日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2011年7月26日火曜日

「ハリウッドCG業界 就職の手引き」 リビュー (その1)

友人でもある映像ジャーナリストの鍋潤太郎氏より冊子版「ハリウッドCG業界 就職の手引き」をいただいたので早速リビューを書かせていただいた。
(といっても実は書いたきり、ブログには投稿してなかったので今回、再読して多少訂正後の初掲載です)
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「第一章 北米CG業界の現状」
自分が持っている冊子は多少古い(2008)ので、第一章の情報は現在の動向には沿わないところが多い。
とくにここ数年でハリウッド映画を取り巻く状況は大きく様変わりした。
ILMはDigitalDomainまでもがCGアニメーションに参戦し、VFX組合の発足も噂され、もはや衰退の一途かとおもわれた西海岸のVFX業界も、「アバター2」、「アバター3」のためにジェームスキャメロンが新しいスタジオを設立するという話も持ち上がってきており、まさに先行きが見えない状況になっている。

しかしながら第一章を読むだけでも、通常のCG雑誌やWebサイトではえるのが難しいほどの質と量で海外スタジオの動向を見ることができる。
これは著者である鍋氏の姿勢であり、情報収集力の強さでもあるので、最新刊ではその質と量を保ち最新情報がぎっしりと詰め込まれているのではないかと思うので、(お金に余裕があれば)ぜひ最新刊も読んでみたいと思ってしまう。
おそらく日本語で読めて、ハリウッドのCG業界の概略を知ることができるのはこの本ぐらいではないかと思う。


「第二章、就労VISAの基礎知識」:
ここでは海外で働く為に必須のVisaについて書かれている。
実は自分は、渡米したときにはVisaといえばクレジットカードのことぐらいしか知らなかった。
要するにアメリカで働くには就労VISAが必要と言うことを知らず、学校の卒業間近に青くなったことを思い出す。
こちらのCG学校に通った(6ヶ月コース)ですが、そこで良い成績を出せば学校の求人情報の掲示板にでも貼り出された求人に応募すれば就職できるだろうと考えていたのです。
実際にはそんな甘い物ではなく、学校は求人情報の張り出しはおろか、紹介でさえしてくれませんでした。
この本には、Visaのことも詳しく書かれていて、渡米前に読んでたらくじけていたかもしれません(笑)
多彩な事例が乗っていて自分が就労VISAの条件に合うのかどうか、照らし合わせてみることが出来ます。

補足しておくと、小さい会社だと今までVisaが必要な人を採用したことがないところがあります。
そういう会社ではまずVisaの手続きについて説明しないといけないことがありますが、
ポイントをおさえて会社の負担が出来るだけ少ないことを説明する必要があります。
そういう意味では、Visa手続きについて詳しくないと説明も出来ません。
たとえば移民弁護士を見つける作業、弁護士費用、その他必要な費用は自分が負担するので、必要書類の提出だけをお願いするというのも一つの手です。
小さい会社ではこういった作業がすべて初体験ではそれを調べるだけで多くの負担になってしまうため敬遠されることもありえます。また会社の経営に影響を及ぼす可能性のあるリスクも避けたがります。
なのでそういったリスクで自分が負担できるモノは負担し、最低会社が必要なところだけをやってもらうという感じです。
こういった交渉でうまく了承を得ることが出来る可能性はないとは言えません。
Webサイトを検索すれば日本人を対象としたVisa手続きをしてくれる移民弁護士さんのサイトがいくつか見つかります。
中には詳しくその手続きを説明しているところもありますので

また移民弁護士も、事務手続き的なところもあれば、Visaがとれるように最善を尽くしてくれるところ、CG関係になれたところなどいろいろです。
大手のCG会社などは、やり手の移民弁護士を雇っており全ての手続きがスムースに進むようですが、なれていない小さな会社などでは移民弁護士はだれでも同じと考えている(というか移民弁護士がどんなモノか知らなかったりする)ことがあるので、会社だけに任せきれないところもあります。

まぁ日本から応募する人はこのような情報を必要とするようなケースはほぼ皆無だとは思いますが、アメリカの大学をでてOPTで働いた後にVisaサポートを考えているようなケースでは、もしかしたら参考になるかも知れません。

あいにく私はどの弁護士が良いかと言うことは知りませんので、こればっかりは現地で情報を集めていただくしかありません。
大手の会社に知り合いが居れば、その人が手続きしてもらった弁護士さんの連絡先を教えてもらうのも手かもしれません。
先ほど述べたように大手のCG会社ではその手続きに慣れた移民弁護士を採用していることが多いからです。

一つだけ追加しておくと、良い弁護士だからといっても、かならずうまくいくとは限りません。
Visaの取得資格がグレーゾーン(あいまい)な場合はそもそも拒否される可能性もあります。
弁護士はその成功したケースの数によってポイントが上がるようなんですが、良い評価を気にする弁護士は、確実なケースしか受けないこともあるからです。

もし自分のケースが心配なら、それと似たケースで解決した人に意見を聞くのも良いでしょう。

「グリーンカードの抽選には必ず毎年応募すること!」
それから、グリーンカードの抽選には、渡米するしないにかかわらず、将来海外で働く気が少しでもあるなら、毎年必ず応募しておいた方がよいです。
たとえ「英語が出来ないから」という理由があったとしてもです。
理由はいくつかあります。
1)海外で働く為に無条件で労働許可がもらえるのはグリーンカードだけ。
2)グリーンカードが抽選でもらえるのはアメリカだけ。
3)はずれて当然、あたればもうけもの
4)当たっても行く気がなければキャンセル可能
5)キャンセルした後もまた抽選に応募できる(再度当たる確率は低いとは思いますが)
6)サブプライム以降、応募者が減少している。

またグリーンカードは当選しても、即座に手続きを進めないともらえるとは限りません。
キャンセルする人数を考慮し、グリーンカード配布数の約二倍の人数に当選通知を出すからです。

詳しくはこちらを「アメリカ抽選永住源 当選後の手続き




第三章「ハリウッド就職のためにキャリアを磨け」
これは先ほどのVisaの取得を念頭においてどのようにキャリアを薦めていけばよいか書かれていて、自分がどのように海外での就職(CG)へむけて進んでいけばよいかを考えるために非常に参考になると思う。
ただ学校などの選択方法だけでなく、将来の就職活動にむけてどのようなジャンルを選択すればよいのかというアドバイスもされている。
自分はただがむしゃらにCGさえできれば良いと思っていましたが、今となれば的を最初から絞っておけば良かったと後悔もあります。
大きな目標は実際に達成するまでに多くの経験と努力、そして忍耐を必要とすることもありますがそれは最初から目標として絞ってあれば、今より早期に達成できたであろうからです。

デモリールの重要性についても述べられていますが、自分の採用される側、採用する側、両方からの経験からいってほとんど経歴とかよりもデモリールです。
これですべてのセンスと技量が見て取れるからです。まさに「百聞は一見にしかず」。
大手ほど、そしてすぐれた会社ほど、その人のセンスと技量を見抜く力はしっかりしているように思います。

さらに求められるスキルについても書かれています。
これはハリウッドの業界を知らない場合は、非常に為になると思います。
自分も渡米前に読めたらよかったなと思います。

なおこの書籍についての詳しい情報は下記のリンクからご覧いただけます。
ハリウッドCG業界 就職の手引き (国内版)

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