アーティスト側からは見えにくい制作者側からの裏話。
VFX Foundationのブログ「Occlude」からの記事です。
このVFX Foundation はアーティストでもありCGスーパーバイザーでもあるJoe Harkins 氏により運営されていると思われます。
Joe氏は最近、大統領をはじめとした政府にむけて「各国のVFXへの助成金がアンフェアであり、それによりアメリカの仕事が無くなっている。VFX取引組織をつくるべきだ」という署名のサインを求めて話題になりました。(現在も署名は受付中)
嘆願書のページ
IMDBのページ:Joe Harkins
この助成金の話、助成金に助けられている国、そもそもハリウッド映画の仕事が舞い込んでくることがない国では、なんのことやらと思われるかも知れません。
アメリカだけの問題じゃないの?と思われるかも知れません。
実際の所、今は対岸の火事で住んでいますが、将来的には映画制作、VFXの仕事の根幹に関わる問題かも知れません。
注:以下の翻訳は意訳であり、正確性には欠けるところがあります。
私の英語能力に限界があるので所々怪しいところがありますし、誤訳がある可能性もあることをご了承下さい。
(訂正:Feb/25/2012)
(訂正:Feb/25/2012)
Subsidize Me (私に助成金の支給を)
(注:上記タイトルには原文の掲載されているOccludeへのリンクを張ってありますが現在アクセス不可になっているようです。
VFX Foundationのサイトにはアクセスできるようですがツイッターアカウントも消されています。
何が起きているのかわかりませんが、ここ数日で何らかのトラブルがあったのかも知れません。
復帰したときのためにリンクURLはそのままにしておきます。)
VFX Soldierのサイトに「VFXの助成金がどのようにスタジオにながれていくか」というおもしろい投稿があります。
これにスタジオ・サイドから見た私の意見を追加してみたいと思います。
実際に、そこに書かれている通りで、我々は助成金を得ていますが、違う面もあります。
そのお金はプロデューサーやスタジオには入りません。
では、どのようにそれが機能しているかを説明しましょう。
プロデューサーはある映画をスタジオに売る前に、それに関する取引、予算、時間配分、などをまとめます。
提案される予算は、スタジオからグリーンライト(Goサイン)をもらうための物で、それはスタジオにより上限が決められ(原文:which is capped by the studio)ます。
例えば、スタジオは「あなたが70億円で提案している巨大ロボットの映画ですが、50億円でなんとかなりませんか?」などと言ってきます。
プロデューサーはなんとか方法を見つけだすと、スタジオに戻り「50億でなんとかしましょう」と言います。
それでスタジオはその撮影と全てのシステムがOKであるとグリーンライトをつけます(Goサインを出します)。もちろんこれほど容易な事ではありませんが、概略はわかると思います。
ではプロデューサーはどうやってその映画制作を50億円で可能にしたのでしょうか?
そこが各政府による助成制度が関係してくるところです。
この巨大ロボット映画は60億円では作れないでしょう、当然50億円じゃ不可能です。
でも25%の助成金があれば、そのプロデューサーはその映画を作るのに70億円を使えるようになるのです。なぜなら最終的にはそのお金がスタジオに戻ってくるからです。
スタジオの支払いは彼らが最初に望んだ通り、正味50億円にとどまっています。
70億の危険は減り、リスクも減ります。
20億はどこへ行ったのでしょうか?
それは実際のところ、その映画に関連する全ての人達、労働者、土地、アーティストの懐へ入ったのです。
その助成金が適用された場所で費やされたのです。
該当地域の収入となり、普段は何もないところに映画の仕事ができ、人々が生活できるようになるのです。
では政府は、ここからどのような利益を得るのでしょうか?
政府は通常、これを「税金控除」という形態で行い、現地の企業は通常よりも少ない税金ですむのです。
これが意味するところはその25%の助成金は、税収入に換算して交付する政府の懐から来ています。
州自体は実際にお金を費やしているのではなく、消費を少なくしているのです。
もちろんこれは別の方法で経済に影響します、公共サービスに必要なお金を減らしたりそれと似たような事です。
最終的には、その経済地域でより多くのお金が費やされ、より多くの税金が支払われ、それゆえに短期でプラスの経済効果が得られるのです。
VFX業界においても変わりありません。
助成金をうける資格をもつ現地のVFXスタジオにお金は流れます、それはそのVFXスタジオが全額受け取る事を意味します。
もしスタジオが$7.50を費やすとしても、25%の払い戻しを受けます。
VFXスタジオは$10分の作業に$10を支払ってもらう事が出来ます。
VFXスタジオは$8や$9分の仕事に$10を払ってもらうのが理想的ですが、これは現在の入札モデルでは起こりえません。
会社は仕事を得る為により安い値をつけ、いくつかのケースでは仕事を得続ける為に損失を受け入れる事もあるほどです。
さて助成金は悪い事でしょうか?
もしあなたが継続的な仕事を望むルイジアナのカメラオペレーターなら違うでしょう、しかしあなたがロサンゼルスのカメラオペレーターならどうなるのでしょう?
荷物をまとめて引っ越しをする....助成金があるところへ移り続けるのがあなたの新しいライフスタイルです。
これはもし助成金が適用される場所が、低賃金でそれに従いあなたの給料が下がるということがなければさほど問題ではないでしょう。
そうなんです、引っ越ししてどこかで1年ほど仕事をし、前よりも少ない給料を受け取るのです。
しかしあなたは雇用され、そこで生活できるのです。
でも、それが終わったらあなたは次の仕事を見つけなくてはなりません。
次の仕事で、「最後の仕事でいくらもらっていたか」を聞かれたらどうしますか? なかなか悩むところです。
いくつかの場所での労働法は、カリフォルニアに居る時ほどにはよくないということを言うつもりはありません。
確実なのは助成金はスタジオへ行くという事です、しかしそれが疲弊した人々のところへ行くというわけでもありません。
スタジオは70億円の巨大ロボット映画を50億ドルで作れる、ただそれだけです。
1年後、別の巨大ロボット映画のプロデューサーが、隣のスタジオに彼のアイデアを売り込みにいったとします....。
スタジオ:「なるほど。でもちょっと待ってください。それに70億ドル出す訳には行きません。通りの向かい側にいる男は巨大ロボットアクション映画を50億ドルで作りましたからね。我々は45億ドルしか出せませんね。」
プロデューサー:「大丈夫、我々はモントリオールで作成しますから」
スタジオ:「すばらしい!決まりです!」
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VFX SOLDIERからの追加コメント部分
ここに欠けている大きな点はVFXの施設もまた「引っ越し」しなくては行けないという点です。
そしてスタジオのヘッドを雇い、リクルートし、設備を借り、コンピュータを購入しなくてはなりません。
引っ越しを打診されるVFXアーティストとスーパーバイザーは引っ越し、ホテル代、渡航費用、税金などのコストをカバーするだけの昇給を求めます。
グリーン・ランタンはおそらくすべてニューメキシコで作られた用にみえますが、
その仕事はカルバーシティーで仕上げられ、WBは25%の助成金をえるために、そのプロジェクトに9億円を余分に支払わなくてはなりませんでした。
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