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2009年12月28日月曜日

坂口亮氏のブログ「「Articulation skill」の重要性」を読んで

「Articulation skill」の重要性 --- Part.2

読んでてハッとさせられました。
これって自分がいままでLAのアメリカ人の嫌なところとおもっていたところかもしれません。
(以下の事は、自分の狭い範囲での経験でしかないので、どこまで一般的か保証はありません)

まぁ「LAの」ってのは何の根拠もなく、以前働いてたところで、そこの偉い人が「典型的なLAのタイプだ。」「口先だけで何もしない」「いいわけばかり」と言っていたのを真に受けていただけなんですが。

ただ自分の経験から見ても、
「計画性がない(プランに潜む落とし穴を検証しないで考えた理想プランのみを話す)」
「自分の推測が足りなくて起きたミスを、自分が原因とはまったく考えていない」
「そのため、その理由をとにかく並べ立てる。=>言い訳にしか聞こえない」
という感じる事がよくありました。

日本の会社でこんな事してたら一喝されるか、だれもまともに話を聞いてくれなくなります。

ただ、よく見ていると利点もある。
テクニカルな面をよく知らないプロデューサーや社長などに説明するとき、細々とした予測できる問題点をあげて説明しているとあっちも不安になり、「それで結局どうなの?」となります。

それよりも簡潔に述べたほうが相手にもわかりやすい。
そして自分でなんとかできるような予測できる問題で、それが100%出てくる問題でもないなら、最初から話さないほうが、相手が安心する。


そう、今書いてて思ったが、安心したり不安になったりするのは、すべて話し方による。
そしてそれがかなり強く影響する。
簡単に言えば、今その場で話していることが全てでその人の経歴などは問題なくなってしまう。



そういったスキルに長けている人は自己PRもうまい。
「I'm very good for modeling」など平気で言います。
あれやってこれやって、こんなこともできてあんなこともできてとPRしまくりです。
そういう人に限って、技術的なスキルはまぁまぁなのに、たちまち会社の上層部の信頼を得てしまう。

ただし、それがうまく作用するには条件もある。当然と言えば当然ですが
「問題が起きたときに処理できること」
「結果が出せること」

これがない、新卒者などは、口が達者なだけに逆に信頼を失うこともあります。
そしてこれが完全には伴わない人をみてきたので「口だけ達者だ」という印象が自分に残ったのだと思います。
切り抜けるのがうまい人は問題を部下に処理させて自分は何もしない人をみてきました。
それでも口がうまくて、社長から親近感をもたれていたので、疑いもされませんでしたが。

個人的には「うだうだ言ってないで、結果出せば良いんだよ」とは思っています。w
しかし、結果が全てと考えてコミュニケーションを怠り黙々とやっていては、「こいつは自信ないのか?それとも変わり者か?」と思われます。
実際、そうしてきて、信頼を得るまでには時間がかかりました。


まぁよく考えればそうしてくれるなら、まぁ結果OKということにはなります。
実際、問題が起きても日本人社会よりは簡単に許してもらえるケースが多いように思います。

日本だと問題が起きたら「なぜ、それを見抜けなかったのか?」とか、
「もっと良いプランはなかったのか?」となりかねませんが、(今はそうでもない??)
こちらだと、「どう解決するのか?」がまず来ますね。


それにしても、これはアメリカ人の仕事の仕方がよく表れているなぁと思います。
まぁ自分も本で読んだだけです。
約20年前に読んだ東京ディズニーランド建設時の話をまとめた本でした。
(タイトル覚えていないので確証はないですが、おそらく「東京ディズニーランドを作った男たち」だったと思います。)

この本で興味深かったのは、日本とアメリカの仕事の仕方の違いでした。
日本:前もって綿密な計画を立ててから建築を始める。
アメリカ:とりあえずはじめて、不足していることや変更が必要な事はその都度行う。
TDLの建築には、アメリカから沢山の技師を呼んだそうです。
しかし、このあたりの習慣の違いからアメリカ人サイドは、
「日本人はミーティングばかりして何も進まない」
「細かなことまで、ミーティングして決めないと動かない」
とイライラしたそうです。
そしていざ建設が始まると
「日本人はあっという間に、次々と建設していった」と驚いていたそうです。


前にもこの話はしたことがありますが、こちらで仕事上の問題に出くわすと、よく思い出す逸話です。

「問題は最初から、すべて予想できる物ではない。」という考えは双方にあるようですが
日本人:それなら推測して、できるだけ問題を洗い出してあらかじめ解決策を決めよう。
アメリカ人:今わからない問題を議論しても仕方がない、問題が起きたら解決しよう
となるようです。

最初から予測できない問題がおきることはすでにプランの内なんでしょうね。
だから、問題が起きたときに解決できることが重要です。

まぁ「問題が起きるのは人間だから当然」と考えているのか、「まぁいつもあとで問題が起きることはあるから」と習慣になっているのかはわかりません。どちらにしても文化です。


そうすると、ミーティングや人との出会いで、最初の話し合いの時に、いかに自信を持って主張できるかということにかかってくるのもなんとなく理解できます。
聞く側からすれば自信たっぷりに、しっかりとした話をしてくれれば安心できますからね。
特に分野の詳しい話がわからない人には、細かな専門的問題はどうでもいいようです。


これが適切な言葉かどうかはわかりませんが、KISS(Keep It Simple, Stupid)。

相手に不安を与えるような余計なことは言わずに必要な事だけを話せ。
相手にポジティブな考えや印象を残せるほうがいいような気がします。
まぁそう考えればこういう習慣も悪くはないかとは思いますが。


最近は、
「ポジティブなことをあいまいではなく、明確に話せるようにする」
「修飾語はややおおげさに、しかし嘘はつかずに」
を心がけています。


それから、アメリカン人の文化だと言ってもやはり、それは人によって程度の違いはあるでしょう。Lifehackなどの優れた人や、MITの教授などで、そうではない人もいます。

SonyやDDといった大手のエフェクトハウスでは、そのプロジェクトに動くお金も大きいし、人間の数も多いので、無駄なことは出来ないので、私の居るような小さなプロダクションに較べれば、もっと「問題予測」「綿密な計画」に力を入れているとは思います。


しかし、それでも上記の文化的背景は以前存在し影響するでしょう。



実力が100%の人と、実力が70%の人がいれば坂口氏の言う「Articulation skill」がある実力70%の人のほうが信頼を得ることがほとんどでしょう。 
経歴よりもそちらのほうが重視される。
「重視される」というと意図的にやっているような印象をあたえますが、習慣的にそちらのほうが信頼できると「感じる」みたいです。

そしてプロジェクトリーダーやプロデューサーがそういう人を簡単に信頼するタイプだと、もうその人のプランで話を進めて、他のことは聞こうとしなくなることも十分起こりえます。

まぁそういう人の所には、口先だけの金や名誉を求める亡者が集まりやすくもなるような気がします。




坂口氏が言うように、日本人としてこういったスキルを身につけていく必要正は感じます。

特に坂口氏のようにリーダー的な立場をとるにはそれは避けるわけにはいかない。
かといって対立するわけにはいかない。

実力が伴わない口先だけにならないよう、嘘をついたりしなければ、いい。
責任を持って、相手の気持ちを寄りポジティブな方へ持って行けるならその方が良いだろう。


最後に、坂口さんへこの言葉を贈りたい思います。

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」
(With great power comes great responsibility. by Ben Parker)
坂口さん、がんばってください!!

 

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