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2010年9月21日火曜日

VFX業界における教育の価格 (VFX Soldier)

ビジュアルエフェクト業界の実情を伝えるブログ「VFX Soldier」でまたまた興味深いエントリが投稿されました。
VFX業界における教育の価格」と題された今回のエントリは、高い授業料を支払ってまでその見返りが得られるのかどうかという事に焦点を絞っており、これから学校へ行こうと考えている人もしくは、いま学習中の方にも広く参考になる話となっています。

いつも通り適当ですが、翻訳してみました。



------(以下、翻訳)-------
The Price Of Education In The VFX Industry
「VFX業界における教育の価格」



アメリカでの授業料の値上がりは、信じられないものがあります。
ここに教育と、ヘルスケアと、居住費のコスト上昇を比較したよい記事があります。

教育費が突出しているのは驚くべき事ではありません。
言い換えれば教育の費用はおおきなバブル期にあり、いくつかの最近の記事では高くなる授業料について異議を唱えています。

VFX、ゲーム、そしてアニメーションの業界には、キャリアを始めるために助けとなるカリキュラムを提供する有料の学校が数多く存在しています。
しかし、その大きな投資にあった価値の見返りが本当にあるのでしょうか?


 

ゲームの勉強をした生徒が卒業後にストリッパーになる。
ゲーム業界でのキャリアをめざしフロリダにあるアート専門学校へ通ったある若い女性の話です。彼女は$73000(約620万円)以上のスチューデント・ローンを抱えて卒業し、どのゲームスタジオにも就職する事ができなかったため、借金の返済をするためにストリッパーになったというものです。

彼女のうけた教育が、どれだけぼったくりだったかがわかった後、彼女は、この学校について他の生徒達に警告するためにWebsiteを作り、一連の youtube動画を作りました。 

彼女は教育における自身の粗末な選択にたいする責任を負ったのでしょうか? 
まったく、その通りです、しかしこの問題について彼女に話すチャンスをあげましょう。
訳注:URLとYoutubeのアカウント名は Sue Ai Now(Aiを今すぐ訴えよう)の意味になっています。ちなみに上記ウエブサイトをみるとわかりますが、Aiとは彼女の通ったフォート・ローダーデール・アート専門学校のことです。

ある学校が利益が目的であっても、目的でないとしても、最終的にはすべてを継続するためには、お金が必要です。
お金が絡んでくるとき、誰かがその負担を負わなくてはなりません。潜在的なVFXの生徒に大して答えられるべき、二つの基本的な質問があります。

1.VFXの教育における投資に対する見返りは何なのか?
2.そのVFXの教育は業界において競争力のあるアドバンテージをあなたに与える事ができるのか?

まず、投資に対する見返りについて話させてください。
授業料を支払うとき、あなたはかなりの見返りを提供するキャリアを期待して、自分のお金を投資しているのです。 
幾人かの生徒はそのお金を両親から得ますが、ほとんどはスチューデント・ローンから得ているでしょう。
Sallie Maeはアメリカのスチューデントローンの中でも最大手の一つです。
すばらしいウエブサイトをもち、どのぐらいの借金になるかを見積もりしてくれます。 

最もよいのは、その借金の返済のためにどれぐらいの収入が必要となるかを推測してくれる事です。 私はいくつかの有名なVFXスクールに必要な数字をこのサイトで計算してみました。Sallie Mae は卒業後の月収のうち10%を返済に充てるようにすすめてきました。おわかりのように、それほど良いものではありません。

 

アートカレッジの 二年間の専門コース

授業料: $85,278 (約725万円) (授業料、経費、寮費と食費、教科書代、その他の費用)
卒業後の月払額: $987(約8万4千円)
15年払いの場合の支払総額:$177,746(約1500万円)
必要な年収の見積もり: $118,440(約1000万円)

Gnomonデジタルプロダクション2年コース
授業料: $66,075 (約562万円) (寮費、食費、教科書や文具代は含まず)
卒業後の月払額: $765(約6万5千円)
15年払いの場合の支払総額: $137,700(約1170万円)
必要な年収の見積もり:  $91800(約780万円)

