(執筆中;このエントリは書きかけです。後でおおきくかわる可能性があります)
ここ数年、ハリウッドのVFX業界は大きく変わりました。
大手のVFXプロダクションが軒並み海外へ支部を作り始め、インドや中国といった国へのアウトソーシングが当たり前になりました。
一方で、Sonyなどはオープン・ソースのソフトがリリースされたり、DDはエフェクト用のキャラクターアニメーションやトロンに至っては、コンセプトから製作。
Motion Theoryはギレルモ・デル・トロとくんで、彼のコンセプトを製作するMiradaと言う会社を立ち上げました。
こういった、明らかに今までと違った方針が見え隠れしていたのですが本日、投稿された
The hollywood reporterの記事に、その見えざる裏事情が
掲載されました。
記事リンク:
California Visual Effects Houses Fight to Survive
(カリフォルニアのビジュアル・エフェクト・ハウスは生存をかけて戦っている)
半ば予測していた部分もあるのですが、思った以上に状況は深刻かつ変化も激しいのには驚きました。
大手のフットワークの軽さそして、先を見越した計画に驚かされます。
裏を返せば、かなりの切迫した状況にある事が伺えるとともに、監督といったクリエイター、そして世界のVFXプロダクションに影響を及ぼし、最先端コンピューター技術を牽引する大手だけに先が見越せるのかなとも、思いました。
とりあえず、いつもながら適当ですが、その意訳をしてみました。
-----(↓ 以下、意訳 ↓)--------
Can the visual effects industry survive in California?
ビジュアル・エフェクツ業界はカリフォルニアで生き残れるか?
With VFX businesses under pressure to do more with less — and with impossible-to-compete-with financial incentives being offered in various states and countries — the final two months of 2010 saw the closure of three notable California-based visual effects businesses: Asylum VFX, Café FX and ImageMovers Digital.
VFXビジネスはより低予算で、より大きなプレッシャー、そして様々な州や国で提供される太刀打ちのしようがない財政支援があります。
2010年の最後の二ヶ月に、3つの著名なカリフォルニアのビジュアルエフェクトの会社が閉じました。Asylum VFX, Café FX そして ImageMovers Digitalです。
“The incentives being offered (outside of California) are very compelling, and our clients expect us to be able to offer prices that reflect these incentives, for better or worse,” said Randy Lake, executive vp and GM at Sony Pictures Imageworks.
(カリフォルニア外で)提供される支援金は、うむをいわせぬ魅力があり、
「私たちのクライアントは、これらの支援金を反映したもっと良い価格かそれなりに見合った価格で提供する事が出来ると期待します。」とSonyピクチャ・イメージワークスのジェネラルマネージャー兼副社長のランディー・レイク氏は述べます。
To stay alive, California-headquartered effects houses surveyed by The Hollywood Reporter say their business strategies include early involvement on a project, carefully controlled overhead and sending work to areas that do offer incentives.
ハリウッドレポーター誌から調査をうけたカリフォルニアに本部を持つエフェクトハウスは、あるプロジェクトの初期の段階を含む彼らのビジネス計画は、よけいなオーバーヘッドを注意深くコントロールし、それらの支援金を提供している地域へ仕事を発注しています。
For Industrial Light + Magic, a key is getting involved early. “We are really partnering with the productions,” company president Lynwen Brennan said.
ILMにとっては、初期の段階から関わるのが鍵となっています。
社長のリンウェン・ブレナン氏は「我々は、プロダクションと本当の協力者となっています」と述べています。
Depending on the scope of the work, that may be accomplished at ILM’s San Francisco headquarters, at its Singapore base or at other VFX houses with ILM managing the workflow.
仕事の範囲にもよりますが、それは、おそらくサンフランシスコに本部を持つILM、そのシンガポール支部、またはその他ILMがワークフローを管理するVFXハウスで行われたと思われます。
“It’s not about having people who can work around the world but having the right talent,” Brennan said, a belief echoed by other interviewees. “We took our time to handpick the vendors that we work with.”
「世界中を駆け巡って働ける人たちを抱えようと言うことではなく、適切な才能をもった人を見つけたいのです。」とブレナン氏は述べます。
インタビューを受けた人たちから信じられないほどの反響がありました。
「私たちは自分の時間を一緒に働くベンダーを注意して選ぶのに費やしました。」
In Singapore, ILM and Lucasfilm — with its Jedi Master Training Program begun in 2008 — have developed talent of their own.
