日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2009年10月2日金曜日

「トランジション」を考える。 (番外編:そのきっかけ)

今回、トランジションについて書いておこうと思ったきっかけは、新しいクリスマスキャロルのトレイラーを見たことだった。

おそらく「現在の精霊」のシーンだと思うが、スクルージに三角錐の何かで閉じ込められた後、ロケットのように飛び立ち(1:25)、飛行中に徐々に消えていくシーン(1:35)がある。

光り輝くロケットが後部から先端へむけて徐々に光の粒(煙?)となっって消えていくのだが、それをみていて、きれいなエフェクトだなと思うと同時にこれを自分で作るとしたらどうすればいいかなと考え始めた。


いつものことだが、何かのエフェクトを参考にするとき、そこにつかわれている技法を分析することから始める。

エフェクトは、通常、複数の技法を使って作られるが、ショットを分析し、ひとつひとつの技法をみてみると、さほど難しくないケースもある。


さて、このショットだが、基本的におきていることは「ロケットが消える」ということ。

つぎにその消え方だが「後部から先端へむけてきえていく」、これが基幹となっている事柄だ。
これはマスクによって、実現できる。
オブジェクトに白黒のマスクテクスチャーを貼り付け、そのテクスチャーをアニメートする。
コンプによって後部から先端へ向けて消えていくようにすればよい。
消えていく部分との境界は、グラデーション、場合によってノイズをいれるとよいだろう。


そしてそこにある味付けは?

金属が燃えるように光の粒(煙?)に変化していき消滅する。
気をつけるべき事は、マスクによりオブジェクトがきえていく境目に、燃えるような光のエフェクトがあるということだ。

これは複数のパーティクルエフェクトとコンプによって可能だろう。
赤い炎のような光が発生するマスクの境界部分、炎のような煙のようなオレンジ色の尾の部分、きえていく青白い尾の部分、他にも必要かもしれないがこのような感じだろう。


そう、考えている内に、この手のエフェクトはよくあるなぁと思った。
見栄えはするが、以外と基本技法は単純だ。

人が砂に変わったり、バンパイヤが灰になったりするエフェクトは、ほとんどこれと同じかこれが発展した物。
X-menのミスティークの変身も多少複雑だが似たような物だ。

パーティクルのチュートリアルにも、ワイングラスが粉になって先端から消えていくというエフェクトを時々見かける。

それらすべての共通点を考えてみると、その目的は「物が消える」もしくは「変化する」ことにあった。

次にそのエフェクトの起源を考えるために、初期のSFX映画を思い出してみた。

まず思い出したのが、「メトロポリス」のロボットマリアの変身シーンだ。
ディゾルブによって、ロボットが人間マリアのような姿に変わっていく。

このような「変化」を再現するためにもっと以前はどうだったのか?
それ以前の物というと、メリエスの「月世界旅行」でのロケットの着弾、月面人の消滅に使われていたストップトリックのことを思い出す。

そのころは、ディゾルブではなくカットを使っていた。

さっそく「月世界旅行」をYoutubeで見たり、メリエスについて調べてみたりしているうちに、現在では多岐にわたるVFXも、元をたどれば表現しようとしていたことは単純だったことに気がついた。

そのうち、現在ではVFXはすべてCGで行っているので、VFXというと複雑な物のように感じるが、実際その領域をルーツから分けて考えれば、もっと整理できるのではないかと思いはじめた。


起源を探り、物事をシンプル化して、そこからツリー上に知識を発展させていくという手法は、その分野をしっかりと理解し、応用がきく考え方を身につけるために役に立つ。
それは、自分の、好きなやり方だ。

そこで、「VFX」全体を把握するために役に立つ理論体系が作れるのではないか?
すくなくともその足がかりになるのではないかという期待を胸に、思いきって、調査/考察してみることにしました。

「VFX」の「目的」が理解できれば、技法も柱(プライマリ)となる物と枝葉のもの(セカンダリ)を見分けることができ、個々の技術の習得も加速できるのではないか?、そうなると、それぞれの技法に必要なMelスクリプトを絞り込むことができる。

そんな風に考えています。

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