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2010年9月28日火曜日

本「スタジオプロジェクトDynamics」への補足 (その9)

Pg50 自然なシミュレーション

翻訳:「要するに、自然の要素を使用してシミュレーションの結果に影響を与えるということです。
原文:「The bottom line is to use natural elements to influence the outcome of the simulation.

「要するに」という言葉の意味としては、「(それまでに述べてきたことを)簡単にまとめると」というような意味があり、その意味で捕らえる方もいると思います。(自分はそうでした)
原文は「The Bottom line」で、意味としては「肝心の」とか「重要点を強調する」という意味になります。
したがって「要」という字を使うなら「要は、自然の・・・」というふうにしたほうがわかりやすいかも知れません。
ただ、ここでは重要なことをのべているので、「肝心なのは、」とするのがよいかもしれません。


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翻訳:「すべてが人工的な物だと言うことを考えると、馬鹿げて聞こえる、あるいは当たり前のことのように感じるかも知れませんが、自然ではない要素はシミュレーションに含めるべきではありません。
原文:「This may seem ridiculous or obvious, given that it’s all artificial; but if it doesn’t exist naturally, then it shouldn’t be included in your simulation.

一見まともな文章なのですが、自分にとっては要点がとらえにくかったので、このように変えてみました。
すべてが人工的な物だと言うことを考えると、これは明白で馬鹿げたことのように見えますが、自然の中に存在しないならシミュレーションに含めるべきではありません。

この「自然なシミュレーション」の段落を最初から読んでいると、「ああ、要するにフィールドや他のツールを使ってコントロールするのは二の次だってことね」と思ってしまうかもしれません。
もうすこし説明がほしいと感じます。

というのは、これではフィールドや他のツールで追加するコントロールはすべて悪いように感じてしまいますが、それらが必要な事もあると思うからです。
それに「シミュレーション=自然」ではありません。
その間には大きな開きがあります。そもそも前の章でフルイドの説明をするときに、フルイドのアトリビュートは現実の要素に置き換えた物ではないと本人も言っています。

ここで本当に言いたいことを推測すると
フィールドや他のツールだけでコントロールするのではなく、「そのエフェクト」が本当の自然の中で起きているとしたら「どの部分が地形から影響を受け」、「どの部分が重力やそのほかのエネルギーの影響をうけているのか?」を見極めて、それを別の物で代用しないということだと思います。
例えば地形によって溶岩の流れが変わっているのをフィールドの力で曲げてはいけないということです。

これは結構重要なことで、この重要性の段階を理解することは、スキルアップに役立つのではないかと思います。自分なりに考えをまとめてみました。
目的のエフェクトを作る際に、
第一に、そのエフェクトをコントロールするために必要な力はどこから来ているのかと言うことを見極める。
第二に、それを地形やフィールドなどの要素に振り分ける。
第三に、フィールドではなくジオメトリなどの要素を先に操作し、フィールドなどは後で必要なだけ加える。

ジオメトリは、パーティクルのフローに与える影響としてはかなりの力を持った物で、それで大体の動きが決まってきます。
そういう意味ではまずジオメトリでできるだけ近似した動きがつくれないかを試してみるのは有効でしょう。



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砂場の床:プロジェクト「砂場」のステップ1で作ったジオメトリ「砂場」の箱のこと。
あえて「床」としているのは横の壁は理論上(説明上)無いものとして考えているためだと思います。


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翻訳:「影響を与えるマントルのオブジェクトと影響を受ける地殻のオブジェクトを作成します。

これは間違いではないのですが、原文ではオブジェクト名(「影響を与えるマントルのオブジェクト」と「影響をうける地殻のオブジェクト」)はそれぞれイタリック体(斜め文字)になって、強調されていることを補足しておきます。



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翻訳:「別のジオメトリを砂場に追加して、パーティクル層を成形します。」
原文:「Extra geometry can be added to the sandbox to help shape the particle layer.

