日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年3月7日日曜日

絵本の音を聴く

少し前、手島 圭三郎 作 「しまふくろうのみずうみ」という美しい版画でつくられた絵本を子供に読んでやっているときに、ある場面で「どんな音がする?」と聞いてみた。

それはフクロウが湖の表面に近づいた魚に音もなく近づき、さっと鋭い爪で捕まえる場面だ。
そのシーンの少し前にフクロウが 魚を見つけ、とまっていた木から音を立てずに飛び立ち、滑空し魚に近づくシーンがある。
 魚を捕まえる瞬間のページには、わずかコンマ数秒でおこるできごとをその前数フレームを断片でみせており、まるでスローモーションのようだ。
最大の見せ場である、魚を捕まえた瞬間は、一切のセリフや擬音がなく、飛び散る水、爪に捕らえられた魚、フクロウの広がる翼がのびのびと描かれている。
この作者の感性には脱帽ものだ、ふつうならバッシャーンとか大きな擬音をつけてしまうところに一切の音がなく、緊張感が持続する。

子供はこの本を何度も繰返しよんでいたので、数秒、眺めさせた後、上記の質問をしてみた。

子供は、うれしそうに「バッシャーン」といきいきと答えた。

その答えは当たり前の答えでありありきたりの答えなのだが、何かが違った。
絵は見る物で音が聞こえるわけではない、しかしすばらしい描写の絵には、音やにおい、触れた感じまで想起させるものがある。
これはまだ幼稚園の子供でもはっきりと感じ取っている。
むしろ、このような幼い子供のほうがより明確に感じ取っているのではないかと思った。

大人に同じ質問をしても、ありきたりな 「バッシャーン」という解答が帰ってくると思う。
それは感じていると言うよりも、こうであるべきという既成概念的な解答であることが多い。
しかし子供からの解答は、その場の空気を感じ取り、音を聴いているものの解答だった。

これからも時々そのような質問をして、絵に耳を傾けて音を聴くということを習慣にしてもおもしろいのではないかと思った。

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