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2011年2月14日月曜日

アメリカのカスタマー・サポートの質の悪さ

「アメリカのカスタマーサポートは質が悪い」というのは日本人にとっては、いわば常識である。
このブログでもたびたび、不満をのべてきているのでご存じの方も居ると思う。
特に英語を苦手とする日本人にとっては、アメリカのカスタマーサポートに電話するのは一大イベントにもなることが多い。

英語が苦手なこともさることながら、対応の悪さ、遅さ、対応の間違いに閉口させられるので出来る限りさけたいのが本音だからだろう。

自分が一番接触することが多かったのは、電話会社のベライゾン(Verizon)だが、
ベライゾンの広告などで「顧客満足度ナンバー1」と言っているのを見ると、ベライゾンの質がよいのではなく、他の会社がもっと悪いのだろうと思うし。
we never stop working for you」というコピーをみると、本当のところ「stop」は不要「we never working for you」だろうなどと皮肉を考えてしまうほどだ。


まぁ冷静に考えてみれば、(勝手な推測だが)ベライゾンはカスタマーサポートのデータベース化に力を入れているのは電話越しの対応で感じる事がある。
電話越しで、それが感じられること自体良くないのだが(笑)、まぁそのあたりは(おそらく)入れ替わりの激しい契約社員に教育を入れるよりもシステムをより、使いやすくしたほうが手っ取り早いし質もかわらない。

しかし、それらはヘルプをみることができないような顧客には役に立つが、ヘルプを自分で見れるようなレベルになると、あまり役に立たない。
実際、それらの事例の一般的な物は、サイトでも見れるようにしてあると思う。
(あまりにも特殊な事例は、載せてないと思う)


電話での対応はイライラさせられるので、最近はメールで問い合わせをすることが増えたが、返事に3~4日かかるのはざら。場合によっては返事が来ないこともある(大体は対応するのが嫌な物がスルーされて浮いている状態だと思う)。
質問を箇条書きにわかりやすく書いていても、返事は一つの質問にしか帰ってこなかったりするのはあたりまえ。
メールでも一筋縄ではいかないのがアメリカのサポート。


いままでの自分の経験として、
一番良い対応をしてくれたのはApple。
普段Appleに良い意見を述べないこのブログだが、サポートだけは日本なみに良かった。
たまたま良いだけかも知れないし、事例が一番多い事例だったのもあるかもしれない。
しかし少なくとも対応してくれた人が機械的ではなく、余裕が感じられた。

Pogoplugのサポートはまぁまぁだった。
こちらはe-mailによる物だったが、最初は丁寧に対応してくれた。
忙しくなったのか、徐々に忘れられることが多くなってきたのは残念。
完全に製品に対する対応がされたという意味ではなく、サポートする社員の対応がまぁまぁよかったということだ。
少なくとも問題解決のために、なんとかするためにエンジニアとコミュニケーションを取っていることは感じられた。要するに誠意が感じられた。


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ここで少し日本のカスタマーサポートの裏話
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カスタマーサポートで入ったばかりの時は、
「決まり文句」を習い、「データベースの使い方」を習い、実戦投入される。
自分でどうしようも処理できなくなったときは、より経験を積んだシニアに振ることになっている。
大体、融通がきかない機械的な対応しかできないオペレーターはこんな段階である。
だいたいこのようなオペレーターが一番数が多く、機械的な対応をしてくるオペレーターは基本こんな感じである。


その中でデータベースの内容と現実にうける問い合わせの違いをいかに処理していくかをみにつけていくわけだが、早ければ1年、一般的に数年経験を積むと通常の事例は処理できるようになってくる。
顧客の心理をくみ取ることが出来るようになり、顧客の発言にあわせて柔軟な対応ができるようになってくるのもこの段階である。(人にもよるが)
電話口で対応をしながら手元のコンピュータから事例を検索するのもうまくなり、データベースがしっかりしていれば対応もよくなる。


さらに年期がはいってくると、顧客の対応をすばやく処理できるようになるし、人によっては寄りテクニカルな内容も処理できるようになってきて、スムースに処理が行えるようになってくる。
このあたりのカスタマーサポートに当たると、ありきたりの機械的対応で済まされることはすくなくなり、よほどのことがない限りは問題が解決するか納得のいく答えがもらえることは多い。




理想的な対応は
たえず顧客のことを気にかけており、顧客自身が自分が感情的になっている事を感じることなく、スムースに問題解決に向かっていける対応である。
これは顧客への心への対応ノウハウとテクニカルなノウハウの両方を必要とする。


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さて、悪感情をむき出しにした顧客の大半は、一時的なもので自分の使っている製品が説明されたようにうまく動作しないことでストレスを感じて生じた感情に流されているだけなので、誠意ある対応で処理できる。。

しかしながら数%程度,ごく少数だが必ずしもそれに当てはまらない、悪意をもった顧客も居る。
サポートをかき回すことを意図している人が居る。
しかも繰り返し電話してくる。
どこのサポートセンターにもそんな顧客が1人か2人はいる。
これは結構みきわめが難しいのだが、大体サポートセンターでも有名人となっていることが多いと思う。