「Can be」であることから可能性を述べており、そうすべきだと言っているわけではありません。
また「成形」は原文では「Shape」。意味としては「成形」でまちがっておらず「形を作り出す」という意味になります。
自分なりに意訳すると以下のようになります。
別のジオメトリを砂場に追加して、パーティクル層の形を変える事もできます。


さてここまででレイヤーはどうなっているかを整理しておくとわかりやすくなります。

上層:「プレーン」(次のプロジェクトで追加する) :地殻に相当
中間層:「パーティクル」部分  :マントルに相当
最下層:「砂場」の箱の床部分 :何の層かわからない、
ただの入れ物?マントル層は大きいので、その周囲のマントル層を省略し、そこからの反作用をこの箱で作り出すため?

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翻訳:「基本的なツールを使用してジオメトリを操作し、パーティクル層内で反応を引き起こします。
原文:「You can manipulate the geometry by using basic tools to provoke a reaction in the particle layer.

間違いではないのですが、「to」以後の文章がそれ以前の文章の内容によって意図的に行われていることを強調するには、以下の方が良いのではないかと思いました。
パーティクル層内で反応を引き起こすために、基本的なツールを使用してジオメトリを操作します。


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翻訳:「地殻の層(詳細なジオメトリの層)は・・・
原文:「The crust layer, or detailed geometry layer,

この部分は、そのまま訳すと「地殻の層、もしくは詳細なジオメトリの層は・・・」となるのですが、これだと二つの層があるように勘違いされてしまう可能性があります。
これは二種類の層のことを言っているのではなく、一つの層の呼び方を変えているだけです。
原文がそうなのですが、紛らわしい説明の仕方ですね。


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翻訳:「各要素は個別に変更され、前の層の上に積み重ねられます。
原文:「 Each element is modified independently and is built upon the previous layer.

「積み重ねられる」というのは原文では「built upon the previous layer」なのですが、
これは「その前段階をベースとして次の物が作られる(築き上げられる)」ことを表現しています。
ようするにある層のレイヤーが変化して,そのすぐ上の層の形状が変化することを言い表しています。

意訳するとしたら、このようになるのでしょうか?(ちょっと自身がありません。)
各要素は前の層の変化を受け、個別に変形します。


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翻訳:「このアプローチを・・・非破壊的な方法で・・・変更できます。
これは原文もその通りですなのですが、「非破壊的な方法」とは、シーンのジオメトリを作り直すことがない、もともとある物を削除、変更(すなわち破壊)することなしに、そのまま使うことができるということです。


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翻訳:「地殻をリジッドボディーの断片からnClothに変更して、コンストレインで結合している粉砕したサーフェイスにすることができます。
原文:「the crust could be changed from rigid body pieces, to nCloth, to a shattered surface held together by constraints.

微妙にわかりにくかったので自分なりに解釈したことを書いておきます。
コンストレインはnClothのコンストレインのことを示していると推測できます。
このたとえでは、先にリジッドボディー用の断片のジオメトリを作成しているようですが、それは通常個別の破片にわかれた個々のジオメトリからなります。

nClothでリジッドボディーをシミュレートする場合、自分の経験では、これらのジオメトリをマージして一つのオブジェクトにしてからnClothへ変更します。
なので「to a shattered surface」が「a(一つの)」と表記されている可能性があります。

もうひとつの可能性は(こちらのほうが可能性としては高いですが)一つのジオメトリにまとめないで、個々の破片をそのままnClothにしてしまい、それをnClothコンストレインで結びつけているということです。
ただ、コンストレインをそのような使い方で使ったことがないので、推測に過ぎ無いことをお断りしておきます。
もし、ご存じの方が居たら、ぜひ情報をお寄せください。


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翻訳:「シミュレートされた下の層は・・・
原文:「 the simulated bottom layers ・・・

間違いではないのですが、
シミュレート済みの下の層は・・・」にしたほうがピンとくるかもしれません。


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翻訳:「このように考えてください。
原文:「Think of it this way:

原文では最後は「.(ピリオド)」ではなく「:(コロン)」になっています。
よって、正しくは「このように考えてください」となり、これ以降の文章がそのことの説明であることがわかりやすくなります。


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翻訳:「最下位レベルを微調整し、それを高解像度のバージョンに適用することも出来ます
原文:「 finetuning the lowest level and then applying it to your high-resolution version.

「最下位レベル」とは「最下層」のことではなく、ローレゾのモデルのことだと思います。
ようするに最も低い解像度のモデルでシミュレーションの微調整を済ませ、それを高解像度のモデルにおきかえることができることを示していると考えれば理解しやすくなると思います。

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