日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年10月19日火曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その15)

プロジェクト:プリニー式噴火(パート1)
Pg73ステップ1

ヘクトメートル:ヘクトメートル(記号hm)は、国際単位系の長さの単位で、100メートル。漢字では「粨」と表記する。あまり日常的に使用されない。(Wikipediaより


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Pg74 ステップ1
クリッピングを防ぐために・・・
発生した煙がコンテナの壁に接触するとそこで煙はカットされます。
これをクリッピングと呼んでいます。
(「クリッピング」はフルイドに限らず広く使われる用語です。参照:デジタル用語辞典「クリッピング」

フルイドコンテナはその内部のフルイドしか表示できませんからコンテナを超えるサイズのフルイドはクリッピングされてしまいます。
ようするに煙が充分に広がれる程度の大きさのコンテナにする必要があるということです。



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Pg74 ステップ1
翻訳:「煙の柱は成層圏まで上昇する必要があります。
原文:「The column of smoke needs to rise into the stratosphere.」

ここで「into」という言葉が使われているので、上昇して成層圏の中へ入っていき(さらに上昇する)というイメージがあります。
まで」は、日本語としては正しいのですがイメージ的にそこで止まるようなイメージがあります。

さて、この煙は成層圏へと入っているのかそれとも手前で終わるのかという点ですが、pg73に目安となる説明があります。

火山の高さ1,200m(このシーンでの設定)
煙の高さ2,900m(このシーンでの設定)
現実の煙の高さ42,000m


火山モデルの高さはユニットで言うと11.5、
フルイドコンテナの設定をしたときに、Yのサイズは30になっています。
これをY軸上で23ユニット移動しています。

フルイドコンテナの中心がピボットポイントですので、フルイドコンテナの底辺は
上昇分の23ユニットから、Yサイズの半分を引いた位置になっているはずです。
23-(30÷15)=8

フルイドの底辺はY軸8ユニットの位置で、そこから高さ30のフルイドコンテナが伸びています。
よってフルイドの天井部は38ユニットの高さになります。

1ユニット100mで換算するとこれは3,800mということになります。
煙は火山の頂点から発するので、このフルイドコンテナでは煙は1,150mから3,800mまでの間を上昇することができます。

では成層圏とはどのぐらいの高さかというと(参照:Wikipedia「成層圏」)
11-50kmです。メートルに換算すると11,000m~50,000mということになります。
これは飛行機に乗って雲の上に出て、雲が存在しない高さです。


本の説明によると現実の煙の高さを42,000mと書いてありましたので、現実の煙は成層圏に達しているようです。
そうするとこのMayaプロジェクトのフルイドは成層圏には達していないことがわかります。
ここでは、「煙の柱は成層圏へと上昇しているように見せる必要がある」と言いたいだけです。
決してこのプロジェクトで作られる煙が「成層圏に達するべきである」という意味ではありません。


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翻訳:「これで流体はコンテナの上部に達すると離れるようになりました。
意訳:「The fluid can now leave the container when it reaches the top」.

訳に間違いはありませんが、わかりにくい説明です。
これを読むとコンテナの外に出たフルイド(煙)がそのまま存在しているようなイメージを持ってしまいます。

これはここまでの説明ともかぶりますが、以下のようなことを説明しようとしています。

フルイドコンテナ内の煙が上昇するとデフォルトではコンテナ天井部分に当たって煙が跳ね返されます。
それでは「煙が上昇し続けるように見えない。」=「成層圏へと上昇しているように見えない」ので煙が天井で跳ね返らないようにこのステップで「境界線」の設定をしているのです。

境界線の設定で跳ね返るか、そのままコンテナの外へ流す(ように見せる)かの違いだけです。
当然ながら、コンテナの制限があるので上昇する煙は高さ3800m(コンテナの天井部)のところでクリッピングされてちょん切れたようにみえます。

「フルイド」といっていますがMayaのCGのフルイドではなく流体(フルイド)としての煙の振る舞いが実際にはどういう振る舞いをするべきかと言うことを視点として書いているのかも知れません。

これで流体はコンテナ上部に達してもそのまま上昇を続けるように見えるようになりました。
とでも訳した方がわかりやすいかも知れません。



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Pg76 ステップ5
翻訳:配置するだけで、値を大きくするとシミュレーション速度が上がり、値を小さくすると速度が下がります。
原文:「Simply put, increasing the value causes the simulation to speed up, and decreasing it slows it down.

原文にある「put」は、「後にのべる状態にする」ことを示しているのであえて訳さなくても良いと思います。
意訳すると「シミュレーションの速度を上げるために値を増加したり、遅くするために値を小さくします。」となると思います。
これはシミュレーションの計算速度の事ではなく、移動速度のことと思われます。
(未確認)

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