パーティーの後で映画を見たのではなく、パーティー会場が映画館。
PasadenaにあるGold Class Cinemaという映画館で、40人程度が入れる少し小さめの映写室がいくつかあり、貸し切りに出来る。
そしてロビーはセミプライベートな空間になっておりバーがあり、飲み物を頼むことが出来る。
映画館の中はこんな感じ。
グループでなくても個人でチケットは買えるようなので個人でも見れるようである。
その場合、チケット代は$29
映画代が10ドルもしない(最近は$10以上?)LAではかなり強気な値段設定であるが、シートは電動のリクライニングシートでフットレストが背もたれが後ろに倒れるにしたがって、下からフットレストがせり出てくる。
ふかふかのシートで、疲れているときに行くと爆睡間違い無しである。
まぁこんな映画館があるとは思っていなかったので良い体験になった。
さて肝心の映画のほうは、見てない人も居るので、あまり深くは書かないがネガティブな感想、印象はないとかなり控えめに書いておく。
普段は映画関係の本はほとんど買わないが、帰ってすぐにサイン入りThe Art of Tron:Legacyを注文し、iPhon用のゲームも買ってしまいました。
さて、以下は感想というか自分の感じたことのメモ。
いつもながらに独断と偏見ですので注意して下さい。
ネタバレはないとは思いますが、映画を見ていない人は、映画を見た後に読むことを強くお勧めします。
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第一作のトロンは1982年の公開で、それから28年が経過しての続編である。
スタイリッシュな映像、デティールが磨き込まれたCG等、予告編を見るだけでも引き込まれる物である。
28年前に、最初のトロンを映画館のはスターウォーズEp4の4年後である。
その当時としては、最先端のCG映像が展開された。
フルCGということで期待して見に行き、当時としては見たこともない映像が展開されて興味深かったが、今ひとつ世界には没頭できなかった。
その理由の一つがCGが実写部分となじみきっていなかったことがある。
白黒な実写部分がさらに不満であった。
またCGのデティールが足りないために、アイデアもデザインもよいのだが、フルCGシーンになったとたんスケール感が無くなってしまう。
スターウォーズのスーパー・デティールのリアル感に身も心もとらわれていた当時は、デティールが少ないトロンのCGには不満を感じた。
そして今回のトロンレガシーだが、それらの問題はすべて消され、すばらしいコンピューター世界が広がっていた。
映画では、主人公のサムがゲーム世界へと引き込まれた後、様々なコンピューター世界が展開していく。
それを見ていて感じたのは「この世界へ戻ってきたと」という感覚である。
まったく一新された映像なのに自分が「戻ってきた」という感覚を持つことに驚いた。
たしかにこの世界に以前、入ったことがあるのだ。
間違っていることを承知で言えば、28年前にシドミード(とメビウスそしてPeter Lloydなど )が作り出したコンピューター世界のコンセプトは、当時の未熟な技術をもってしても自分を、その世界へと引き込んでいたことを今になって実感した。
シド・ミードのデザイン
メビウスのデザイン
Peter Lloyd のデザイン
(参照サイト1)
(参照サイト2:Tronsector)
当時のCGや映像で表現しきれなかった部分は、きちんと自分の中で補完されていたのかもしれない。
コンセプトの大切さを実感するとともに、シドミードの心の中にあった概念が、すでに映画という非言語的言語を媒体として、自分の心の中に転送され、彼の概念が自分の心の中に再構築されていたのだと思った。
今回の映画により、細部に至るデティールが追求され、おそらくシドミードらの概念が、現実の物となったのかもしれない。
しかし28年前の映画で、彼の概念はすでに自分の心に届いていた。
たとえ映像が未熟でもコンセプトがしっかりしていれば、それは自分の中で補完され、世界観は通じている。
これは自分にとって大きな発見で、映画を見ている中、感動で涙がでそうになるほどだった。
もちろん、それにはライトサイクルやあの鳥居のような形の空飛ぶ飛行物体などの基本デザインが同じであることにも関係している。
そして細かな演出や、コンピュータ世界へ入ってくるときの演出もそれをさらに影響していると思う。
(まぁ、そもそもシドミード達が、ここまでのデティールを想定していたかというとわからないが)
トロンレガシーでは、いろいろな乗り物はほとんどすべて、シドミードの基本デザインを踏襲しており、よくぞここまでオリジナルのコンセプトを生かすことができたなと驚いた。
それにオリジナルの飛行機や、自動車まで拡張しているのも非常に楽しい要素となっていた。
今回のデザイナーはシドミードの再来とも言われるDaniel Simonである(氏のブログ)が、同じカーデザイナー出身であるしいか、ツボは心得ており、単なるリメイクにとどまらず、元の基本デザインを生かしたまま独自の進化をとげているのはすばらしい。
Danielが映画界に参加することによって、1980年代の映画コンセプトの熱かった時代が再来しそうである。
ちょうどSydMeadが映画に参加していた時代がそうであった。
かれの存在がなければ自分も工業デザインには興味を持たなかったかも知れない。
Syd Mead - Visual Futurism
余談だがSydMeadのコンセプトアートは、昔日立から発売されていたパソコンのCMに使われていた事がある。
実はこのイラスト、 今回のトロンに出演しているDaft-Pankが出てくる画面に似ている気がするが、意図的なオマージュなのか、気のせいか...。
The Art of Syd Mead
今回の監督もスタンフォード大学工学部機械工学デザイン科を卒業後、コロンビア大学建築大学院修士課程修了という履歴を持つ。(参照:Wikipedia)
そのためか、細部に至るまでのデティールの追求、未来的なデザインの中にも現実感を残すの力量はすばらしい。
コンセプトデザイナーのDaniel氏の描く世界と完全にマッチしており隅々までに、配慮が行き届いており安心して世界に浸ることが出来た。
すべてのカットの画面構成がすばらしく、どれをとってもコンセプトアートそのものという印象をうけた。(現時点でこの映画のコンセプトアート全てを見たわけではないです)
映画制作者は2次元のフレーム内での構成にはこだわりがある、しかし建築家やカーデザイナーは空間の中でのボリュームと構成にこだわりがある。
他の映画とはまた違った、コンセプトからうまれた映画ではないかと思う。
映画のエフェクトもすばらしかったのは言うまでもありません。
一つだけ気に掛かったことがありますが、それはそのうち話題に上ると思うのであえて言うことは避けます。
そしてタイトルの「レガシー」の意味もわかった。
設定も、進化の過程も無理がなく、すべてがスムースに前作とつながっていおり、28年の差を感じさせつつも、コンセプトが一貫しているというすばらしい作品だと思いました。
映画の最後には、親しい友人の名前がクレジットされていたのをしっかり確認することが出来た。
最初のトロンを同じように映画館でみた世代であり、今回のリメイクに関わることができて彼も感慨深いだろう。
僕もみてきました。
返信削除感想は、あの昔と変わらずかつ、うまく統一された世界観にもう、どっぷりはまってきました。特に乗り物系のデザインにうっとりしながらw
グリッドのところなどはもうどっぷりでした。
starwars もこのtronも今でやっと表現力が追いついたと思うと、人間の想像力というのは、凄いものだなぁと実感しながら、余韻に浸る今宵です。。
こんにちは。
返信削除本当、今になってやっと表現力が追いついた感じですね。