日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年2月20日土曜日

日本のアニメ業界に関すること

元情報:アニメのビデオソフトの売上がどのように減少しているかをまとめてみた(白石運送)


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まずブログ「longlowの日記」より
アニメのビデオソフトの売上がどのように減少しているかをまとめてみた

ここで興味深いのが日本のアニメと海外アニメの売り上げの違い。
年によって、5倍から18倍と違いはあるが、いずれも日本アニメのDVDの売り上げが海外作品を上回る。


これはDVDの比較だが、日本での歴代映画興業成績(Wikipedia)をみても海外市場との差がはっきりしている。

全世界でアバター以前に一位だった「タイタニック」(262億円)でさえ、「千と千尋の神隠し」(304億円)に大きく差をあけられている。
全世界でタイタニックを抜いたアバターも日本では全く違う様相を見せるだろう。
参照:シネマトゥデイ
参照:アニメ!アニメ!

本当に日本市場という特殊性を感じざるを得ない。
 これとは逆に海外市場では見向きもされない、もしくは敬遠されるものも多いはずだ。
一時期話題になったパンツが空を飛ぶアニメはこちらの人間には奇異な目でみられ、日本人=変質者的な印象をもたらしている。
同じスタンスで作られた日本アニメが多いのも事実だろう。
これは特殊な例かもしれないが、より一般的なアニメに対しても当てはまる部分はあるかもしれない。 現在、日本で作成したアニメを海外へ輸出することをねらいとした動きがあるが、将来、日本だけで企画、製作した場合にどこまで世界市場へ入り込むことが出来るのかは、わからない点が多いように思う。(まぁ無難なところから始めるんだとは思うが)


話を戻すが、上記の表を見ると、以前から言われているように日本国内向けと海外向け(主に北米対象)ではうけるものがかなり違うのだと言うことがわかる。
まぁ生活習慣のちがい、育った環境の違いからリアリティーがもてる部分が違うのだから当然だろう。
上記のシネマトゥデイでも言われているように、小さい子供をつれてみせることができるということも大きく影響しているのだろうが、それだけではないような気もする。
おもしろいと思ったのがハリー・ポッターが上位にあること。
ハリーポッターはイギリスを舞台としており、イギリスの作家によるものだ。
イギリスに住んだことはないので推測になるのだが、日本人の好む傾向としてはアメリカよりもイギリスのもつ雰囲気が強いように思う。
これは服装や、デザイン、観光地、料理と全般的に言えるように思う。
もしかしたらそのあたりがハリー・ポッターが好まれる傾向に貢献しているのかもしれない。


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次に「切込隊長BLOG」
アニメ市場の縮小について→ヲタ市場の飽和と分散


「違法動画うp問題」について
アメリカでは劇場映画が、違法アップロードに関係なく観客動員数を増やしているという調査結果もあるとどこかで読んだ。
これは、やはりハリウッド映画の大作は劇場の大きなスクリーンで見たくなるからだという。
ハリウッドの大作アニメーションは、CGで作られているが、そのテクスチャーや質感は、非常に繊細な部分にまで気を遣ったもので、われわれCGをやっている人間が見ると1フレームでみても、その出来映えにはため息がでるほどのものがある。(日本のCGアニメ「ファイナルファンタジー」(Youtube)でもそうであった。)

最近のクリスマスキャロルなどをみると毛穴の質感まで伝わってくるほどだ。アバターにいたっては、IMAXと通常の劇場でもジャングルに飛び交う小さなほこりが見える見えないなどの違いがあるという話も読んだことがある。
一般的にはどうかわからないが、自分はこの質感をたのしむために、できるだけIMAXでみるようにしている。
(ちなみに、劇場に足を運ぶのは2~3ヶ月に一度)
こういった小さなデティールは小さな画面ではつぶれてしまって見えなくなるからだ。
個人的な感覚では立体映像は実際の画面サイズよりも小さく感じるので、立体映画が増えるとこの傾向は強くなるかもしれないと思っている。
しかし、こうしてみると、日本のアニメは(3DCGソフトを使ったアニメに対して)まだまだ2Dが主流。
セル画アニメーションの質感では、スクリーンサイズが大きくなっても見えるのは大きくなったノイズだけでは、劇場へ足を運ぶ楽しみは音響効果だけになってしまう。
最近は、PCでも音響は良くなっているので、そうなると劇場へ足を運ぶ意味が半減してしまう。
要するに違法動画問題に対抗するだけの力を持っていないということになる。


