Pg51 ジオメトリを破壊する
メモ:破壊されたジオメトリの作成方法についていくつか書いてありますが、何が「最善の方法」かここに書かれています。
しかし、すべてをその方法に頼ると大変です。
ショットにもよりますが、おおまかには他の方法を使い、重要なポイント(たとえばカメラに近いとか)だけこの方法をつかうのが時間の節約になります。
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翻訳:「シミュレーション中の外観を評価することが重要です・・・・」
ここに書いてあることをもう少しかみ砕くと以下のようになると思います。
シミュレーションをしているとき、たとえば100フレームあるならフレーム2~99は変化している過程です。
その間にシミュレーションの対象は刻々と変化して、最終フレーム(フレーム100)の形状に行き着きます。
その途中で、特定のフレームで停止してみたときに、きちんとした変化になっていることをチェックする必要があるとうことを述べています。
ここでいう「きちんとした変化」というのは、そのシミュレーションが「破壊」であれば、破壊されるものの材質による違いを表現しているかと言うことになります。
この本では、その例として、木、草、コンクリートの違いを挙げています。
そしてその変化過程をきちんと描くには、各破片について適切なジオメトリの形状が必要であることを説明しているのだと思います。
たとえばコンクリートでは丸や三角、多角形など様々な塊となりますが、木の破壊では木の繊維を反映した長細い木片ということになります。
ここでは破片を作ることについて書いているので以上ですが、シミュレーション全体について付け加えて言うなら、破壊されるものの材質によって、そこから生み出される動きも異なってくるのは言うまでもありません。
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Pg52
レッキングボール: Wrecking Ball これは日本語で言うと「鉄球」ですね。Pg52の最初では「鉄球」と訳されているのになぜかその後はレッキングボールとなっています。
かと思うとまた「鉄球」と訳されているところもあり、翻訳が一定していません。
「鉄球」に統一して問題ないと思うのですが...。
ちなみに鉄球とはこれですね。
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ステップ3
Maya2011でやっているのですが、このようなことは起きませんでした。
ただ、鉄球が砂場のそこを通過しただけです。
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ステップ5
ここでボールの位置は変化しないと書いてありますが、Maya2011で試してみた限りでは、転がっていきました。
すなわち、回転をともなう移動があります。
シミュレーション的には、このほうが正しいのでMayaのアップデートに伴う変更があったのかもしれません。
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ステップ7
翻訳:「すべてのパーティクルを砂場内からでないようにすることです。」
原文:「keep all of the particles in the sandbox.」
意味的には通じるのですが、ちょっと奇妙に感じます。
「keep」ですから、以下のようにしたほうが良いように思います。
「すべてのパーティクルを砂場内にとどめるようにすることです。」
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ステップ10
翻訳:「レッキングボールを無効にします」
補足:鉄球のシミュレーション(ステップ6でキャッシュ済み)を無効にするという意味です。
鉄球のnClothShape1ノードのアトリビュートエディーターの一番上にある「Enable」のチェックを外します。
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Pg58
翻訳:「・・・初期状態をいつでも落ち着かせることが出来ます。」
原文:「You can relax the initial state・・・」
翻訳としては間違っていないのですが、わかりにくいですね。
「落ち着かせる」は原文では「リラックス(relax)」です。
意味は、「ステップ10」でやったように、シミュレーションをすすめてnCltohやパーティクルの動きが静まるまで待つことです。
これは「初期状態のリラックス」というコマンドの名称にもなっているので、その機能を参照するとよりわかりやすいかもしれません。
「初期状態のリラックス」は指定したコマ数だけシミュレーションをすすめ、最後のフレームで初期状態の設定を自動で行うコマンドです。ダンプの設定も行えます。
参照:オンラインヘルプ「初期状態(nSolver > Initial State)」
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補足:
この練習は基本的なダイナミックスの概念を理解するには非常によい物だと思いますが、実際に最終的なものにするには、この次の陥落穴の練習でもそうですが、まだまだ手を入れなくてはいけない状態です。
初心者は「スタジオ・プロジェクト」という本のタイトルを文字通りに受け取らない方がよいでしょう。
そのことはPg51の「ジオメトリを破壊する」にも書いてありますが、プロダクション(特にTVや映画)においては、飛び散る破片などは、もっと高レゾリューションでリアルなモデルが必要でしょう。
そもそもコンクリートの大きな破片すべてが、あそこまで飛び散ることは考えられないので、小さな破片をエミッターなどを使い、別の形で追加してやる必要があります。
それに煙や土を表現する必要もあります。
そうしたものすべてを追加してはじめてプロダクションの使用に耐える物になると思います。
そうした実用に耐える物にするにはただ単に高レゾのモデルと置き換えるという方法では出来ないこともあります。
「スタジオ・プロジェクト」というならそこまで、書いてほしいところですが、そのあたりのデティールアップのテクニックは「ダイナミックス」の範疇から外れる部分もあり、ショットによりケースバイケースでもあるので、あえてページを割かなかったのでしょう。
そういえば、そういうテクニックを書いた本は見たことがないですね。
まぁこまかいことは自分で考えろってことでしょうか。
そのあたりが考え出せないようなら、プロとして日常で合う様々な問題にぶつかったとき、なにも解決できないということにもなりかねませんからね。
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