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2010年7月13日火曜日

VFX補助金戦争は、国際間の戦いに発展

先日から翻訳している記事以外に、急遽翻訳したい記事がふたつあり、そのうちの一つをまず翻訳しました。

まず一つは、今回のエントリで訳したもの。
カリフォルニアのVFX業界に打撃を与えている各国の助成金活動について、経済面からの考えをまとめたものです。
映画の都ハリウッドを抱えるカリフォルニア州は助成金に乗り出しておらず、仕事がどんどん外へ出て行っています。
はなぜか?
その答えがあります。

もう一つのニュースは、この写真の人が関係しています。
 ヒントを一つあげましょう。
彼の名前はAlex。

彼の勤務先はこの業界人とCG学生の間では、超有名、知らない人はいないでしょう。
「G」の字で有名です。
困ったときに、ここのプロダクトのお世話になった人もいるでしょう。

その彼の勤務先で活気的な試みがなされます。
自分がCGを学ぶ学生だったら迷うことなく、この選択をするでしょう。
ただ、Visaの関係などがあるので、アメリカ人以外にどこまで有効かはわかりませんが、それでもかなりかなり魅力的です。
狙い通りに、うまくいけばこの業界に入ろうとする人にとっては、救世主的存在になるかも。
明日には翻訳したいと思っていますのでお楽しみに。
たぶん知っている人はすでに知っている。
まだTwitterでも流れてませんが、明日には話題になりそうです。




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では翻訳です。

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VFXの補助金戦争は、国際間の戦いに発展
VFX Subsidy War Grows Into Global Trade War @VFX Soldier


VFXとゲーム業界の補助金に関するニュースがいくつかあります。
基本的に、補助金戦争は、国際間の戦いに徐々に変化しつつあります。
(写真は、デジタル・ドメイン バンクーバー支部長「Troy Brooks」氏)


カナダがVFXハウスに対して強硬な姿勢にでる。
デジタル・ドメイン、イメージワークスのようなVFX会社がバンクーバーに支部を開くための作業をすべて終えた後、
今は、カナダ政府が、VFX/ゲームの仕事に関する外国人へのVisa発給を完全に見直すことに時間を費やそうとしていることに非常に憤慨しています。

本当に泣き所となるのは、ディズニーのようなスタジオがバンクーバーに支部をオープンするために、いかに腕組みをして取り組んできたかと言うことです。
スタジオは、利息がいらない政府資金を切望し、おそろしいほどに最高で申し分のないカナダの映画補助金を利用しようとしました。

この計画を機能させるためには、才能ある人々が必要です。
我が友、カナダ人のVFXアーティスは、おそらく聞いたことがないかもしれませんが、バンクーバーの仕事の募集はほとんどがカリフォルニアで行われます。
かれらは、うまくいくようにするためには、我々をつれていかなくてはいけないのです。
いったんプロジェクトが終わったら、我々の多くはカリフォルニアでお金を使うために返らなくていけません。
これはおそらく、カリフォルニア州が、補助金戦争に参加するのを非常にためらっている理由の一つでしょう。

ささいなVFXの施設ではなく、カナダ政府がエサに使ったお金が自分達にもどってくるための保証をもとめています。
どんな地位でもカナダ人によって埋められ、それらの会社からカナダにお金が支払われるようにするため、時間を費やしています。

彼らは長い間補助金を提供し、大きなスタジオが移転をほのめかしても、その度にもっと良い補助金の提供をしてきました。


会社のグループはカナダ人のパスポートに関する離れ業が横行するイギリスのゲーム業界にうんざりしている。
イギリス政府は、大きな赤字を避けるために緊縮を強制されました。
私が以前、「最初の犠牲者はイギリスのゲーム業界の補助金受領者である」と予測しました。
その理由は貿易のイベントで、多数国間ビジネスのグループは、作り物のカナダ人パスポートを「なぜカナダなのか?」という情報と一緒に配っていたからです。それは30%の補助金の提供です。
ゲーム会社にとっては、良い選択肢です。
イギリスのゲーム開発者は、それに関してはそれほどよく思っていませんでした。



中国、保護貿易主義にさらに深く入り込む。
Hulett-zer氏は「貿易戦争の中国最前線」で、以下のようにかいています
「中国が、海外アニメを大量に輸入することには難色を示す理由は、国内のアニメーション業界の妨げになるからです。」

今週、我々が巨大な貿易戦争の待っただ中にいることを認識しました。
インテルのCEO、アンディー・グローブ氏は、戦うためにアメリカ人向けの戦略を公開しました。
ロバート ライシュ元合衆国労働長官は、これまでの軌跡を紹介し、なぜこれが大きいのかを読者に紹介しました。


ピータージャクソンはWetaデジタルに障害を負わせたか?
ピータージャクソンは、最近ニュージーランド映画協会にリビューをだしました。
イギリスの映画協会がやんわりとした見解なのに対して、それはあけすけな本音を語っています。
私は以下のような、レポートを読んでショックを受けました。

