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2009年11月2日月曜日

Avatorの映像と通常の映像の違い。

(2009/11/4 22:28 追記)

Avatorのトレイラーをみていると、どうしてもゲームのような印象をうける。
新しいトレイラーはコンプも調整されてよりよくはなっているが、なにか普通の映像との違いを感じる。
細部まで、作り込まれているだけでなく、細かなところ、遠方までけっこうはっきりと見える。

場面によってはパンフォーカスという解釈ではきかないほど、空気の揺らぎや大気によるブレも抑え気味だ。
とくに広い風景をみせている場面ではそれを感じる。

実際の映画を見たわけではないし、立体映像でもないのでなんとも結論をだすには早計かもしれないが、どうしてもその意図がしりたく推測してみた。
個人的な推測に過ぎないので、まったく違う可能性もあるし、単にに深読みし過ぎている可能性もあることを先にことわっておく。


まず、最初に思い浮かぶことは、これが立体映像を前提として、作られているということ。

遠方でも細部まではっきりと見えるのは、この映像を二次元の画像としてみているからで、
これを立体映像に置き換えた時にはちょうどよくなるのかもしれない。

もしかしたら、まるっきり逆で、キャメロンが異世界を堪能してもらおうと、細部まで作り込んでいるだけの可能性もあるが、その可能性
はわきにおいて考えをすすめてみる。

被写界深度によるブレはCGでも奥行き感をつくるためによく使われる手法だが、これはあくまでレンズを通してみたときの効果で、人間が肉眼でみているのとは、若干ちがってくる。

そのため、不自然さがあるが、二次元画像としてみているせいか、見慣れているせいかさほど気にならない。

しかし、同じ画像を立体映像でみると、ボケが気になってくることがある。
もっとそのあたりをクリアにみたいのにボケぐあいがかわってくれないというような感じ。
より体感を高めてくれるはずの立体映像という手段が、不自由さを際立たせるほうこうへ働いてしまっている。


人間が景色を見る時、その注意を置く場所によって、焦点に合いかたがかわってきてぼける場所もちがってくる。
注意を向けてないところはぼけており、それまでぼけていたところに注意を向けるとフォーカスが合う。

もしかすると、立体映像の効果を十分に得るには、その自由度が必要なのかもしれない。
そしれそれは、臨場感を高め、より空気感を感じることに関係しているのかもしれない。

キャメロンはAvatorはいままでの映像体験を大きく変えるものだと言っている。

もし上記で述べたことがあたっているなら、映画づくりがただの映像を見せることから、
環境を再生するという視点で作業するようになっていくといってもいいのかもしれない。

ただ立体で見せればいいというのではなく、そのあたりも計算し尽くされた映像だったら、たしかに映像体験はかわってくる。
自由の効く空間に自分が入り込んだように感じるだろう。


そしてその自由度を得るためには、ぼやけた個所を少なくし、細部まで作り込む必要がある。
それを平面の映像でみると、通常よりもパンフォーカスでクリアに感じるのだろう。
そして、細部まで作り込まれている画質はそれをよりいっそう際だたせる。

これはコンピュータは、ピンホールカメラの原理と同じで、被写界深度がない状態なので、そのままではすべてにフォーカスがあっった画像になる。
ゲームの画面は、それに該当し、上記の理由からAvatorの画像も似た印象をうけるのかもしれない。

(2009/11/4 22:28 追記)
映画アバター公開記念として、Avatorのプロデューサー ジョン・ランドー氏との対談がMSNに掲載されていた。(リンク

この中で、ジョンが印象に残ることを語っている。

「テクノロジーは三番目に重要な要素だね。物語、キャラクターと演技、それからテクノロジーだな。 」

VFXはテクノロジーに含まれるとういことかなと思った。
VFXは、物語や、キャラクターや演技に色を添え、より物語をわかりやすくするための技法だ。
「技法」ということは英語で言えば、「テクノロジー」という解釈でいいのだろうか。

ジョンはテクノロジーが無用とはいっていない。むしろ重要と言っている。
しかしながらそれは三番目の要素だと語っているのは、VFXアーティストとして心に留めておくべき事だろうなと思った。

最近は、「物語、キャラクター、演技」をさほど助けてないVFXが多すぎるせいか、映画をみていてもあまりおもしろいと感じる事が無い。
本当におもしろいと感じるのは数年に一本あるかないかという程度か。
まぁそれは年を取りすぎたと言うことかもしれないが、やはりVFXアーティストとして、VFXが映画全体でどのような役割と位置づけをもっているのかを正確に理解して仕事をする必要があるとは思っている。
まぁどちらかというと、監督や、プロデューサー、スーパーバイザーがそのことを理解しておかことのほうが重要だが。
彼らがそのことをわきまえていない作品はやはりおもしろくないし、そのような作品にかかわって、働いていてもおもしろくない。(全くおもしろくないというわけではなく、どこか気乗りしないような釈然としない感情がのころという感じ)

VFXを最大の見せ物として作られた映画は、すでに誰もが知っていることだが、ただそれだけのことだ。

やはり将来は、ちゃんとした作品にかかわりたい。
 
  

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