日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年5月4日火曜日

DDのFXアーティスト募集から推測するLAポスプロの傾向

昨日に引き続き、DDの人材募集がポストされた。
FXアーティストは昨日は含まれていなかったが、今回はMayaとHoudiniのFXアーティストの募集だ。
ただしバンクーバーのみ。

<DDの方針か?>
これでDDの方向性が少し読めたように思える。

以前、これからはLAではTDレベル以上でなければ仕事が無くなるのではないかと思って書いたことがある。
要するに、コンセプトやパイプライン作りと言ったコアな部分をLAが受け持ち、人海戦術でなんとかなる部分、ようするにアーティストの部分は費用が安い海外へまわす方法だ。

DDは昨日の人材募集に先立ってFXTDを募集していた。
それに加えて昨日もFXTDを募集しており、そしてやっと今回のFXアーティストの募集となった。
これはまさにそれを裏付けるような形になっているのではないかと感じている。
これからはさらにそれが先へ進み、TDでもよりアーティストに近い立場で働く人達は、どんどんカナダに移されていくように思う。
なぜならそれが一番効率がよいように思うからだ。
TDとアーティストでわかれているよりも、
アーティストとTDが同じ場所にいて、コアなTDはLAにいればTDとTDのやりとりですむので、事がスムースに運ぶ。
ご本人に確認したわけではないのですが、先日のDDのTDマスオさんの出張とはこのようなプランに基づく物で、現地のTDの教育(OJT)のためではなかったかと思う。

これはまったくの私の推測であり、確かな情報に基づく物ではない。
マスオさんのブログを引き合いに出していますが、マスオさんに確認した物でもないことを、重ねてお断りしておきます。

DD以外の場所、たとえばR&HやSony,Dreamworksといった会社ではまだアーティストの募集もしていることがあるので、これがすべてのスタジオがすぐにとる手段ではないかも知れません。
おそらくDDはフトコロ事情から、こうせざるを得なかったのだと思います。
ただSonyもTDに関しては、似たような傾向を聞いたことはあります。


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<失われるチャンス??>
昨今のアウトソーシングにより、アーティストレベルの仕事が極端に少なくなってきた。
これは、仕事が減っただけでなく成長するチャンスさへ失われたことになる。
ロンドン、カナダ、オーストラリアといったところでは仕事がたくさんでき、どんどん人材を募集している。
どんどん募集していると言うことは人材が足りないと言うことであり、受け入れるレベルの幅も多少緩くなっている可能性もある。
そのような状況では、あまりスキルや経験のない人間でもチャンスがある。
そしていったん採用されれば、なんとか経験を積むことができ、次の仕事につながる。
これはまだ卒業したばかりの人や、私のようにTV業界から映画業界へ転身しようとする人間にとってはデモリールに載せられる作品を仕事を通して得ることができるので時間の節約になるばかりでなく、厳密なスーパーバイズの元に作られた作品なので、質も高くなり非常に助かる方法でもあった。
実はこれは、2~3年前まではLAで普通にできたことだが、最近は難しくなってきたように思う。
これが意味するのはLAでチャンスをつかもうとするならば、もはやプロダクション経験を積むことを主体にしていてはいつになるかわからないと言うことである。

この業界は実力が全て、自力で勉強して自力で作品をつくればチャンスは作る事ができる。
ただ、そのためにいままでよりも時間を割く必要がある。

先のDDのようにTDといった、よりコアな部分での人材もそのうちアウトソーシングされていくのだろうが、まだそれには時間が必要なように思う。
こういった状況下は、日本のようにジェネラリスト、しかもスクリプトに強い人達にはまだチャンスがあると言えるのかも知れない。

そして、これは全くの想像だが、おそらく5~6年すればロンドン、カナダ、オーストラリアなども状況が変わって、LAの後を追い始めるかも知れない。
業界が成熟するのはLAの業界が成熟した速度よりもかなり早いだろうし、インドや東南アジア、中国、メキシコを初めとする南米諸国といったCG新興国がどんどん追い上げてくる。
それを考えると、今は経験を積むには非常に良いチャンスであり、最後のチャンスかもしれない。
そして10年後には、ロンドン、カナダ、オーストラリアも今のLAと同じ状況になっている可能性もないとはいえない。


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<中規模プロダクションはMax好き?>
DDと同じ日にHydrolxがFXアニメーターを募集していた。
応募しようかと思ってよく読んでいたらなんと3dsMaxとMayaの両方が使えるアーティストの募集だった。
最近はPixomondoやScanlineというような中規模の会社は、エフェクトに3dsMaxを使うところが増えてきた。
多くの方が知っているように、3dsMaxのプラグインは優れた物が多く。
Mayaほど苦労をしなくても簡単に見栄えのするエフェクトが作れるようになってきた。
しかも、最近は映画につかっても見劣りしない物がつくれるようになってきた。

Houdiniを使うスタジオが増えてきていることは、以前のエントリでも触れたが、

DreamworksもエフェクトはHoudiniへの移行を測っており、これからは
大手=Houdini
中規模=Houdini/3dsMax
という棲み分けになっていく可能性も出てきた。
そうするとMayaの立場はどんどん薄くなっていきそうだ。
これからはHoudiniだけでなくMaxも使えないとLAでは生き残れないかも知れない。

英語も駄目、CGにおける背骨もしっかりしていない自分のようなアーティストは生き残れるのだろうか??


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<何をすべきか?>
過渡期であるので、これからもいろいろと状況は変わっていきそうだ。
しかし、多くの人が期待しているような在りし日のLAに戻ることは、これまた大部分の人が心のどこかで覚悟しているとおり、戻ることはないだろう。
これはいくらよくなることを期待しても、そうはならないことの一つだと思う。
LAにいつづけるなら縮小/濃密かしつつあるこの業界に対応しなくてはならない。
望みの薄いことに期待し続けて待つのではなく、今は、それを乗り切るためにエンジンを吹かし続けるほうが得策だろう。

映画スタートレックの最後でエンタープライズがブラックホールに吸い込まれそうな状況だ。
燃料投下して爆発の力を借りてこの危機を脱出するしかない。

より具体的には、自分を成長させる速度を上げ、その方向性を適切な方へ持っていく必要がある。
成長させる速度を上げるには、英語とCGの勉強を熱心にすること。
方向性を見極めるには、アンテナを広く巡らせてLA他社の傾向を知るようにすることだ。

2 件のコメント:

  1. この流れに恐怖する者の一人ですががんばって勝ち残りましょう〜。

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  2. hajimeさん、コメントありがとうございます。
    なんとか生き残りたいですね~。お互い頑張りましょう!!

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