しかし、顧客心理をくみ取ることを苦手とする社員(サポーター)は、経験者にも居るものでそういう人達はテクニカルな面のサポートはできても、感情面に対しては機械的な対応になりがちである。
そういう社員はさらに人に対してのコミュニケーションを苦手とする部分もあるので逃げに陥りがち。

いったん逃げ腰であることをこういった顧客に察知されると余計に感情を刺激することになる。
また、先の悪感情に一時的に流されて電話してきている顧客を、この悪意を持った顧客と勘違いするケースも多々あり、そうなると対応がぎくしゃくし、両者間に誤解を生み、話がこじれることも多い。
こういった泥沼化したケースになると、さらに上層部であるリーダー格の人に話が振られることになる。


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さて、日本のカスタマーサービスは比較的良い方だが
新製品の立ち上げ時には
1)事例が少なすぎる
2)表に出せない欠陥が、あり画一的なな対応を上から指示される
3)新しい部署として確立するため、新しい人が多い。
4)当然ながら経験者をバックアップ要因として入れており、その人数も通常のサポートよりは増やしているのだが、それでも問い合わせ件数が多すぎて対応しきれない。

たとえばサポートに40人居たとしても、苦情が多い時は、一時間に200件などざらである。
それに上記のようなことが重なったとする。
いくら上手な社員が対応に当たったとしても、こみいったものは処理に5分かかることはよくある。
多少込み入ったことになると20分以上かかることもある。

それに新しい社員の機械的な対応で、感情的になる顧客が増加するのでもっと話はややこしくなる。
これに対して上層部が、きちんとした対応が出来るようになるには1~2日要する。

これは想像だが、近年では新しサービスが次々立ち上がってきており、それぞれの会社がサポートチームを構成しているので、より経験者は必要とされているにもかかわらず不足しているというのが現状であろう。

それをかくしてサポートの良さを謳う、企業が残念ながら一般的で、現場とマネージメントの温度差を感じてしまう。


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さて話をアメリカのカスタマーサポートに戻そう。
以上のサポートセンターの社員の構造は日本のある会社で経験したことであり、おそらくどこもそんな感じだろうとは思うがアメリカでは多少事情が違うようだ。
国民性もあるのだろうが、概して態度が悪いことも多い。


この背景としてアメリカ人は自分に決められた以上の仕事はしたがらない。
給料が安いと特に、言われたこと以上のことはやりたがらない。
(それ以上は別に給料をもらわないとやらない)

というのを聞いたことがある。
なるほどなぁとは思う物の、もうちょっと納得のいく説明がほしいなと思っていた。


そして、その説明が先日ある方のツイッターで垣間見れた。

シリコンバレーで活躍されているエンジニア、上杉周作さんのつぶやきで内容をそのまま下にコピペしてみた。

@chibicode
アメリカのカスタマーサービスが悪いのは、顧客も従業員も多様な環境で育ったため、向上しようにも
1.従業員の教育にコストがかかりすぎるのと
2.(カスタマーサービスが当然でない環境で育った)顧客の満足度がそれほど上がらないから。
費用対効果だけの話なのでアメリカ人の人間性に問題はない




これみて、なるほどな~と思った。
個人的に「アメリカ人の人間性に問題はない」というのは、「アメリカ人の人間性に問題がある」というのと同じくらい一般論すぎる印象はある。
しかし、たしかに一般的なアメリカ人といえども教育に力を入れ、仕事としてきちんとやれば、今よりは出来るようになると思う。


「顧客満足度があがらない」というのは意外だった。
そうなのか? なんとなく疑問はのこる。
アメリカ人でもサポートの悪さに不平たらたらの人は数多くいるし見てきた。
対応がよければ褒め称える人も居る。
アンケートの集計に集まらなかっただけではないかという気もするし、それでも顧客満足度が上がるのは限られているのだろうか。


まぁ、このあたりはツイッターのつぶやき程度では、全ての説明がされているわけではないので自分の取り違えている部分があると思う。


一番納得できたのは、「多様な環境」「費用対効果」の部分
確かに、人種的バックグラウンドが多様すぎるので、これは納得できる。


日本人はとっつきにくいが、以外と本音を言い合う。
アメリカ人はとっつきやすいが、本当に心を分かち合うのは難しいという話も聞く。
そのような国民性も影響しているのだろうか。

まだこのサポートにまつわる疑問が晴れるまでには、まだ時間がかかりそうだ。


この上杉さんのつぶやきは、多岐にわたり、そして内容も濃く、自分にとっては最近のベスト・ツイッターである。
是非ご存じない方がいたら、一度フォローしてみることをお勧めする。

2 件のコメント:

  1. ベライゾンカスタマーサービスに連絡して問題を解決するまでに6時間半かかりました。

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  2. お疲れ様です。簡単な事でも大変ですよね。

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