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2009年10月7日水曜日

「トランジション」を考える。 (ストップトリック: 用語解説)

「ストップ・トリック」について、すこし気にかかることがある。

この「ストップ・トリック」という用語に抵抗のある人がいるのではないかということだ。

もしかしたら私Melonの思いつきや勘違いで使っているのではないか?と疑っている人はいないだろうか?


というのも、

まずこの「ストップトリック」は聞き慣れない用語であること。
もう一つは、メリエスやこの技法についてふれているホームページで、「ストップ・モーション」と称されていることもあるからだ。


私自身、8mmの撮影方法の本や、いろいろなSFXの種明かしの本などを小中学生のころより読んできたが、「ストップトリック」という言葉を使うのは、今回はじめてで、不慣れな用語だ。


ただ、メリエスについて調べ始めたときに、出会い、Wikipediaで正しい用語であることを確認してから使い始めている。

それに、「ストップモーション」は人形アニメなど、アニメーションの技法であり、「ストップトリック」の技術的内容とは、異なると思う。


昔読んだ本の記憶をたどると、この技法について解説してあった本などにはただの「トリック撮影」の一つの手段として解説されていたことを思い出す。逆回しや、二重露光とならんで解説されていたが、とくに用語などはなかったような気がする。

あえていうなら「入れ替えトリック」だろうか。
ただ遠い過去に読んだ内容なので、記憶は定かでない。

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そこで、今一度、この「ストップ・トリック」という用語が正しいのかどうか確かめるためにもう一度Wikipediaを読んでみた。

結論から言うと、
ストップ・トリック」はこの技法を示す正しい用語であり。正しい使い方である。
「ストップ・モーション」は異なる技法であり、混同され、間違って使われている。



ところで、「ストップトリック」は英語版Wikipediaには解説されているが、日本語版Wikipediaにはない。

とうことは、「ストップトリック」という用語は日本ではほとんど使われない、少なくとも一般的ではないということになる。

この技法が日本で使われ始めたころ、
ただカメラをまわすのをとめるだけという簡単な技法だからあえて用語を使う必要がないと判断したのか? 
「トリック撮影」をこの技法の代名詞として使ったのか?


それについては、今のところ明確な回答は見つけることが出来なかった。


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さて、「ストップ・トリック」が「ストップ・モーション」と違うということをはっきり理解してもらうために、英語版Wikiの解説を下に翻訳してみた。
あまり良い翻訳ではないので、メリエスの逸話についてはほかのホームページなどでももっと詳しい解説が読めるので、参照していただきたい。

この解説の最後に、先日紹介した[奥様は魔女]が例として取り上げられていた。
やはりこれはこのテクニックが作風とぴったりマッチしていて、多くの人の印象に残っているんだなとうれしく思った。



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Wikipedia(Eng):Stop trick


ストップトリックとは、フィルムの特殊効果の一つ。
あるオブジェクトが撮影された後にカメラを停止し、オブジェクトをカメラの視界から取去る。
そして、カメラを再び回す。
そのため、観客がフィルムをみるときには、オブジェクトが消えるように見える。

メリエスは、パリの通りを撮影している時に、偶然、ストップトリックを発見した。
彼のカメラのゲート機構で、フィルムが詰まってしまったが、車や人は普通通り、そのまま動き続けた。メリエスのカメラは、ゲート機構から詰まりを取り除くまで、撮影を止めることになった。
後に、通りを撮影したフィルムを上映した時、彼は、乗り合い馬車が突然、霊柩車に変わったのに、驚かされた。
(訳注:「ゲート機構」とはカメラ内部の開口部、レンズから入ってきた光がフィルムと出会うところ。
ここにはフィルムを送るためにピンとシャッターが連動した装置がある。
ピンは一フレーム送る毎に停止し、シャッターが開き露光する。1秒間に24回(24fpsのカメラの場合)のフレームを送る必要があり、高速で正確な動作が必要とされる。
しかしながら、様々な影響で、それに失敗してそこでフィルムが動かなくなることがある。それがフィルム詰まり。)



実際に起こったことはは、カメラが詰まった時に乗り合い馬車がフレーム外へ移動し
、カメラが撮影を再開する前に霊柩車と入れ替わったということだ。

メリエスは、このテクニックをマジックのトリックに使った。
たとえば、マジシャンと少女を撮影し、
マジシャンがジェスチャーをさせ、メリエスはカメラを止めた。
かれは少女に視界からでるように指示し、再びカメラを回し始めた。

現像されたフィルムをみるとき、マジシャンのジェスチャーの後、少女は突然きえたようにみえる。

このテクニックは全ショットを作るために毎フレーム撮影するストップモーションのテクニックと混同されてはならない。

テレビシリーズ[奥様は魔女]は、このストップトリックの技術を頻繁に使っている。

 

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