日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年7月30日金曜日

新しい技術、ソフト

シーグラフの話題は、ここかしこで見られるようになりましたが。
自分の中で、いくつか気になったことをまとめておきます。


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「GPUアクセラレーション」
とりたてて、新しくはないのですが、通常利用の段階になっていると考えて間違いなさそうです。

すでにCGソフトや、プラグインでもCUDAを利用する物はありますが、そのうち主要なソフトのシュミレーションやリアルタイムレンダリングソフトもどんどん一般的になりそうで、あと数年もすれば中小企業もその恩恵を得ることができるように思います。

会場では見ていませんが、The Last AirbenderのエフェクトでILMはQuadroを使ったGPUアクセラレーションを使ったとのこと。


炎、雲、砂嵐、衝撃波、土などを10-15倍の速度で高速シミュレーション。485のエフェクトシーン。

使用ソフトは、
Plume(インハウス・ソフト):GPUベースの流体シミュレーション
Mental ray
Renderman
Maya(アニメーション)
Nuke
Zeno(インハウス)
Saber(インハウス)


他に、GPUレンダリングがありますが、これは以前からちょくちょく取り上げているので、今回は省略します。




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「ICE」と「Lagoa multiphysics」
ブログ「コピモ」さんをみればLagoaで何ができるのか一目瞭然。

ICEは「インタラクティブ・クリエイティブ・エンバイラメント)の略で、ソフトイマージュXSIのプラットフォーム(?)で、
ノードベースで、様々な機能を使うことができるもので、拡張性もあり、マルチコアにも対応している。

日本のCG関係者の間でも、HoudiniかICE(Softimage)か?という話が頻繁に出ており、ことLagoaが発表されてからはその能力の高さから、一気に注目が集まった。

これだけなら、まださほど驚くことではないのだが、シーグラフの「Autodesk Entertainment Creation Suites Premium」では、Mayaか3dsMaxをメインにして、SoftimageとLagoa Multiphysicsがついてくる。
先日Illuminate Lab社がAutodeskによって買収されたが、その一番の商品であるTurtleもついてくる。
将来的にはTurtleは組み込まれるとのことで、いよいよMaya標準レンダラーの入れ替えが始まるのかと邪推してしまう。

話が少しそれてしまったが、このクリエーション・スィート・プレミアムでは、Mayaya3dsMaxと相互運用が可能となっている。
Iceのエフェクトを、Mayaや3dsMaxに移送可能だという。

FBXファイルの技術を使うのかどうかはわからないが、Mayaで作ったアニメーションやジオメトリキャッシュしたものを簡単にSoftimageに持ち込めるなら、エフェクトのみにICEをしようするという使い方もできる。
どれほどの安定性があるのかはわからないが、このLagoa Multiphysicsが使えるだけでも、かなりのことができる。
特に中小系のプロダクションは重宝するように思う。

最近はハリウッドではエフェクトにHoudiniを使うところが増えている。
特にエフェクト系はプロシージャルな操作が必要とされ、それらをノードベースで操作できるHoudiniはMayaよりも簡単な操作で作れる物もある。

Mayaはノードベースだが、そのアトリビュートを駆使してGUIによるノード操作だけで、複雑な物をつくるのはほとんどできない。
いわば、この部分がMayaの弱点でもあり、Houdiniに市場を奪われつつあるDiscreetが市場の巻き返しを図ろうとしているのかもしれない。

今回の、パッケージに組み込むやり方が、将来的にICEをMayaなどに組み込む布石となるのかどうかはわからないが、これはかなり強力な組み合わせだ。

まだHoudiniも満足に使えないのに、他のことに手を出すのはどうかと思うが、Lagoa Multiphysicsはすぐにでも使ってみたいと思わせる魅力に満ちている。



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「PTex」
PTexはディズニーが開発したもので、今年1月15日にはオープンソースとして公開されていた。
レンダーマン(PRMan15)ではサポートされ、今年5月25日には、3D-Coat v3.3でサポートされていた。

そして、今回のシーグラフで発表されたhoudini11でもPTexがサポートされた。
(動画: シーグラフ2010 PixarによるMudoboxとPRManを使ったPTexプレゼンテーション

AutodeskでもMudboxのアルファバージョンでPTexのデモを行っており、将来はMayaなどもPTex対応となるだろう。

大注目のテクスチャーペイントツールMariでもサポートされる予定で、もうUVに悩まされずアーティストの作業に専念できるようになりそうだ。

これで、Mariでテクスチャ作成に、UV面に関してはPTexで、革新がおきると思って間違いないだろう。



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「Alembic」
ILMとSPIによるオープンソース・パイプライン・システム
詳しくは、Memlogさんとますおさんのブログに書かれているのでそちらをご覧ください。

大手のプロダクションなどでは、シーケンスOBJファイルなどを使うということもよく聞きます。
ますおさんも書かれているように各社独自の方法を使っているようです。

先日、中規模のプロダクションで作業したときには、ジオメトリキャッシュを使ったのですが、
純粋なジオメトリは別に保存し、レンダリングファイルを作るときにそのきれいなジオメトリを読み込み、ジオメトリキャッシュを使うという方法でした。

こうするとレンダリング時に不要なエラーに悩まされずにすみます。
一手間かかるのですが、確かに安定して作業ができ、不要なエラーを処理する必要がなくなります。

Alembicが簡単に使えるようになればよいのですが、各社で独自のソフトを作る必要がある場合は、中小プロダクションにとっては、もしかしたらジオメトリキャッシュのほうが簡単かもしれません。

しかし、将来的には、Alembicも簡単に使えるようになれば、もっとやりやすくなるような気がします。




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それにしても、最近はアーティストは技術に悩まされることなく、アーティストとしての作業に集中できる環境がますます整ってきたように思う。

いいかえれば、習いたての人でもそこそこの物が作れるようになってきたということだ。
いままでは、長年の経験を生かして同じエフェクトでも早く結果を出したり、より複雑なエフェクトをつくってきていたわけだが、そういうことが通用するのも、時間の問題かもしれない。
言い換えれば長年の経験でも無用の長物となる部分が出てくると言うことになる。

これは、給料の低下につながるし、アウトソーシングも助長するかもしれない。

反面、アーティストはCGよりも、ますますアーティストとしての能力が問われることになり、作られる映像の質も妥協が許されなくなってくる。


ソフトはますます簡単に、ハードはますます早くなる。
おそらく、Zbrushでハイレゾ・モデリングのやり方が一変したように、これから1~2年で他の分野も新しい方向性が確立してくると思われる。

なんかついていけてないような気がする。

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