シンガポールのILMとルーカスフィルムでは、ジェダイ・マスター・トレイニング・プログラムが2008年に始まりました。ー彼ら自身が才能ある人材を開発したのです。
“Now Lucasfilm Singapore is in a place where we can take on significant portions of work and significant complexity,” Brennan said. By the end of 2010, an estimated 50% of talent at the base was Singaporean.
「さて、ルーカスフィルム・シンガポールは処理する仕事の割合を増やし非常に複雑な仕事を行うようになりました。2010年の終わりまでには、人材の50%はシンガポール人になります。
Lucasfilm Singapore completed roughly 25% of 2011 Paramount release Rango and is contributing to some of ILM’s San Francisco-led projects including Transformers: Dark of the Moon and Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides. The Asian office is running out of space, and a new building is set to open in 2013.
ルーカスフィルム・シンガポールは2011年にパラマウントから公開されるランゴの約25%を完成させました。
トランスフォーマーズ’:ダーク・オブ・ザ・ムーン、そしてパイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉を含むILMサンフランシスコの主要なプロジェクトにも関わっています。
アジアのオフィスはスペースが不足しつつあり、2013年には新しいビルが完成予定です。
Singapore also offers aggressive incentives.
シンガポールはまた非常に積極的な支援金を提供します。
Digital Domain also is seeking to get involved earlier in the production cycle. “We are trying to position Digital Domain as a production-company resource to the filmmakers,” CEO Cliff Plumer told THR, adding that the Venice-headquartered VFX business aims to get involved in the development process — creating concept art and presenting creative options — and working with the filmmakers to get a project greenlighted.
デジタル・ドメインはプロダクション・サイクルの初期段階に入り込もうとしています。「我々はフィルムメーカーに対して、デジタル・ドメインをプロダクション・カンパニー・リソースとして位置づけようとしています。」とCEOのプラマーは話します。
ベニス本部は開発プロセスに打ち込むVFXビジネスを目指しており、コンセプトアートを創作し、クリエイティブなオプションを示しました。
また、プロジェクトをグリーンライトに持ち込む為にフィルムメーカーと働いています。
This was the case on Tron: Legacy, for which the Venice team created an early sequence to help to procure a greenlight. Once the film got the go-ahead, DD served as the lead VFX house, working in Venice and at its Vancouver-based operation (shooting also took place in Vancouver). For this massive project, DD also hired additional VFX houses in areas including India and Toronto.
トロン:レガシーは、ベニスのチームがグリーンライトを獲得する為に、初期バージョンを作る手助けをしたケースです。
一旦、フィルムにゴーサインが出たら、DDはリードVFXハウスとして働きました。ベニスとバンクーバーの支部で作業を行い、(撮影も同じくバンクーバーで行われました)。
この膨大なプロジェクトの為に、DDはインドやトロントを含む地域のVFXハウスを採用しました。
“On Tron, we hired (outside VFX facilities) and showed them a lot of technology we were developing so it could integrate,” Plumer said. “The days of being a black box are over. You need to be more open to share assets and technology.”
「トロンでは私たちは外部のVFX会社を採用しました。そして私たちが開発していた技術の多くを彼らに見せて(技術の)調和をはかりました。」とプラマーは話します。「ブラック・ボックスでいる時代は終わりました。あなたはアセットと技術を共有する為にもっとオープンになる必要があるのです。」
Sony Pictures Imageworks also aims to streamline technical resources and infrastructure so that budgets are spent more on talent and less on overhead.
Sonyピクチャー・イメージワークスはオーバーヘッドを少なくし、人材にもっと経費を費やす事が出来るように、テクニカル・リソースとインフラの合理化を目指しています。
In recent years, Imageworks reduced its physical footprint in L.A. — consolidating into a single building — while opening bases in India, New Mexico and Vancouver, all of which offer financial advantages. “The key for us is maintaining talent in Culver City but also feeding the other offices,” Lake said.
ここ数年、イメージワークスはLAの物理的な機器の設置面積を削減し、一つのビルディングに統合しました。
インド、ニューメキシコ、バンクーバーに支部を開いてもおり、これらすべてが、経済的なアドバンテージをもたらします。
「カルバーシティーの人材を維持するのは我々の鍵ですが、他のオフィスの維持もまた然りです」とレイク氏は述べます。
“New Mexico was a result of aggressive tax incentives,” he added. “We’ll be getting up to 80-90 employees as we reach production peak on The Green Lantern.”
