「トランジション」がある。
注意:このエントリでは、映像編集でいう「トランジション(画面の移り変わり)」ではなく、ある物質が別の物質に移り変わったり、消滅するという意味で使っています。

机の上に置いた石がカエルに変わったり、人間が動物にかわったりする物理的に別の物に移り変わることだ。

専門的にはどうなのかわからないが、「トランジション」は「状態の変化」である。
ある物質が消滅したり、なにもないところに何かが表れる場合、
その物質が目に見えない気体に変化したり、目に見えない気体分子が結合して目に見える物質に変わると考えれば、これも「トランジション」だと言えると思う。


不思議とこの「トランジション」は、VFXが進化した現在でも、多くの映画に使われる技法で、普遍的かつ、基本的な物である。

今回、この「トランジション」を調べてみたいと、思ったのは、
1)VFXを極めるにはこのトランジションをさけては通れない。
2)ほぼどんな映画にもトランジションがある得るなら、これは仕事になる。
3)どんなトランジションも、難なくつくれるなら、仕事にありつける。(のではないか?)
という推測からだが、まぁ、落ち着いてよく考えてみれば、トランジションだけしか出来ないアーティストでは、使い道がない。
トランジションは多用されるが、簡単なエフェクトである場合も多いからだ。


でも、なにかVFXアーティストとしてひとつのマイルストーンになるのではないかと思ってとりあえず納得いくまではしらべてみたいと思う。

調べていく間に「トランジション」のパワーや、そこに必要とされる手法が、少しづつあきらかになっていくといいなと思っています。


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あるものが消えたり、他の物に移り変わるというのは映画史以前からエンターテイメントとして存在(手品)している。

さかのぼれば、それは怪しげな魔術として人々からはとらえられていた事柄になる。

ようするに自然には存在しない現象で、物語の世界だけで語り継がれている事だ。

そしてそれを現実の世界で実現しようとする手段が手品だ。
ハトが消えたり、トランプが別のカードに入れ替わったりというのは、危険なく楽しめる魔術として一般に受け入れられたのかもしれない。
手品はさかのぼれば、紀元前にまでさかのぼることができるらしい。(参照:手品の歴史と起源


さて、本当の魔法があるのかどうはしらないが、トランジションを人が経験するには、映画以前には、手品しかなかった。

しかし、映画が出来てからは、「トランジション」を経験には、もってこいの手法としてたちまち民衆の人気を博したようだ。


「トランジション」を使った映画は、1896年には、すでに公開された。
これは映画が初めて一般に公開された次の年である。


1895年に初めて一般公開された映画はリュミエール兄弟の映画「工場の出口」である。
これはただの記録映画で、トランジションは使われていない。


そして、翌年の1896年にジョルジュ・メリエスにより、「ロベール・ウーダン劇場における婦人の消滅」という作品が公開された。


これがSFXが使われた初の作品と言われており、そこで使われた技法は「トランジション」である。

ここでは、カメラで普通に撮影するだけではなく、カメラを意図的に操作(ストップ・トリック)してトランジションを作り上げている。
このSFXは次のように進んでいく。
1)婦人に布をかけ、布を取ると婦人が消える。
2)何もない椅子に婦人の骸骨だけが出現する。
3)骸骨に布をかけ、布を取ると婦人に戻る。



このストップ・トリックは、元々はアクシデントでカメラが止まったことから思いついたようだが、やはり、メリエス自身がマジシャンでもあり劇場経営者であったため、そこを技法として用いることを思いついたのかもしれない。
彼は、他にも、このように観客を楽しませるために撮影技法を駆使するSFXをいろいろと生み出していった。


---ジョルジュ・メリエスについて書かれているホームページ---
ホームページ:20世紀の魔術師~ジョルジュ・メリエスの魔法映画~OCTOPUSさん

ブログ:「良い映画を褒める会」
ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』他。1902年にSFの原点といえる作品が存在していた。


注:このストップトリックは1895年にすでにエジソン社の撮影した「メアリ女王の処刑」で使われていると言うことだ。


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ジョルジュ・メリエスは他にもたくさんSFXを駆使した作品を作っている。

1898年には、幾つもの頭を持つ男は、ストップ・トリックと二重露出を使い。
自分の頭と人形の頭をうまく使い分けて、今見ても楽しい作品に仕上げている。

メリエスの演技もうまく、どこで止まっているのかわからないほど、なめらかだ。
これと同じ技法がスターウォーズの最初の三部作では、ライトセーバーの伸びるテクニックとして使われている。


このメリエスの作品は、簡単な技法を使っているので、自分で作るのも簡単だろうと思ってしまう。
しかし実際に、作るとしたら事前に綿密な計画を作っておく必要性を感じる。
100年以上も前に作られたにもかかわらず、しっかりとしている。


1902年には、有名な月世界旅行を公開している。

この映画で、一番最初に思い浮かぶのは、VESのマークでおなじみの月面にロケットが突き刺さった映像だ。

「顔のある月面」を撮影しカメラを止め、「ロケットが目に突き刺さった顔のある月面」に入れ替え、撮影を再開していることは見ればすぐにわかる。
しかし、二つの対象物をただ入れ替えただけでなく、その入れ替えがズームの途中で行われている。

ようするに、ズームのスピードを考慮しながら、ストップトリックを使っている。
なかなか芸が細かい。

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メリエスについて調べて居ると、「魔法映画」を作った「魔術師メリエス」。「20世紀の魔術師」という言葉に出会った。