「売上金額」について
製作者にお金がおちてこないというのは気になるところだ。
ハリウッドのアニメーション製作会社ドリームワークス・アニメーションは、
全米企業「働きがいのある会社ベスト100」の第6位である。

税金体系がちがうとはいえ、給料も最低でも20ドル/時を超えており、4~5年の経験者で35~57ドル程度になる。
これはこちらのCG業界でも平均以上だと思う。
それにしても1/3が税金で引かれるとしても、日本の状況とは違いがありすぎる。
これは向けられた市場の違いもあり同じ土俵で較べるには不公平すぎるのだが、たとえ小さな2Dアニメーション制作会社でもやはり日本よりはマシではないかと思った。
特にこの記事(アニメーターの給料をなんとかしたい!)をみたあとはそう思った。

参照:深夜アニメ減少の打撃、苦悩の映像ソフト業界



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以前も取り上げた記事
俳優は不要? キャメロン監督新作『アバター』の全貌に迫る


これは、日本と海外の市場の違いを明確にあらわしていると思う。
ハリウッドは、ずっと以前から世界市場を相手に映画製作がされており、その製作体制が整っている。
当初はディズニーぐらいしかなかったアニメーション映画も、ピクサーやドリームワークスなどが参入しいずれも成功しているが、これも世界市場を相手にした、その制作体制があったからかもしれない。
日本のアニメーションは、いろいろなところでリポートされているように、国内市場にむけた制作体制であるにもかかわらず、世界市場に通用する物となっている。

市場で見る 日本アニメの潜在力
海外から注目を浴びる日本アニメのビジネス


たしかに、日本のアニメーションやマンガがハリウッドで映画化されている。
しかしそれが必ずしも成功しているとはいえないような気もする。
これは、その作品を知らない人にも、見てもらい楽しんでもらいたいという考えから現時点での世界市場へ向けた物なのかもしれない。
ある意味これは、小説の映画化の過程のように思う。
しかしながら、漫画やアニメではすでにイメージが定着している。
ファンの反感をかったり、雰囲気を変えたにもかかわらず、中途半端に原作のイメージを残したりして、作品としても中途半端になり、それにより原作の持つ良さを失ってしまっているのかもしれない。

大こけしたスピードレーサーも、基本アイデアだけもってきて、まったく違う作品にしていたらいけたかもしれない。製作者側が下手に原作に愛着があると、そのあたりの思い切りも悪くなるように思う。
まぁ原作者側もあまりイメージをかえられると反発するのだろう。
アトムにしても、大きく変えてターミネータ並みのリアリティーある敵とAIの未来感、ロボコップのアクションと、サロゲートのような実在感、このあたりをとりまぜた実写にすればいけるような気がする。
どちらかというと基盤は浦沢直樹のPLUTOでOKかと思う。
どちらにしても今回こけたことで、ずっと昔からでては消えるアトム実写化の話は消えてしまったかもしれない。
日本では今、マンガの実写化がブームだがぜひPLUTOやるなら世界規模に展開出来る質と内容にしてほしい。
ロボコップ予告編(音楽がターミネーターw)
AI予告編(これはピノキオですね)

いくら日本のコンテンツがすぐれているからといって、かならずしも成功するとは限らない。
それは世界市場に慣れたハリウッドでも同じである。
日本が独自に世界市場向けにコンテンツを作ってもそれが成功するとは限らない。
CGで世界市場を狙うならハリウッドから生み出されるものに注意を向けて見る必要があると思う。
それらが、大予算にささえられたパイプラインに頼った物であるなら、それが必要なのではないか。
CG製作の環境を整え、より規模の大きなプロダクションが成り立つように変えていく必要があるように思う。
同じ予算規模にするべきとはいわないが、最先端の技術と、日本の管理技術、勤勉さ、優れた頭脳を結集すれば、ハリウッドより小さな規模でも、十分太刀打ちできるプロダクションを作る事は不可能ではないように思う。

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