「ニューメキシコ支部は積極的な税制優遇措置の結果です。」と彼は付け加えます。「グリーン・ランタンのプロダクションがピークに達するときには80〜90人を雇用します。」
The majority of Alice in Wonderland was handled by Imageworks in Culver City, though work was sent to its India and New Mexico operations as well as to Café FX.
インドとメキシコの支部、CafeFXにもその仕事が送られたにもかかわらず、
アリス・イン・ワンダーランドの大部分はカルバーシティーのイメージワークスで処理されました。
On the technical side, Imageworks is looking to streamline operations with open source initiatives. Imageworks and ILM co-developed and in 2010 launched an open source system — dubbed Alembic — aimed at helping VFX companies easily share complex animated scenes regardless of what software is being used.
技術的な面では、オープンソースのイニシアチブをとりオペレーションの合理化をめざしています。
イメージワークスとILMはAlembicという名前のオープン・ソース・システムを共同開発し、2010年に立ち上げました。
VFX会社が複雑なアニメーションをもったシーンを使用しているソフトウエアに関係なく簡単に共有できる事を目指しています。
Look Effects is a mid-sized FX house that debuted in L.A. in 1998, and in 2008 it opened an office in Brooklyn “to combat runaway business,” company president Mark Driscoll said. “New York has a pretty substantial tax incentive program, and that has turned out to be a rather substantial business generator for us. In this strange economy, we had our best year every last year. We grew revenue by about 40% from 2009 to 2010, and we expect 2011 to be on par. We have tapped into the creative hub that is New York.”
Lookエフェクトは1998年にLAでオープンした中規模のエフェクトハウスです。そして2008年にrunawayビジネスを戦う為にブルックリンにオフィスを開きました。」と同社の社長マーク・ドリスコールは話します。
「ニューヨークはかなりたくさんの税制優遇プログラムを持っています。そしてそれはむしろ我々にしっかりとしたビジネスを立ち上げる手助けをしてくれます。
この奇妙な経済状況の中で、毎年がベスト・イヤーを更新しています。2009年から2010年にかけて総収入は40%増加しています。
おそらく2011年も同じぐらいでしょう。
我々はクリエイティブなハブを利用しました。それはニューヨークです。」
Driscoll said the company’s rule of thumb in this challenging time is living within one’s means. Look Effects runs a tight ship. “We are targeting director-driven movies, going after high-end but moderately sized projects,” he said. “We are not trying to go toe to toe with (large facilities such as DD).”
(翻訳 一部省略)
「我々は、ディレクター・ドリブンの映画を目指しています。ハイエンドを目指していますが、控えめなサイズのプロジェクトです。」
「我々は(DDのような大きなプロダクションのように)何から何までやろうとはしていません。
Black Swan was produced in New York, and Look Effects’ Brooklyn facility handled the visual effects work. Work on Robert De Niro-Bradley Cooper drama Limitless is among the projects now shared between its Los Angeles and New York operations.
ブラック・スワンはニューヨークで制作され、Lookエフェクツのブルックリン支部はそのVFXを処理しました。
ロバート・デニーロとバドリー・クーパーのドラマ「リミットレス」のプロジェクトははLAとNYで共同で作業されました。
The VFX industry, meanwhile, saw the recent launch of Atomic Fiction in Emeryville, Calif., headed by three veterans of ImageMovers, the former Disney-owned venture in Marin Country led by Robert Zemeckis, Jack Rapke and Steve Starkey. The Atomic partners told THR that its plan right out of the gate is to maintain low overhead. This will include exploiting cloud-computing services for rendering and possibly opening new bases where it could take advantage of incentives.
カリフォルニアのEmeryvilleに最近オープンしたAtomic Fictionはイメージ・ムーバーズの3人のベテランが上層部に就きました。 (略)
これは、オーバーヘッドを低く抑える事を計画しており、レンダリングの為のクラウド・コンピューター・サービスを利用することを含み、支援金のアドバンテージがある場所に新しい基地を開く予定にしています。
Though there is strong work in awards contention this season, many VFX pros viewed 2010 overall as a weak year for visual effects innovation. Some wonder if cost control is ultimately affecting the quality of the work.
このシーズンはアワード争奪戦の強力な仕事にもかかわらず、多くのVFXのプロはビジュアル・エフェクトの革新という点では、2010年は全体的に弱かったとみています。
コストのコントロールは仕事の質に完全に影響しているてんについては驚かされます。
It’s difficult to pin down, ILM’s Brennan said. “There is always a range of quality and a range of budgets, and there is always a range of easy to difficult work,” she said. “You make compromises based on budget.”