ニュージーランドに持ち込まれる非常に大きな映画は、通常、経済的理由よりも、品質と製作の理由のためであると結論づけられた
2005年のLBSPG評価の財務報告書。

LBSPG: Large Budget Screen Production Grant
ニュージーランドの大型予算映画製作助成金のこと。
詳細はJ-Pitchのこちらのページ


これは事実に反する。
LBSPG無しでは、ユニバーサルは瞬く間にキングコングをカナダに持って行ってしまうでしょう。
この国には、ユニバーサルユニーバーサルが予制作奨励金なしで、映画の製作をおこなう理由はありません。


ジャクソン氏は、そのすばらしい仕事に対して、数々のオスカーと栄誉をWetaデジタルが受け取った後に、
大手スタジオは助成金無しでは、それはあり得なかったと真剣に考えているのでしょうか?
すごいですね。
Wetaのみなさんありがとう。
これは平手打ちです。
この報告書は、ニュージーランドの助成金はいかに対に金を失うかに触れていますが、基本的にこの国の市民の名誉であると言うことに置き換えて正当化しています。


この委員会の31年にわたる全てのデータにアクセスすることはできませんので、
1993-2006の間のデータをみると、その時期の58の映画に対する出資に対して、20%以下しか取り戻せていません。
ドルに換算すると6620万ドルの出資に対して、1290万ドル市価取り戻せていないことになります。



国際化とVFX
Scott Squires氏は、国際化に関する投稿のなかで、以下のように述べています)

不幸にも助成金から最も損失(または利益)をうけた場所はカリフォルニアです。
それは少なすぎ、そして遅すぎました。
カリフォルニア(特に南カリフォルニア)への大きな収入の流れは映画により生まれます。
多くの人がこのビジネスで雇用され、そして、彼らは、自分達の地域でサービスや製品にたいして、お金を費やすために戻ります。

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VFXアーティストが経験してい状態は悲しい物です。
全てのクリエイティブで技術的なスキルは、季節労働者が仕事があるところへ移動するのに似ています。
けっこくの所、労働者が動く本当の理由は、その値に収穫があり、成長の季節があるからです。
VFXアーティストの場合は、小部屋です。
世界のどこにあるかは関係ありません。
移動するたった一つの理由は、たんにその国の助成金とスタジオの思いつきです。




私の助成金を反対する理由の一つは、スタジオがいくらかのお金を得るためだけに、VFXアーティストとその家族はいろいろなところへ引き回されるからです。
もし助成金受領者が、存在しなければ、VFXの仕事はVFXアーティストが住みたいと思っている主要な地域に行くことになります。

私はプロのカリフォルニア人でいることを訴えます。
私はここにすんでいますが、カリフォルニアのVFXマーケットを支えている本当の理由は、助成金無しでVFX市場が存在している唯一の場所であり、それ故にバランスのとれた最小価格(Artificial price)になっているからです。


カリフォルニアのVFXジョブのマーケットは打撃を受けたのでしょうか?
「Yes」そして、この助成金戦争によって多くのアーティストが打ち負かされるのは、見るに耐えません。
しかし最も重要なことは我々には規律(自制)が必要だということです。
イギリス、カナダ、オーストラリア、そしてニュージーランドは仕事を得るために殺し合いをしています。
取引戦争で、誰も勝つことはありませんが、カリフォルニアは間接的に利益を得ます。

大きなスタジオは、カリフォルニアにとどまり、海外助成金から大きなもうけを上げようとしています。
これは、より多くの税収を引き入れ、州議会はそれを知っています。
彼らは映画の助成金から学び、それが損失のための戦いであることを知っているのです。
短期で見ると苦痛ですが、長期で見たときには、この期間がいかに馬鹿げた時期であったかを、後で思い出すことになることに私は確信があります。

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以上、翻訳終わり

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カリフォルニア州がこの事態に対して傍観を決め込んでいる理由がはっきりした。
これはまさに肉を切らせて骨を断つというような戦略かもしれない。
この大不況においては、最終的にお金を呼び込んだ物の価値。
そのあたりの読みがあってのことだったとは。
(基本的には、著者の推測ですがほぼ間違いないと思います。)

また、各国の抱える問題や、それらに勝ち目がないことなど、いろいろな事実がわかりました。
これらのことを考えると、楽観視はできなくても、多少は望みが残ります。

2 件のコメント:

  1. >イギリス、カナダ、オーストラリア、そしてニュージーランドは仕事を得るために殺し合いをしています。

    なんか心に響く事実のような気がします。。。
    なんだかどんどん将来が不安になっていくような。。。

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  2. たぶん、いつかは落ち着くと思うんですが、それがインドや中国などの賃金が安いところに取られて落ち着くのか?それとも助成金を出しているところが、金回りが悪くなくなって再びカリフォルニアに戻ってくるのか?
    まだまだ不透明ですね。

    そういえばお子さんもうすぐですね~。
    自分が立ち会いしたときは、明け方まで待ったので、
    ビタミン剤と、プロテインを小袋に入れて持って行きましたw
    体力勝負ですからね。
    生まれてくる瞬間をビデオに撮るかどうか迷いましたが、結局とりませんでした。
    なんかリアルすぎるのでw

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