これを聞いて思い出したのが、「最後の錬金術師」とよばれたアイザック・ニュートン、いいかえるなら「17世紀の魔術師」だ。

人というのは、昔から魔法や魔術に魅せられ、それを追究している。

現代でも、VFXの世界に魅せられ、そこで働いている我々は、潜在的に魔法や魔術を追い求めているのだとしたら、今も昔もかわってないなぁと思う。

だれもが簡単に動画を撮影できるようになった現在、いわば個人には、映画の黎明期と同じ事が起きているのではないかと思う。
最初は、普通に撮影していて、遊び心がでてきたら、ストップ・トリックなどを使い始める。
100年たっても「動画」という技法を使ってやってみたい遊びというのは変わらないというのもおもしろい。

さて、「魔法」というのは、人の歴史と切っても切れない物だが、なかなか表舞台には出てこない。
しかし、ニュートンを始め科学も、SFの世界も魔法を追い求める心によって進化し続けているのだろう。

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「トランジション」は、人に対して魔法の力を感じさせる、とてもパワフルな技法として普遍的な物だと
いえる。
メリエスの作品を見ていて、それを感じることができる。

「トランジション」は魔法の力を感じさせるためには切っても切れないものといっても過言ではない。

映画では、それが簡単に実現できるので、観客の驚きを得る手段として、多用されてきた。

それ故に、ただのストップ・トリックを誰もが知るところとなり、飽きられ、子供だましとしても通用しなくなってしまった。

そして、それを打開し、映画から「魔法の力」を再び感じられるようにするために、「トランジション」には様々な工夫が持ち込まれるようになったのではないかと思う。

 

2009年9月28日月曜日

2009年9月18日金曜日

近況

ここ一ヶ月ほど、ブログの方はほとんど放置状態でした。

それでも毎日見に来てくれる人がいるのはありがたいことです。

この一ヶ月、実は休養をとっていました。
といっても仕事には毎日ちゃんといっていました。

仕事が終わって、ブログを書いたり、勉強したりしていたのですが、連日深夜になり、朝は7時半には子供の起こされるという日が続き、疲れが取れなくなってきて、頭も働かなくなっていました。

そこで、体調を元に戻すため、12時には寝るようにしたのですが、実際の所、子供を夜8時には寝させるので、そのときに一緒に朝までねてしまうことも。

おかげで十分な睡眠をとり続けることができ、万全とは言えないまでも、体調も良くなってきました。

ただし、基本的に運動不足なので、体力(持続力)がない。
最近、急に体力が落ちてきた感じがする。
これからは食事療法と、エクササイズを日常に取り入れて持続力をつけていこうと思っています。

そんな感じで、帰宅してもほとんど何もしておらず、Melに関する勉強は仕事中に、レンダリングの合間を使ってやっていたぐらいです。

あえてしていたといえば、子供のモンテッソーリ教育について勉強してたぐらいで、家ではCG系の勉強はほぼ皆無。

しかしながら、だらだらと勉強を続けるよりは、もっと生活にメリハリを付け、活力のある状態で、少ない時間を有効に使ったほうが、より得るものがあるのではないかと思っています。

Melの勉強は、今のところ突き当たっていると感じる壁を破る打開策はみつかっていません。
その壁とにらめっこしていてもしかたがないので、気分を変えて今の状況を違う角度から見るようにしています。
具体的にはプログラミング関係の情報を読んだり、アーティストの心構えについて調べたり、という感じです。

しばらく、ブログの更新のペースはゆっくりになると思いますが、今のところはMelの勉強を止めるつもりはありません。

 

closestPointOnCurve ノード

ボーナスツールに含まれている「closestPointOnCurve」

ボーナスツールメニューには含まれていない。
ボーナスツールインストール後に、Pluginマネージャーから「closestPointOnCurve」をOnにして初めて使用できる。

適用の仕方はカーブを選んで実行(「closestPointOnCurve」をスクリプトエディターから実行)すると
「closestPointOnCurveノード」がそのカーブにコネクトされる。

このノードの働きは、インプットされたxyzに一番近い位置にあるカーブ状のポイントをxyz値で返してくる。

たとえば
オブジェクトAのTranslate x,y,zをclosestPointOnCurveノードのインプットに接続し、
closestPointOnCurveノードの返り値をオブジェクトBへ接続する。

オブジェクトAを自由にアニメーションすれば、オブジェクトBはカーブ上を移動する。
その際オブジェクトAに一番近い位置を移動する。

以下のような時、
1)オブジェクトをパスカーブに沿ってアニメートする。
2)オブジェクトが他のオブジェクトに対応した動きをさせたい。
3)パスカーブを一方向へ移動するだけでなく、前後に不規則な動きをさせたい。

パスアニメーションを作りそのアニメーションカーブをいじっても同様にできるが、
入力となるオブジェクトAを画面で見てアニメーションすれば大体の位置の把握がしやすいし、
アニメーションしやすいと思う。

ただし、レンダーファーム側でこのプラグインがインストールされている必要がある。
(今日レンダリングテストしたが、レンダーファーム側でエラーにはなっていたが、ちゃんと動きはレンダリングされていた。どうしてだろう???)
 

カーブに沿ってジョイント チェーンをアニメート(メモ)

オンラインヘルプ:
カーブに沿ってジョイント チェーンをアニメートするときにフリッピングの発生を防ぐには

(注意)
書かれているとおりにやってもジョイントのルートがパスカーブに沿って動くだけで、子ジョイントはカーブに沿っていかない。
目的通りパスカーブに沿ってジョイントチェーンを動かすには、
iKHandleをtransformノード配下へ移動する必要があるが、書かれていない(ようだ。)