日本に一時帰国する前に、ちょっとだけ触れておきましたが。
アイデアボックスのその後(審議会 配付資料)
結果から言うと、経産省のまとめを見る限り、審議会ではスルーされちゃったみたいですね。
まぁ、ここまで注目を集めているとそのままスルーはさすがにまずいと思ったのかレポートにはしっかり書かれています。
(これは狙い通りでした)
ただアイデアボックスの結果をまとめたレポートと、その後の審議によって出された結論との結びつきとスルーされた過程については全く不明です。
審議会が生み出した方針は、それはそれで良いと思いますが、CG業界の現場の改善には結びつくのだろうかという疑問は残ります。
まだ自分の中でも今回の件は混乱がのこっており、まとめきれないのですが、このまま風化させていくことは、せっかく支援してくれた人達にも申し訳ないので、なんとか整理してみました。
実際のところ、個人的には自分のペースで、アイデアを温めていくつもりで居ます。
「実際の処、成功する確率はあったのか?」
これは、正直その確率は低かったのではないかと思います。
アイデアボックスの開催期間の途中で、それがわかってきました。
その理由は以下をご覧下さい。
今回のこの計画を振り返ってみて、良かったところ悪かったところをまとめてみたいと思います。
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<<悪かったところ>>
1)ポイントが明確にまとめきれていない。
ポイントが明確なようですが、実際の処はっきりとしていませんでした。
そのため協力を呼びかけても長い文章を読まされることになり、わかったようなわからないような気持ちになった人は多かったのではないでしょうか?
今のところ、まだ完全にまとめ切れては居ません。
簡単に言えば私の現在の知識と経験では、手に余っています。
2)経営的立場からの考察が不足していた。
インターネットから集めた一部の情報に基づいており、基本的にどれだけの収入もしくは、潜在的な収益につながる利点があるのかがわからないままでした。
アイデア自体は経営に関する事です。
なので、もっと会社を運営する立場に立ち、数年後、10数年後の国益を見越した上でのプランがなくては、説得力がありません。
3)客観的な情報の不足
アーティストとしての経験しかないために、集める情報にもバイアスがある程度バイアスが掛かっていたと思います。
4)具体的な情報の不足
金額、工数、税率、プロダクションにおける効果と、社会における経済波及効果が明確でない。
経営的立場に立ったとき、一つの問題提起としては興味深いが、現実的ではないという判断の理由として具体的な数値がなかったことが上げられます。
これは説得力に欠ける大きな原因です。
ただ各プロダクションでベールに包まれた部分の情報でもあり、集めることはできませんでした。
5)協力を生かし切れなかった。
アイデアボックスがすぐに始まったこともあり、協力を得るために情報を集めどんな協力が欲しいかを具体的に考える暇もありませんでした。
せっかく多くの方に協力を申し出ていただいたにもかかわらず、お願いできたのはアイデアボックスへの応募のご協力だけでした。
いいわけになりますが、上記のこと多かれ少なかれ最初に経産省へメールを出した時点でわかっていたことです。
元々、経産省から、すぐに返事は来ないだろうと思っていましたので思いついてすぐに経産省へメールを送りました。
経産省からちゃんと返事が来るまでには時間がかかるだろうし、数回は無視されるだろうと思っていたので、その間にじっくり時間をかけて、もう少しプランをしっかり立てて行こうと思っていました。
そしてそれには早くて半年、長ければ1年掛かるだろうと思っていました。
しかしながら、思った以上に早くレスポンスがあり、間髪入れずアイデアボックスという場がすぐに開始されてしまいました。
CG以外の会社に勤めたことがある人はわかると思いますが、これは会社の改善策もしくは新しい経営内容です。
会社が新しい仕事に手を出したり、現状を改善するのは非常に慎重で、思いつきで動くことはありません。
念入りに調査され、プランが建てられてから実行されます。
よほど経営者や上の立場の人の理解が無い限り、一社員のアイデアはレポートとしてまとめいてもなかなか受け入れられることはありません。
かなり理解してくれる人が上にいるなら、アイデアをだせばそのアイデアの可能性からいろいろと調査などを始めてくれることもあるかも知れませんが、早々ある物ではありません。
アイデアボックスの開催期間の間にも、いろいろと学んだ事はありました。
まず経産省に出したアイデアはそのまま経産省で検討されるのではなく、産業構造審議会を通して検討されると言うことです。
その審議会のメンバーは大手の会社や、大学の偉い方々です。肩書きも会長とか教授とかつく方々です。
そして具体的なメンバーを見ていただくとわかりますが、CG業界の人はいません、コンテンツとかコンピュータ全般に関する事。すなわちもっと儲かる大きなお金が動く分野の人達です。
言いいつ関係がありそうなのは角川グループの会長ぐらいでしょう。(コンテンツ産業という意味で)
情報経済分科会委員名簿(pdf)
こういった方々は、CG現場のことはおろか、プロダクションの内情までは、おそらく知らないと思います。
そして問題を提起し、その改善策をしめしても、具体的な数値がなければピンと来ません。
ましてそれらがすべてかなったとしても、公共の利益における厳密な判断をまかされている以上、おいそれと安易な結論には至れません、ましてや冒険は御法度でしょう。
失敗すれば国民から非難されますので、それには慎重であると思います。
そうすると、各メンバーの立場から、自分にとってリアリティーがもてる範囲内で、無難な線を選び出すことになるでしょう。
個人的には、アイデアボックスに出された意見は、審議会の委員の考えと認識に部分的にでも一致しない限りは、審議を通ることはないと思います。
今回の審議会の結論も、従来からある「コンテンツ産業の振興」が中心で「日本のコンテンツを世界に広める」という方向性も変わっていません。
少し違いがでてきたとすればアジア諸国を取り込み、協力体制を整えていこうとする動き画見えてきたことです。
私は、これを経営者的立場からの判断と思考であると捉えています。
