日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2009年7月16日木曜日

5%の人たち

 
前回、「一生涯の仕事にしたいと思っている人は、おそらく全体の20%程度ではないかと思っている。」と書いたが正直なところ、「5%」ぐらいだと思っている。

ただ「思う」というのは、普通に「考える」とか「漠然と思っている」というのではない。
前向きで、希望に満ち、喜々としてその仕事を、天職として自分の意思で選択しているという前提がある。

楽しいからだけでなく、思い込みや、やみくもにそう意気込んでいるということでもなく、それしかすることがないからというわけでもない。
仕事の本質を正しく見いだした上で、その道が自分の進む道だと悟っている状態のこと。

これはCGやVFXの分野にかぎらず、ほかの仕事の分野でも、そういった人は少ないのではないかと思う。

場合によると5%にも満たないのかもしれない。
ただ、割合的には、この業界はアーティストが多いので、もっと割合は多いかもしれない。


逆にいえば、そこまで深く考えずに一歩を踏み出す人も多いということで、いいとか悪いとかではなくそれが普通なのではないかということだ。
それに最初からその仕事がとことんまで理解して洗濯している人などほとんどいないだろう。
動機はさまざまだが、あこがれだったり、おもしろそうだから、とか、単にかっこいいと思われたいということではじめている人も多いだろうし、そういったことをとくに強く意識せずに、この業界に入った人がほとんどではないかと思う。

しかし、いずれはその仕事の上での自分の居場所をみつけなくては、去ることになる。

CGを学校で勉強しているときには、この5%以上になれるよう努力した。
こちらに残り、仕事を得るには、小さな学校ではトップ以上になる必要がある。
その学校でトップでも、他にもっとすぐれた人がたくさんいる学校はいくらでもある。
それらの人も含めての5%だ。

逆に言えば、その5%に入れるか近い場所にいることができれば、職を得て、こちらに残ることもできると思っていた。
そのためには、「何があっても職を得てやる」という強い決意が必要だ。
「どんな障害があっても夢が叶うまですべて解決する」という決意と、努力が必要となる。
「障害」とは、スキルを上げることだけではない、時間的なもの、金銭的な物、人間関係、移民法に関する物などいろいろある。
「解決する」とは、それらの問題を無理矢理誰かが泣きを見る形で処理したり、ごり押しでは、後でひずみが出てあらたな問題になることがある。できるだけ円満に解決するようにしたい。
クラスでトップレベルになるのは、目的ではなく、そのための一つのステップであり、物差しにすぎない。

学校のクラスが始まる前から、推測していたし、実際に経験してみて思うのは、
学生の60~70%は口では「ハリウッドで仕事がしたい」とは言うものの、
とことんつめて勉強するよりは、のんびりしたり遊ぶ方を優先させる。
その5%に近づく努力はしない。
何があっても、職を得るという意気込みがない。
「もし、できれば」とか「運が良ければ」で終わっている。
実際そのような人は、仕事を得ることもなく帰国していった。

これを逆に言えば、きつい言い方だが、クラスの半分以上はライバルにも力強い同志にもなり得ないということだ。
(あくまで職を得るスキルを伸ばし、作品をつくるという点のみで言うとそういうこと。
クラスメイトを見るときに、すべてのこの視点でしか見ないと、いずれ友達を失うことになるかもしれませんので注意。
「絶対に職を得たい」と思っていないからと言って、人格が劣っているとか、駄目とかではない。
そういった人でなくても、心の支えになったり、たのしくすごすことのできる友達はいます。
人間関係は、職場では絶対に重要です。そのあたりを切り離して考えられるようにしておいたほうがいいでしょう。そうでなければあなたがどのように考え、どのように人を見きっているかは、口に出さなくても周りには伝わり、どこか敬遠されるようになるでしょう。)

残りの20~30%は、職を得るだけの能力はあるが、そのきっかけをつかむことができない人が多い。
折角、職を得ても、それをてこにのし上がることや、継続して仕事に就けることを考えなくてはいけない。
実は、ここで重要なのは出来るだけ多くの人や会社とコンタクトをとり、自分のデモリールやレジュメを送り続ける。
スキルがかなうレベルになっていれば、これを同じ会社に何度も送るなど、しつこく数多くやることで、チャンスを得ることができる。
この段階で重要なことをあげると、「スキルレベルを見せられること」「数多く申し込みを送ること」「できるだけ多くの関係者とコミュニケーションをとる」「自分がそのプロダクションで働くことのリアリティーをあげられることはなんでもする」
特に重要なのは、「数多くのコミュニケーション」を外に送ることだ。
1)レジュメ+デモリールを送る。
2)口頭もしくは、E-mailでコミュニケーションをし、自分のことを知ってもらう。あわよくば職探しをしていることを知ってもらうようにする。

自分には「チャンスがなかった」と言う人がいるが、大体3~5社ほど、しかも人材募集の多い大手のプロダクションにしか送らずに駄目だと諦める人が多いのには驚かされる。
(自分も、諦めがちなので偉そうには言えないが)

「適材適所」と言う言葉があるが、プロダクションで「適材適所」と判断されて、受け入れられるには、実はタイミングもある。
タイミングさえ良ければ、スキルレベルや経験がなくても雇ってもらえるし、悪ければスキルレベルが高くても雇ってもらえない。
スキルレベルが低いほど、必要とされる機会がすくないので、そのチャンスを増やすためにはより多くのために自分の存在と、スキルを知っておいてもらう必要がある。
コミュニケーションによって良いやつだと思われれば、気に掛けてくれる割合もグッとたかくなる。
ひいては、必要となったときに呼ばれる確率も高くなるという感じだ。


実際、ここで挫ける人は多い。
目に見えないことだから、仕方がないとも言える。
実際、自分もなんどやっても挫けそうになる。レジュメ送っても、返事が来ないと、まだ自分のスキルでは駄目なんだと思ってしまう。
そこでそういったマイナス感情に負ける人がこの20~30%の人なのだと思う。

残り10%が職を得ることができ、そのうちのまた半分近くは年を経るに従って、止めていく。
その理由は最初に言ったとおり。

残るのが5%以下の人たちなのだ。

この10%になるには努力すること、周りの環境を動かし、チャンスを引き入れることが必要になってくるが、不可能ではないし、ハリウッドで仕事をすることなら、誰でもその気になればできると思う。
(まぁ、程度はいろいろだが....)

その気になればできるのにやる人が少ないのは、「大変なら避けたい。」という気持ちがあるか、「必要がない」と感じているからだろう。


日本で仕事をするにしてもハリウッドで仕事をするにしても、
CGやVFXをするにしても、他の仕事をするにしても、より大きくはばたき、有能になるには、この5%になれるようスキルだけでなく、本当の自分と向き合うことを続ける必要があるだろう。

そうすることで、よりよい作品を残せるようになり、名声は後からついてくる。

まぁ、えらそうに書いているが自分は、10%の人には入っているかもしれないが、5%には居ないと思う。

CGだけをそこまで、つきつめてやる気はない...今のところは。
たしかに、良い作品を作りたいが、それは総合芸術としての映画に対する興味であり、CGでなくてもいいと考えている。


そう思っているなら自分が天職だと思うこと、やりたいことをすればいいのになんで今の仕事に甘んじているのか?
そこが5%の仲間になれない理由だろう。

 
 

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