仕事でやっていた立体画像に関する事を記憶がまだ確かな内にメモしておこうと思います。。
「3DCG」なのか立体映像なのか混乱することがあるので、ブログでは、「立体」という表記にします。
ちなみに会社では、立体映像のことを「stereoscopic」と読んで区別していました。
ハードウエア:
立体表示モードのついた大きなデジタル・ディスプレイと専用眼鏡を使ってPlayblastとレンダリング、コンプ画像の確認。
立体で見るには当然ながら左右の画像を準備する必要がある。
再生とコンプに使用したソフトは、Nuke。
最近ILMがサイト・ライセンスを購入、続けてWetaもサイト・ライセンスを購入し、これからの業界スタンダードとなりそう。
使用する眼鏡は、プラスチックの太いフレームに色の薄いレンズが付いている。
どういう方式なのかは聞き忘れたので現時点では不明。
スクリーンでは、右と左の画像をレイヤーとして二重に表示しているが、これを眼鏡を通してみるとしっかりと結像し浮かびあがって見える。
どの方式を使っているのかは、聞いていなかったのでわからなかったが、Real D方式ではないかと思う。
撮影自体はフュージョン・カメラ・システムが使われているのはわかっている。
これは、キャメロンのアバターに使われているシステムだが、それほど特殊ではなく、今は様々な映画で使われている。
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いままでにも、立体映画を見たことはあるが、視界の狭さと、奥行き感を感じるところが少なかったという印象が強い。
渋谷にあるNHKのスタジオ見学に行ったとき、眼鏡を使用しない立体TVや映画があるが、いずれも見る場所が限られ、少しずれただけで立体感がそこなわれ、おもしろいとは思うが素直に感動できない面があった。
正直、今回の立体映画の一時的なハリウッドの気まぐれやブームとしてしかとらえていなかった。
しかし、今回は、実際に見てみると、そのすごさと可能性を感じることになった。
白黒テレビからカラーテレビへの移行と同じぐらいの衝撃があるのではないかと個人的には思っている。
たまたま今回は、クライマックスシーンばかりを見ていたので、そうだったのかもしれないが、
いままでよりも視界が広く、隅々まで奥行き感もばっちりで、本当にカメラの位置に自分がいるような感じがして、おもわず、さわれるのではないかと手を伸ばしてしまうほどだった。
あくまで、個人的な印象で、もしかすると違う環境や別の映像ではそうは感じないかもしれないが、画面に少しぐらい近づいても大丈夫だったし、真正面にいなくても立体感は維持できると感じた。
カメラの設定により、映像の浮き出てくる感じは変わってくる。
左右のカメラの距離が短くなると映像がより浮き出て見える。
今回は、ほぼフルCGだったので、一つのショットでもそのカメラ間の距離を調整することができ、
より画面に最適化されていたので、立体感が強く感じられた可能性もある。
今までに、「13日の金曜日part3」「ポーラエクスプレス」などをみたことがある。
「13日~」は例外として「ポーラエクスプレス」も、奥行き感や立体感を感じることはできたが、どこか今ひとつすっきりしない感じが残っていた。
それは自分が左右の視力が違い、コンタクトレンズが完全には一致していないと言うことからくるのかもしれないが、今回の方式はそれらとは違うので(たぶん..)、少し期待している。
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実際のショットに関して。
「ガラスが砕けるシーン」でいままでの2Dと立体映像を比較すると、以下のような違いに気づいた。
<反射>
「2D」:小さなガラスの反射がフリッカーのようにみえる。
「立体」:ちゃんとガラス表面が周りのガラスのスペキュラを反射していることがわかる。
<位置>
「2D」:カメラアングルの関係で、オブジェクト同士がかさなるとただ、ごちゃごちゃしてみえる。
「立体」:奥行きの違いが見て取れるので、重なって見えていた物も分離する。
そのため、画面が意外とすっきりして見える。
そういったごちゃごちゃしやすいショットほど、手前から奥までオブジェクトが配置されているので、奥行き感がわかりやすい。
立体映像なので奥行きの情報が加わる、すなわち「情報量」が多い。
しかし、情報量が多いということは、より画面に存在する物を把握しやすくなり、よりすっきりと見えるようになることだとわかった。
その多くなった情報を処理するために、煩わされることはなくむしろ逆だった。
そして、それが逆にプレッシャーとなるのはいままで2D(コンプ)でごまかせた事が、出来なくなることだ。
正確な奥行き感をもったエフェクトを3DCGパッケージ内で作る必要がある。
他の利点として、臨場感がたかまり、カメラの場所にいてみているという感じがたかまる。
どこかの記事で、ある映画監督が「立体映画は観客により映像へ入り込めるようにする」と述べていたが、その通りだと思った。
カメラは二つセットすれば、それで終わりかとおもっていたが、
一つのショットで奥行き感を調整するために、二つのカメラの距離をアニメートすることができる。
急激な変化は違和感を感じるかもしれないが、これでより効果的になることがある。