ILMのブレナンは言います。
「品質の範囲と予算の範囲、そして優しい物から難しい物までの仕事の範囲がいつも存在します。」
「あなたは予算をベースにしてそれを調整しなくてはなりません’
-----(↑ 以上、意訳 ↑)--------
アウトソーシングで、ダメージを被るのはカリフォルニアにあるVFXプロダクションであり、スタジオではないということには注意が必要です。
ハリウッド自体がダメージを受けているというわけではなく(もしかしたら世界的な映画離れなどがあり、低迷なのかも知れませんが )「
ハリウッドのVFX業界」がダメージを受けているのです。
スタジオはVFXの仕事を発注する側であり、VFXプロダクションではなく映画自体を初期計画から予算調達まで調整して製作、配給しているところです。
ユニバーサルスタジオとか、ワーナーブラザーズ、ディズニーとか、ですね。
ハリウッドで危ないのは「
カリフォルニア」の「
VFX業界」であり、それはハリウッド映画業界の一部門であり、VFX業界の一部です。
ただ長年、VFX業界を牽引し、ハリウッド映画業界を支えてきたのは「カリフォルニアのVFX業界」です 。
それがハリウッドの映画業界から見放されつつあると言うことが 問題になっているわけですね。
なぜ問題かというと、この変化がここ2~3年で起きており、VFX業界で働く人の職が急激に失われているからです。
ILMやDDのように海外に支部を設立した会社は、スタジオから仕事を受けるために現地の税優遇措置、支援金による安価なサービスを提供できる態勢を早くから整えました。
いままでの設備やノウハウも生かす事が出来、かつ安い価格で仕事を提示する事が出来る。
カリフォルニアで働く、アーティストにとってはメリットはありませんが、その大手プロダクション自体はダメージは減らし生き残ることが出来ます。
DDの方針はまさにMotion Theory(Miranda)がとった方法と同じである。
まさに今のブームはコンセプト段階の制作に移ってきていると言えるかもしれない。
もはやカリフォルニアはアーティストでも、よりコンセプト段階にかかわるアーティストが求められている。
予想は、していたことだが、企業がその体制に実際に移行するのは自分の予想以上に早かった。
また映画のコンセプト段階からかかわりその撮影法などの立案にも関わっていると見られる。
これはVFXプロデューサーやスーパーバイザーの役割が大きいと思われるが、いわばそのことでその映画にGoサインがでたとき、そのVFXワークのイニシアチブを取ることができる。
簡単に言えばVFXの大半を自分達にものにできるということだ。
Lookエフェクトの事例は、モーショングラフィックスなどコンセプト段階から作れる小さな会社が強いということを表す別の例だろう。
LAにもCMやミュージックビデオを手がける小さな会社がいくつもある。
それらは映画産業からは完全に違うルートがあり、それなりにうまくやっている。
これらは大きな仕事はあまりしないし、そんな態勢もパイプラインもって無いことが多いが、コンセプト立案からできるので、CGだけを製作する会社よりもお金になると聞く。
いままでと違い、個人もコンテンツを作り発信する時代になってきた。
興味深いのはそういった創作性が大企業にもより求められるようになってきているというところ。
ショックなのは、前々からのべていたように、
下請け作業でハリウッドの仕事を得る事で、多くの国がノウハウを取得するという事が実際におこっている。
このままでは日本はますます他国に差を付けられるのは目に見えているなと思いました。
政府による支援は、まさに仕事をとるという事以上の目的、すなわちスキルやノウハウの吸収を助けていると思います。
これは、将来自国のコンテンツを作るのに役立つことです。
(ただし、その同じレベルを自国の予算で作れるかどうかがが問題となりますが)
SonyとILMが共同で開発したOpenソースAlembicは、開発者自らにとっても非常に重要なツールとなり得るということだ。
大手は、それにより利用できる会社が増え、最終的には自分達のメリットになる。
こういったオープンソースによって、ますます全世界のプロダクションのフラット化が始まる。
いわば今まで大きな会社が最初から最後まで作っていたが、将来はそれが分散され、世界中の小さなVFXプロダクションがカリフォルニアの大きなVFXプロダクションの指揮の元に製作を進めると言うことが起きる可能性もある。
簡単に言えば、全体の制作費を引き下げることが出来れば何でもありということになる。
今やハリウッドの魔法は広く公開され、「魔法」ではなくなりつつある。