これらすべてのメンバーの心理的な障壁を克服し、案を通すには、今回の案は力不足でした。
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<<良かったところ>>
1)経産省への道は開かれていることがわかった。
アイデアボックスの結果は残念でしたが、これですべて終わりというわけではありません。
経産省で対応して下さった方は、理解を示して下さり、きちんと対応していただけました。
経産省へ声を届けることは、たった一人の人間からの行動でも可能であることがわかりました。
そして耳を傾けてくれています。
アイデアボックスは「ガス抜き」だという批判も聞かれますが、私はそうは思いません。
署名を集めたり、グループなどからの提案、また有識者も含めた、練りに練った提案書であれば、また違う反応も引き出せる可能性があります。
2)同じ意見を持つ人が沢山いることがわかった。
この意見に賛同してくださった人だけでなく、同じような意見をもっている方にも合うことが出来ました。
そしてアイデアボックスを通して、様々な人の意見を見ることができました。
ほんのわずかな間でしたが、日本や海外で働いている人も含めて、同じ方向へそろった力を垣間見ることができました。
これが、うまく一つにまとまって動けば、かなりの力になると思います。
アイデアボックスでは、一番注目を集めたアイデアとなりましたが、これも今回、みなさんが力を合わせたからできたことで、これはすばらしいことだと思っています。
これからも、日本や海外とわず、一つにまとまって意見交換できるような場があると、もっともっとすばらしい力になっていくと思いました。
3)経済波及効果に注目すべき事がわかった。
経産省のやりとりでわかったのは、あちらが気にかけているのは経済波及効果です。
ようするに、いま援助することで将来どれだけの見返りがあるかということです。
これには、将来国内に蓄積されるノウハウなども含めて考えて良いとは思います。
会社の運営には関係ありませんが、国を動かすにはこのポイントに注意する必要があります。
4)アイデアボックスで審議会の注目を集められることがわかった。
アイデアボックスではもっと一般に広く注目を集めた提案もたくさんありましたが、「ハリウッドVFX」が一番おおくの注目を集めたのは、他の提案者にはない活動をしていたからです。
アイデアボックスで注目を集めることは審議会のメンバーに目を通してもらうことにつながります。
もしかしたら今回えられたものでこれが一番、大きな成果だと思います。
審議会でも、なぜこんなアイデアが出てきたのかわからず面食らった人もいるでしょうし、まるっきり話題集めのアイデアとしか見なかった人もいるでしょう。
でも目にとまったことは確かです。
繰り返し、目にとまるとこで、だんだん真剣に考えてもらえるようになる可能性もあります。(何年かかるのか?w)
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<<これから>>
まず、やっていこうと思っていることを上げてみます。
1)経営に関して学ぶ。
MBAを取得するとまでは思っていませんが、概略は理解することで、どんな資料を集めるべきなのか、どんな数値をみつければいいのか、そして得た情報をどのようにまとめれば説得できるのかということが見えてくるのではないかと思います。
提案書や、レポートのまとめ方など、具体的なサラリーマンとしての活動も含めて学ぶ必要があるかもしれません。
2)VFX/CGプロデューサー/スーパーバイザーの仕事について学ぶ。
これにより、具体的にどのような数値が存在し、それがどのように会社の運営と利益に結びついているのかを見ることが出来るようになるのではないかと思います。
とくに具体的に量ではかることが難しい仕事ですから、このあたりは重要だと思います。
それに専門的立場から意見を述べるには、アーティストとしての作業だけでなくプロデューサーの立場からお金の流れとアーティスト全体の動きを理解しておく必要があります。
3)人脈を作る。
上記の知識をより生きた物にするために、そういった立場の人と知り合いになりいろいろと勉強させてもらう必要があります。
理論を立てるのはさほど難しくはありませんが、現場に即した物でなくてはなりません。
現場に即した物にするには経験がものを言います。
短い期間で、生きた知識を得るには経験者から学ぶ必要があります。
この場合の経験者とはプロデューサーや会社経営者です。
4)具体的な数値を得る。
どんなプロダクションでも収益に関する工数や金額は、トップシークレットでしょう。
そのため、具体的な数値はベールに包まれています。
こういった統計情報を、どのように得るかは、これからの課題でしょう。
映画の興行収入は一つの目安ですが、それは映画全体に関係することです。
5)英語を勉強する。
英語がもっとできないと人を通して情報を集めることも出来ず、インターネットでも有益な情報を見過ごしたりします。なので英語力は必要がもっと必要です。
6)上記の事を通して具体的なアイデアを練る。
来年のアイデアボックスを通してだすのか、それとも違う方法でアプローチするのか?
それとも国を頼らず、自分達でなんとかしていくのか?
やるべき事が、たくさんあるので本当に出来るのかどうかはわかりませんが、できるところまでやってみようとは思っています。
この過程で、知り合った方々と何か一緒にやっていけたらとも思っていますし、もっともっと活発な活動に変えて行けたらとも思っています。
また自分の考えに固執するつもりもなく、もっと良いアイデアがあれば、どんどん改良していきたいと思っています。
最後になりましたが、ブログ:「そこ、つっこみ処ですから」のエントリ「クール・ジャパンのマヌケ」でも今回の件に触れていただいていますのでご紹介します。
2010年5月11日火曜日
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個人的には大変意義のある事だったと思います。
返信削除僕も何かしら協力できることがあれば、ご協力させていただきます。
こんにちは。
返信削除結果は同あれできる限りがんばったので、そういっていただけると報われます。
またご協力の意思表明ありがとうございます。
同じような意志を持った人は多いので、みんなで何かやりたいですね~。