二年間のフォート・ローダーデール・アート専門学校
授業料:$67,982(約578万円) (授業料、経費、寮費と食費、教科書代、文具代、そのほかの費用)
卒業後の月払額: $787(約6万7千円)
15年払いの場合の支払総額: $141,660(約1204万円)
必要な年収の見積もり:$94,440(約803万円)


高度な教育はより多くの報酬を求める。
このように高額な授業料をみるとなぜVDFXアーティストが高い給料を要求するのかがわかるでしょう。
問題は、卒業したての被雇用者が、ある業界で6桁(約1000万円)もの収入を得る事は非常にまれな事です。
あるVFXプロダクションは卒業したばかりのアニメータを時給12.5ドルで雇いました。
彼らのなしとげる仕事はシニア・アニメータが成し遂げる事と同じではありません。
理屈としては、彼らのうちの一人でも、ひとつのショットを終わらせる事ができれば、節約した価値があります。
問題は彼らのうちの誰も、ショットを終わらせる事ができず、結局はシニアアニメーターがその仕事を終わらせるはめになるということです。
VFXの教育費がいかに高いかそして、ピクサーのような最高の会社がこの業界では最低の年間、約60000ドル(約510万円)という給料しか払わないことを知ったとき、その投資は失敗である事を認識するでしょう。



VFXの教育は競争力のあるアドバンテージをあなたに与えるか?
もしあなたがお金を持っているとしても、VFXの教育はこの業界で仕事を得るために必要な競争力をつけてくれるでしょうか?  あり得ません。

だいたいのVFXプロダクションは、申請者のデモリールを山積みにしています。
スーパーバイザーはリールをみる時間は少ししか持っていませんので、紹介者か、経験を積んだアーティストのリストに向かいます。
たとえ、ある生徒のリールが非凡なものであっても、VFXについてほとんど知らないであろうリクルーターの手にゆだねられます。
VFX業界はどんな学校へ行ったか、もしくはどれほどデモリールがよいかではありません。 
すべては影響力(Leverage)なのです。 
もしあなたに能力があり、あなたの仕事ぶりを複数の会社に比べさせることができるなら、自分のレートをすぐに上げる能力を持っているといえます。
(訳注:ちょっと自信ないので原文を載せておきます:If you have the ability and are able to get companies to compete for your services, you have the ability to quickly raise your rate. )

 いくつかのケースではVFXの教育への支払いはあなたを傷つけます。 山のようなスチューデントローンの借金をもつことは、自分を深刻な状況におくことになり、スチューデントローンの請求を支払うために会社のどんな要求をものまなくてはならなくなります。



では、この業界に入りたくて高い目標を掲げたVFXアーティストへの私からのアドバイスはなんでしょう。
VFX の教育へ数百万円もはらうのではなく、よいコンピュータとたくさんのトレーニングDVDに数十万を使いましょう。自分自身でVFXを勉強する事で、たくさんのお金を節約できます。 セルフラーナーになること一般的な問題に対する答えを自ら発見することは、このVFX業界ではとても重要な特性です。チュートリアルやDVDはあなたに特定のツールをどのように使うのかをみせ、かっこいいVFXの手順を行います。ツールや手順の使い方について知る事は鍵となります。



短期大学に通う
重要な思考のスキルは成長を助けてくれ、他者とのコミュニケーションに違いをもたらします。
高度な教育は、その発達を助け価値があるものです。
地元のコミュニティーカレッジはとても安価ですがすばらしいコースを用意しています。
あなたはVFXに関して自宅学習する間に、短期大学校で一般的な教養を得るべきでしょう。



ただのアーティストにはならない。
VFX業界は特定の専攻科目や教育を要求していません。
実際の所、自分でVFXの勉強をしている間、財政学、コンピューターサイエンスかあなたの掛け金を守ってくれる何かを専攻するのが良いでしょう。
ゴールはVFXの仕事を得る事にすべきでしょう。
もしそれがレンダーファーム監視係、コーディネーター、ファイナンス・アシスタントであるならそうしましょう。
働いているアーティストとコネクションを作り始めるために足をドアに滑り込ませましょう。
人々はあなたの仕事ぶりを知り、あなたの興味と能力を見せるデモリールを見るでしょう。
そして、ゆくゆくはあなたはチャンスをつかむことになるでしょう。
訳注:Foot in the door(足をドアに滑り込ませる) :まず足を入れれてドアを締めさせなければ中に入るチャンスも生まれることから、目的のために、まず自分を少しでも受け入れてもらうこと。