技術だけでなく、映像制作に関するノウハウ、ひいては製作の方法と行った管理部分、映画の見せ方といった美的な物に関するノウハウ。
全世界の各社が、歩調を合わせ、相互にノウハウをやり取りする、そのベースとなるのは共通する仕事、ハリウッド映画のVFXである。
その仕事をとれない国は、この枠組みから完全に外れてしまうのかどうか気になるところ。
気にかかるのはSantaMonicaにある某中規模エフェクト会社(上記の記事にはでてこない)
昨年は自社でSF映画を一本作ったが結果的には(元は取れた物の)はずれであった。
今回二回目であり、監督としての技量にも自信を失っているのではないかと予測できるような話も聞いた。
今は、とりあえず映画のエフェクトワークを継続してとっているようだが、自社コンテンツを作る事が出来なくなれば先行きに不安は残る。
自社コンテンツがなければ、もしくはDDやMotionTeory(Mirada)のようにコンセプト段階から手がけるようにならなければ映画産業で生き残るのは難しい可能性もある。
そのためには他の監督やプロデューサーの要望に応える必要がある。
最近、パイプライン要員をリクルートしていたので、よりパイプラインを効率化して、コストの削減を試みているのだろうか、これからの動向がきになるところだ。
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さて個々のアーティストとして身の振り方をどうするかが一番きになるところだ。
ただ基本的にはこのブログやツイッターで何度も言ってきた選択肢になるとは思う。
1)コンセプト段階で関われる人
MotionTheryの社長と話していて思うのは、コンセプト系に関わる人には職はある。むしろこれからどんどん増えてくる。
モデリング、テクスチャーを含むキャラクターデザインや環境デザインなど。
トラディッショナル・アートができる、もしくはセンスあるアーティストが重要視される。
スタジオに見せるテスト映像、エフェクトアーティストはこの制作に携わる事が出来る。
2)パイプラインやアセットに関われる人
TDやエンジニアと行ったテクニカルな知識を持った人
ようするに各国のアーティストが働きやすい環境を構築できる人員である。
3)今まで通りのアーティスト
大手のアウトソーシング形態をみると、安定した感じもある。
ただ、そういった企業でもLAに新たなブランチを立ち上げた会社もある。
ただ、継続は不明という、大企業でもLAでのビジネスは見通しが出来ない面があるという事だろう。
もしこのままの状況が続けば(おそらく続く)、アーティストの必要数は減少する。
安いが、しかし高度な事ができる人材、部下を統率できるリードアーティスト、そして卒業したての安い人材が重宝されるようになるだろう。
高給取りのスーパーシニアという位置づけの人は、一部を除いて不要になるかもしれない。
ただ、ハリウッドにはピンからキリまで数多くの小さなプロダクションがたくさんある。
今まで通りのCGアーティストの職が、絶対数として減少することはあり得るが、無くなることは絶対無いだろう。
現地で生き残る身として考えてみた場合のその他の条件
1)身軽なフリーランス
面倒なvisaサポートがなく、必要なときだけ必要なだけ使えるフリーランスは無駄な経費を押さえることが出来るので、より重宝される可能性はある。
これはフリーランスがいいのか社員がいいのかということではなく、フリーランスとしての募集が増えるだろうと言うこと。
ようするに応募するならフリーランスしか無くなるだろうと言うこと。
社員もある程度は必要だろうからある程度は確保するとは思うが狭き門になりそうだ。
今更言うこともなくハリウッドはフリーランスがベースであるので、これは今まで通りとも言える。
日本から応募する場合、まずはVisaサポートが必要となるので、これは当てはまらないかもしれない。(Visaサポートを受けている場合は通常フリーランスはできない)
応募の仕方は変わらない、世界的に競争力のある、すばらしい作品を作って応募すること。
会社が気に入ってくれればVisaのサポートはしてくれる。
アメリカの話だが、要するに海外から応募して、就職できるときにはVisaサポートはしてくれるし、そのときは正社員扱いなのでフリーランスとは違う。
アメリカは他の国と違ってVisaを取るのは難しいので、再度同じ人材を雇うのが難しいため、そんなに簡単には首(レイオフ)になったりはしにくい。
通常は給与額をフリーランスより低く抑え、仕事が少ないときもなんとかつなぎ止めてくれる。
そんな事情もありこの項目は、これから日本から応募しようとする人には関係ないとも言える。