日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2013年2月23日土曜日

VFXオスカー・デモンストレーション

 明日、2013年2月23日(日曜日)、VFX業界初のデモンストレーションが行われます。(詳細はこちら


このエントリは、より多くの日本人の方、そして業界関係者だけでもなく一般の方にその意味を少しでも理解していただくために、若干説明をしておきたいと思い書きました。
広く広めて頂ければ幸いです。



そのデモンストレーション「Piece of the Pi Protest」を呼びかける、Faebookのサイトで使われて居るのが下記のバナー(?)です。


 ここに書かれていることを訳してみました。(誤訳があったらすみません)
 ライフオブパイ(Fox)、スノーホワイト(ユニバーサル)を合わせた全世界総収益、約10億ドル。
リチャードパーカー(虎)に生命を与え、アカデミー賞にノミネートされたこれら二つの視覚効果の大部分を作ったリズム&ヒューズ社は、最近破産申請をしたところです。

これらのエフェクトを作るために夜も休日も働いた多くのアーティストは仕事を失い、Foxとユニバーサルの配給する新しい大作映画のために働いた数週間の給料(残業と休日出勤代を含む)は未払いのままです。

改善の時がおとずれました。

**25周年記念のR&Hのマーク


 このバナーに使われて居る虎の写真は今年のアカデミー候補でもある「ライフオブパイ」にでてくるリチャードパーカーという虎です。
映画の1シーンで、獰猛な虎が弱り切って 主人公のパイがアタマを持って膝に載せてもされるがままとう状態で涙を誘うシーンでもあります。
そして弱体化し破産したR&Hのイメージがかぶります。




一般の方のためにもう少しわかりやすく説明します。

 明日、2013年2月23日(日曜日、この日はハリウッドのコダックシアターで恒例のアカデミー賞受賞式が開かれます。コダックシアター周辺の道路は閉鎖され、入り口にはセレブが入場するための赤絨毯がひかれ報道陣に埋め尽くされます。

華々しいこの受賞式は多くの監督や俳優達に与えられる賞だけでなく、視覚効果(VisualEffects)に関連する賞も授与されます。

  ここで、一般の方にわかりやすく説明すると、「視覚効果」とは英語で「Visual Effects(ビジュアルエフェクツ)」、省略形で「VFX(ブイ・エフ・エックス)」という言葉が使われるのが一般的です。
最近ではコンピュータを使って映像を作るのでCG (コンピュータ・グラフィックスの省略形)という言葉が、ほぼ同意で使われることもあります。
以下文中では「VFX」 を使います。

昔はVFXが使われるのも、実際には撮影不可能なものを作ることがメインでしたが、最近では様々な面で使われ、VFXなしには映画を作ることは出来ません。
大きなセットを作る代わりにVFXで建物や環境を作ってしまうこともあり、映像からはどこがVFXなのか、素人からするとなぜそんなところをVFXでやる必要があるのかわからないようなものまでコンピュータで作られています。
それほど映画制作にはなくてはならないものであり、そして最近の巨大ロボットや宇宙船、宇宙人やら怪物がでてくる驚くべき映像は映画の興行収益さえ左右する物です。
 
 このVFXは映像では1秒ほどでも、その映像を創り上げるためには多くの人の手を必要とし、多くのコンピュータでの作業が必要です。
数秒の映像でも数人から数十人が数週間かかりっきりになるのです。
それを1.5~2.5時間の映像分つくるとなれば、ちょっと考えただけでも多くの人が必要とされることはわかると思います。


 さて、今年の視覚効果関連の賞は、ライフオブパイ、スノーホワイトがノミネートされて話題になっています。

この二つの映画の、VFXはある一つの会社が作成しました。
それがリズム&ヒューズと呼ばれるVFX会社です(以下「R&H」 )
昨年、生誕25周年だった、この業界でも老舗の大プロダクションです。

そのR&Hが、今回のアカデミー賞の受賞式を待たずして、倒産してしまいました。
詳しい説明はここでは省略して簡単に説明すると、大金が流れる映画制作業界も、VFXでは、
その大半が人件費などで右から左へ流れていく状況で、会社を維持するのが難しくなってきているのです。(詳しくは以前のエントリをご覧下さい。「VFX事業はなぜ儲からないのか?」)
多くの収益があがった映画でも、それに対して多大な役割をしたはずなのに、そのおこぼれには預かれず売上のほんの一部で救われるほどの金額も得られず倒産してしまう。
それが現状です。


  R&Hだけでなく2012年には、これも大手プロダクションのデジタルドメインが倒産しています。


こういった苦しい状況を改善すべく、何らかの活動をすべきではないかという意見は数年前からでており、多くの議論が交わされました。
ただ議論が交わされるものの、なにも目立った行動はありませんでした。


しかし今年は違うようです。

R&Hの倒産をうけ、おいつめられた多くのVFX関係者が団結して、今回のアカデミー賞会場近くでデモンストレーションを 行う予定です。


2013年2月23日(日曜日) 1-4:30pm Hollywood Blvd & Vine St.
その他にも3:39-4:30pmの間は 上空をメッセージの書かれた段幕を引っぱって飛行機が旋回する予定です。(詳細はこちら
メッセージはこちら: BOXOFFICE + BANKRUPT = VISUAL EFFECTS VFXUNION.COM
 (チケット総売上+ 倒産 = ビジュアルエフェクツ vfxunion.com)


ロサンゼルスでここまでVFXの仕事がなくなったのも、このように抗議活動をするのもVFX業界始まって以来のことだと思います。
ちなみに組合で守られている多くの映画業界の職種の中で唯一、組合がないのもVFX業界です。
 今のロサンゼルスのVFX業界は、その組合ができる前に滅んでしまいそうなほどの状況です。



個人的には今回のデモは、今までこの問題は知らなかった人に知らしめるということ以上の効果があるとは思いませんが、それは必要な事だとも思います。












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