私の個人的な教育に関する話
私は短期大学に通い、後に公共の大学へ移籍しました。
私はコンピュータ・アートを学び、すぐに自分が勉強していることは業界で仕事を得るには不十分であることに気がつきました。
私は勉強を続けましたが、コンピューター・サイエンスのコースで補足し、土曜日にはVFXのDVDで自分自身をトレーニングしました。
私のコンピューター・プログラミング・スキルは、ゆくゆくは私のVFXスキルに気がついてくれた多くのアーティストと確かな関係を作ることになった、あるVFX会社でテクニカル・アシスタントとしての仕事を得させててくれました。

彼らは私が仕事を得るのを助けてくれました。
あなたの最高の雇用者はあなたが働いている会社ではなく、あなたが一緒に働いているひたと立ちなのです。
国民は教育システムの問題に気がつき始め改正し始めました。
人々は、借金を続けることはできませんし、ふさわしい支払いをしているわけでもありません。
私は数人から、スチューデント・ローンのシステムが改正されてきていると聞きました。
あなたが支払うべき金額はあなたが得られる収入のパーセントになるという話で、良いアイデアのように思います。

.
その間、がんばりましょう。



------(以上、翻訳終了)-------


(補足など)
影響力(Leverage)について
レバレッジとは、「てこ(Lever)の使用)という意味で、金融関係では良く聞かれる言葉です。
Wikiによると
経済活動において、他人資本を使うことで、自己資本に対する利益率を高めること、または、その高まる倍率。
ここでは自分の給料をアップするためには、自分の能力にプラスして何かが必要であり、その何かとは複数の会社に自分を取り合いさせることと書いてある(と私は解釈しました)。
たとえば二つの会社があなたを気に入ってくれていたとして、こっちの会社はこれだけ払ってくれるからといえばもう一方の会社が金額をあげてくるという事になります。
そうやって給料をあげることができるのは、両者が気に入ってくれる能力があるからです。

私の個人的なケースでは、今の仕事は気に入っているが、通常レートよりひくい、このままでは生活に影響がでるので今職探しをしていると説明して、通常レートまで上げてもらったことがあります。
この場合も相手が気に入ってもらえたからこそできたことで、気に入ってもらえなかったり、金額が予算と合わないなら「あらそう、残念だわ」で終わってしまいます。


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(以下は個人的な意見)
さて、ここに書かれていることすべてがいきなり日本にいる日本人に当てはめられるわけではありません。Visaの関係もあります。

また、個々で書かれていることは中小プロダクションには、間違いなく当てはまりますが、大手となると、どこまで当てはまるかは疑問は残ります。
というのは大手では募集時に学歴について書いてあることがよくあるからです。
ただ、それは目安に過ぎないことはかわりません。根本の所では、大手であろうと学歴よりも能力重視となると思います。
ただ本当に学歴を不問にしてしまうほどの能力をもっている人が少ないってのはあるかもしれません。

 さて、ここに書かれていたことはアメリカはともかく、日本国内でもある程度当てはまると思います。
某有名CG学校などの例もありますし。
すべてを学校に期待するのは、間違っているとは思います。
学校へ行くなとは言いませんが、学校に行けばアーティストになれるとか就職できるとは考えない方がよいです。
自分が自分の意志で自分の体を動かさない限り、アートや技術は身につかないでしょう。
学校では、半ば強制的に授業や宿題などでやらされるので、ある程度は身につくのですが、それでできることには限界がでてきます。


CGアーティストになりたいのでどんな学校がいいかと訪ねられた事があるのですが、最終的には学校ではなくすべては自分で努力する必要があると言うことを話したのですが、どこまで理解してくれたのか...。
ここに書いてあるとおり、CGアーティストになるにはCG専門学校へ行く必要はありません。
きっかけをつかむだけなら半年コースで充分ですし、どちらかというと普通の大学か純粋なトラディッショナルアートやコンピュータ工学を専攻した方がよいでしょう。
(日本人にとってはアメリカで働く為にはVISAが必要で、それには学歴が必要とされるケースがほとんどです。)

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