タケチューさんのブログ「CGトラッキング」で、当ブログのエントリ「日本でハリウッドVFXを製作:経済産業省へ意見提出」を取り上げていただきました。
文才のない、私の意見書では、今ひとつ伝えられた自信がありません。
具体的な収入などの数値もないので説得力に欠けてます。
ぜひそのあたりの事情に詳しい方からも経済産業省へ意見をお願いしたいところです。
日本でVFX事業を活性化させるには、
●税優遇措置
●政府による資金や利便性の支援
が柱となると思います、また
●アーティストの育成とパイプラインの構築
●そのために経験者のノウハウを取り込む
●腕の良いプロデューサーや海外とのやりとりを行う人
なども外せませんのでやることは山ほどあり、多少現実感に欠ける部分はあります。
しかし、現実に妥協していてはなにも始まらないのも事実です。
きっかけとなったのは、LAで仕事が少ないのに、新作映画がどんどんつくられていることに気がついたことから始まりました。 またインド、中国などへのアウトソーシングにより、職を失う人の話も聞きました。
アメリカでVFXの仕事が流出する理由は二つです。
1)他国の税優遇措置
2)アジア圏の安価な人件費
ピクサーやデジタルドメインをはじめとして大手のプロダクションがアメリカ国外に支部を作るようになりました。その多くはロンドンやカナダを選び、一番の理由は「税優遇措置」でした。
ロンドンは物価が高いことはよく知られていますが、それでもロンドンは仕事をたくさん獲得しています。
(参照エントリ:イギリス経済の現状はどうなっているのか?)
なぜ、それほど「税優遇措置」が強力な影響力をもっているのでしょうか?
そこで、まず「税優遇措置」とは何か?という疑問をクリアにするために調べてみました。
(それは「エントリ:税優遇措置とは(まとめ)」にまとめてあります。)
では、アジア圏の安価な制作費はどうでしょう?
これに関しては、日本はその競争にはいることは避けた方が良いとは思います。
まともぶつかっては勝ち目はありません。
しかし「インド、CGアニメ産業アウトソーシングの拠点に」(WiredVision)にあるように
すでに2004年には競争が激化していました。
かれらもいまやそれなりの質を作り出せるようになりつつあり、ハリウッドの仕事をとっていくようになっており、価格もあがりつつあり、競争のレベルも変わりつつあります。
(参照ブログ:インド映画に使われる特別効果VFXについて)
参考:上昇するインドのアニメーション産業 (VOICE OF INDIA)
また中国やシンガポールもこの市場に食い込もうと躍起になっています。
エントリ:中国のVFX事情
HP:「平成19年度 中国地域におけるアニメ等コンテンツを活用した 地域振興方策の実証事業」
エントリ:シンガポール 世界の頭脳を呼び寄せろ
HP:Lucasfilm Animation Singapore研修生募集(withD)
HP:スペシャルセッション "Transformers": Giant Frickin' Robots (シーグラフ2007)
このように今やその制作作業が世界中で行われるようになったハリウッド映画ですが、CG先進国の一つのはずである日本はその枠から外れたままのように見えます。
ハリウッドで活躍されている日本人は多く、トップクラスに近い地位に居る方も少なくありません。
これは、潜在的には日本人の力量は、ハリウッド映画の制作に参加するには十分であることを示しています。
にもかかわらず、日本では、活躍の場が少なく、多くのアーティストがハリウッドで映画に関わることを望んでおり、優れた人材がハリウッドへと流出する結果になっています。
経産省は、アニメに関しては危機感を感じており、「コンテンツ」を作る/売るという方針を出しています。
しかしながら、作品作りと言うよりも、作品作りの一躍を担うVFX業界やCG業界という考え方は焦点から外れており、日本のVFX産業は、世界のVFX産業から外れたままのように見えます。
すぐれた人材を日本にとどめ、アーティストのやる気を盛り上げ、かつハリウッド映画の潤沢な予算を取り入れて外貨も獲得する。
そのためには顧客であるハリウッドの映画制作会社に魅力がある「税優遇措置」が不可欠ではないかと思います。
ハリウッド映画のVFXを日本で手がけることができるようになれば、その政策パイプラインや考え方も取り入れることが出来ます。
世界市場を考慮に入れたパイプラインを国内に構築することができれば、コンテンツ産業を発展させることにも役に立ち将来への布石にもなると思います。
(参照エントリ:NHKスペシャル 第2回 日本アニメ vs ハリウッド)
また政府による支援やその他の優遇措置がそれに拍車をかけます。
そしてシンガポールのように海外から優秀な人材をよびよせることで、日本にないノウハウを取り入れることができます。
市場が大きくなり、ハリウッドと互角にやり合うようになれば大きなプロダクションを日本に作る事もできるようになるかもしれません。
そしてすべてにおいて政府の支援が必要です。
参照:DIGITAL CONTENT EXPO 2009の人材育成セミナー
最後に、経産省に関する最近の活動を書いた記事へのリンクで締めくくりたいと思います。
経産省 3DCGの制作者育成へ 日本アニメ 地盤沈下に危機感
経産省も拡張現実を夢見る!? 10年で5兆円の成長を目指すコンテンツ産業戦略とは
平成21年度「アジアコンテンツ人材ネットワーク構築事業(アニメ産業コア人材育成事業)」に係る委託先の公募について
経産省がアニメ制作の下請け取り引きにガイドラインを策定へ
アニメ・ゲームの海外展開、経産省が支援検討
経産省、ネットに作品公開市場――アニメなどの制作者発掘
アニメなど世界へ 経産省が研究会
日本のアニメは本当に世界一? 本気の世界戦略が生き残りのカギ
コンテンツグローバル戦略報告書(PDF)
また、この件に関して、私へ質問や、ご意見があるかたは左のメールフォームからメールをおくっていただくか、ブログのエントリにあるコメント欄からメッセージを送っていただけます。
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