またオブジェクト毎にことなるカメラを使い、奥行き感や見やすさを調整することもできる。
画面の中心にロケータを配置した時、左右のカメラでそのロケーターの位置がまったく同じにみえる場所がある。
厳密ではないが、その点からカメラまでの半分の距離ぐらいまでが、立体でみることが可能な距離の目安となった。
素早く通り過ぎてしまうものなら良いかもしれないが、カメラに当たるほど近くなるものは、破綻し左右バラバラにみえてしまうこともある。
このように立体映像では、左右のカメラ間の距離が非常に大切。
左右のカメラ間の差は当然ながら画像の違いとして表れるわけだが、奥行き感が、左右の画像のずれとして表れるのがおもしろい特徴だと思う。
また、当然ながら左と右のカメラの画像を別々にレンダリングするので、単純に2倍のレンダリングパワーが必要となる。
保存される画像も当然2倍の容量が必要となる。
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この方式で本格的な映画がみれるのなら、とても楽しい経験になると思う。
こちらにいながら、最近の3D映画はポーラエクスプレスしかみたことがないし、数年前のことなのでどうだったか覚えていないのだが、
今回の方式だと、隅々までくっきりと浮き上がって見える。
設定にもよるのかもしれないが、今回の方式は、立体視できる範囲がひろく隅々までくっきりと浮き上がって見えるように感じた。
浮き上がるというより、そのカメラ位置に自分がいるという感じさえする。
今回のプロジェクトのクライアントは、先日、関係者に公開されたAvatorの20分版をみたそうだが、すばらしいと言っていた。
今回もハリウッドの気まぐれと思っていたが、デジタルになり機材が安くなり、上映可能な映画館も増えた。
それにこのようにはっきりとした立体感が味わえるとうことからも、ハリウッド全体がここまで本腰を入れているのもわかる気がする。
これがブルーレイ版でも楽しめるようになれば本格的な立体映像時代の幕開けだろう。
今は手軽なフルCGを使った立体映画が多いが、アバターを始め「アリスの不思議な旅」など、本格的なVFX映画も増えてきている。
これらの中で実写と合成されたVFXがどのように見えるか見てみたい。
久しぶりにわくわく感が高まってきた。
パナソニックのP2も立体撮影を視野にいれいるし、Youtubeや形態でも立体画像が普及する兆しが出てきた。
Fujifilmから今年8月には立体フォト/ムービーが撮影できるコンパクトカメラが発売予定だ。
立体表示できるフォトフレームも含めると約10万円だが、これはいつか是非手に入れたいと思っている。
個人的にはHDよりもこちらのほうが魅力的だ。
より、立体画像が、手軽になり、素人でも楽しめるようになってきた。
新しい映像表現の幕開けとも言える。
それにしても、立体映像が当たり前になった世代は、どのようなアイデアを思いつくのだろう?
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余談だが、Boujou5や、PFtrackでは二つの映像を利用してより正確なトラッキングできるらしい。
これにより画像制作速度もスピードアップし、素人もよりよい画質の物が作れるようになるのではないだろうか?
もし、正確なデプスが認識できるようになれば、将来2Dのロトスコープも大幅に改善されるか、不要になる可能性もある。
デプス情報があれば、背景の手前にあるピクセルだけを拾い出すことが可能になるからだ。
他にもBoujouを開発・販売している2d3社が以前こころみたPixydustのように画面から不要なオブジェクトを消すような技術も、より洗練され、販売されるのではないかと期待している。
将来的にはモーションキャプチャー、フォトベースモデリングなど、様々なことに影響を及ぼすのは、確実だろう。
奇遇ですね!
返信削除自分も最近3D立体映像の可能性についていろいろと考えているところでした!
それというのも日本で現在公開中の『モンスターVSエイリアン』と『ハリーポッターと謎のプリンス』を鑑賞したからです!
特にハリーポッターは日本初のIMAXデジタルシアターでの3D立体映像だったんですが、これが本当に驚きました。
同じ3D立体映像でも環境によって全く臨場感が違うんだな・・・と。
来月にはディズニーの『ボルト』が3D立体映像で公開されるので、それを楽しみにしています★
臨場感すごいですよね。
返信削除自分だけが感じていた訳じゃなくて、他の人も感じていたんだとわかってうれしいです。
(会社の人と話せば良いんだけど忙しすぎてそんなこと忘れてましたw)
自分は、最近の3Dは、なにも見てないんですよねw
来月公開予定の自分のかかわったものさえ、見に行くかどうかw
でも来週は「ハリポタ」を見に行こうと思っています。
まめさんの感想をみるとかなりよさそうで、期待いっぱいです!
それにしても「Avator」以降は、映画に求められる物が、がらっと変わりそうです。
今ふと思ったのは、ILM,Weta共にNukeをサイトライセンスで購入したのは、立体映像も視野にいれてたのかもしれないですね。
どちらにしても業界標準だったShakeが、もうフェイドアウトしていく運命なので、代りとなるものを探していたのだとは思いますが。
ちなみに「ボルト」は、アニメ好きの友達の感想によると「けっこう良かった」そうです。