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2010年3月1日月曜日

映画ファイナルファンタジーの失敗について

ブログ「アニメプロデューサーになりたい大きな木」で、興味深いエントリ「映画『FINAL FANTASY』からCGアニメを考える」があり、
自分も気になっていたことなので、少し考えてみました。


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「コミュニケーション」は、送り手と受取り手の相互にリアリティーの違いがあるとうまく完結しません。
コミュニケーションには、他にもいくつかのポイントがありますがここではリアリティーを取り上げたいと思います。

映画は「コミュニケーション」の一つの手段ですので、このルールに従います。
ファイナルファンタジーは、日本だけでなく、世界市場へと向けられた映画として製作されました。

ようするに受取り手は、日本人だけではなく欧米人も対象になっていたのです。
しかしながら作られた内容(ストーリー)は非常に日本色が強いもので、見せ方(アクション)はハリウッドという形態がとられていたように思います。


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さて、日本人が感動するスピリチュアルな部分ってのは、世界的にみて市場が限られてくると思います。
日本人は、意志や木、草、動物をみて霊的な存在を感じますが、欧米人はそういったものをあまり感じないということを聞いたことがあります。

日本には、「八百万の神」という言葉があるように、我々は森羅万象に神や霊的存在を感じて育ってきます。

これはインディアンや、アイヌといった種族でも同様な面が見られます。
実際にスピリチュアルな存在に興味を示すような米国人は、自然主義的傾向を持つ人が多く、インディアンの習慣や、考えに興味を持つひとも少なからずいます。

欧州にも小人や妖精、エレメンタルというものがありますが、日本ほど様々な対象ではなく、森羅万象をある程度分類し、それを象徴する物として存在しているような気がします。

また、米国では、欧州の習慣を受け継いでいますが、キリスト教などの影響からか、悪魔と神の存在を描く物のほうがポピュラーです。
悪でも善でもない、ただの精神的存在、人間世界と平行して存在する別世界を頭で理解することはできても感覚的に理解するのは難しかったのかもしれません。

上で書いたように、スピリチュアルな存在に興味を示す米国人は、どちらかというと自然主義的な生活を好み、お香をたいたり、ヨガをやったり、自然に触れたりという生活習慣をもっているように思います。



こういった生活習慣に密着した部分が観客のリアリティーであり、それに訴えかけることができなかったファイナルファンタジーはこけたのではないかと推測しています。

ファイナルファンタジーの主題では、上記の自然主義的な人の中からさらにSFアニメ映画に興味を持つ人を探す必要があるということになるような気がするので、自ら狭い市場をねらっているようにさえ見えます。

作者の訴えたいことはわかるのですが、もう少し狙いを一般的にも受け入れられる形で還元する必要があったように思います。


ただ、千と千尋、もののけ姫のように同じ分野の題材を対象にしても、欧米に受け入れられたケースもあります。
これは、日本独自の見せ方が徹底されていたからだと思います。
見せ方の違いが欧米人にとっては目新しく、おもしろいものであることが一つの理由であり、それが内容と違和感なく溶け込んでいたからこそ、受け入れられたのではないかと推測します。

この点では、ファイナルファンタジーは見せ方に、ハリウッド映画の手法を用いたために、うまくいかなかったのかもしれません。

ようするに、内容と見せ方の手法は一致していなくてはコミュニケーションがなりたたない。
結果、映画として成功しないという事ではないかと思います。
現在のSF日本映画にかんしてはこのあたりが破綻しているケースもあるのではないかと思います。
それを観客が感じるからこそ、「ハリウッドの真似」と言われるのかもしれません。



さてファイナルファンタジー今、作られたとして、PRが良かったとしたらどうでしょうか?
自分は、よくてトントン。おそらく、こけると思ってますw

やっぱり映画として、おもしろくないです、単純に。

立体映像にすれば3DCGのメリットもあるかと思いますし、今なら注目度も上がるので、わずかの収入アップが見込めるかもしれませんが。
個人的にはフル3DCGで製作する試みはおもしろいと思っていますし、その試みは当時でも成功させることは出来たかもしれないと思っています。(なんとなくですが)


今ファイナルファンタジーを作るとすればどんな内容にすればよいのでしょう?
やっぱり神と悪魔の戦いのようにするのがいいのでしょうか?
まぁそれだけでも多少の集客力アップは、はかれそうですw
でも、そうすると原作のおもしろみはなくなります。

このあたりが日本の映画を世界市場に出していく上での課題となりそうな気がします。

1 件のコメント:

  1. 確かに今同じものを上映しても、こけてしまうでしょうね。

    それにしても、とても分かりやすく論理的で、納得してしまいました(笑)
    自分もMelonさんのように、もっと文章力を磨いていきたいと思います!

    5HOTA

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