Myaさんは、「全般的に 映像産業中心拠点を築く」という考え方から、現在の岐阜の例やIT産業を中心に、立地条件、起業、マネジメントなどの実情を分析され、推測される問題点を現実的な視点から考察されています。
私(melon)はアーティストということもあり、会社運営や、設立については、まだまだ知識不足で、考えが及んでないのですが、このように、CGプロダクション自体とは離れた企業経営に関する部分を考えることは、会社の成長と存続に大きく関わることなので、非常に重要なポイントですね。
Myaさん、このようにいろいろと調べていただき、まとめるのは大変だったと思います、とても感謝いたします。
では下にMyaさんからのメールをそのままご紹介します。
---------以下が、Myaさんからのメール原文です---------
しらいしさんのブログにてお話を伺ったときから実はかなりの長期、何か案がないか考えていたのですが、シリコンバレーみたいに特定商業集積地域という考え方となると、税制面やら行政面やら法律面やら、私の専門外の知識が多く必要となりすぎて全く建設的な論が執筆出来ず、現在まで到った次第です。
未熟な焼成をお許し下さい。以下はそんな稚拙な私なりに考えた論ですが、この文章の扱いは私の案として好きに扱って戴いて構いませんので、せめて叩き台になれば幸いです。
さて、ハリウッドに限らず「全般的な映像産業中心拠点を築く」という考え方で良ければ、ある程度は前例から纏まった形を提示出来るのですが、……それで良いでしょうかね?(コレだと産業の話ではなく起業の話に近くなりますから、産業界の在り方を論じることとは微妙に方向が異なってしまうのですよ)
この考え方ですと企業集積地ではなく業界集積地となりますから、全て経産省主体ではなくインフラ面で何処かの地方自治体とも並行で二、三と協議した方が良いでしょう。
その上で経産省には税制面と全国規模での就労支援、宣伝広告をお願いする形になりそうです。
もう少し具体案が欲しいですね。
前例としては私の覚えがよいものとして、岐阜県のスイートバレーやソフトピアジャパンがあります。
情報処理産業にてこの規模で団結して今も操業している官民一体の起業集積地帯は私、岐阜くらいしか知りません。
行政姿勢。
【ぎふIT・ものづくり協議会(スイートバレー)】
http://sweet-valley.jp/
【岐阜県ITものづくりネットワーク】
http://it-mono.jp/
施設。
【ソフトピアジャパン】
http://www.softopia.or.jp/
【岐阜県テクノプラザ】
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11338/vr/index.htm
人材育成。
【情報科学芸術大学院大学・国際情報科学芸術アカデミー】
http://www.iamas.ac.jp/J/index.html
※この学校が面白いのは、専修学校(国際情報科学芸術アカデミー)と大学院修士課程(情報科学芸術大学院大学)だけ併設という点です。中間に位置するだらけた大学生はいらないという事ですかね?
院の方も確か「出願に大卒資格が必要ない」ので、場合によっては専門学校卒の方が「修士の学歴を得るため」だけに通うのもアリだと思います。外国の方は博士卒の方もゴロゴロいらっしゃるそうですから、対等に渡り合おうとなるとやはり肩書きもある程度は必要かも知れません。TOEICも取るようなカリキュラムだと良いですね。
最後にインフラ方面。
【岐阜情報スーパーハイウェイ】
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/shw/index.html
※岐阜県はこっそりと南は美濃から北は飛騨まで、県全域を周回するリング型の高高度通信網を整備しております(「こっそりと」というのはつまり、宣伝が足りないともいえますか)。
完全自治体所有の上位通信網だったはずです。敷設網を見ると、完全なリング型じゃくややスター型も混じっている感じですね。
東海地方にある情報系の大学勤務者もこちらにはかなり噛んでおり、産学官の三位一体で営む情報処理産業のモデルケースとしてはかなり踏襲出来ると思います。此処に全国ネットワークを加えることが或いは出来れば何とか……。テクノプラザも割と業績が良さそうで、各務原に第二集積地帯が現在、建設中です。
【テクノプラザ2】
http://da.gifu-djr.or.jp/frame/tp2/top.html
まだ本腰を入れての入居企業は決定していないと思うので、入居の検討対象に入れる価値はあるかも知れません。何処に企業地を敷設するか、はたまたどういう体制を築くか、どの自治体と協議するか、様々な視点を織り交ぜてハードの上でソフトの上で、柔軟に施策為されると宜しいかと存じます。
国を跨がって国境をシームレスに活動なさるなら、アクセス時間が一時間以内の距離に国際空港があると便利ですね。大垣や各務原は東海環状道やセントレアに乗り入れる名鉄線が走っているので一応、条件は満たしておりますか。
後は関空、羽田、成田、新千歳、博多といった空港がありますが、東京近辺にあるメリットが全く無いなら、関東の東京近辺は候補地から外した方がよいかと存じます。但し、その条件で人が集まるかですよね……。
しらいしさんに東京のインキュベーターの存在を教えて頂いたのですが、調べてみたらやはり東京都が営んでいるインキュベーターは所詮、インキュベーターでして、相当にスポット的な産業のみしかメリットはありません。
さて、もう少し私が懸案材料としているお話をしますと、一定の成熟産業である上での情報処理産業は割と魔法的側面と詐欺的側面を併せ持っておりまして、ソフトウェアである限り一度の設備投資を行うと後はランニングコストのみを賄えば、他は社屋と人件費しかかからない金の卵を生む鶏だったりもします(製造業すれば製造コストが群を抜いてに低いです。分類はサービス業ですけれどね)。
その分、実物がない産業の熟成は日本が最も不得手とする所でして、何せ延々とモノしか扱ってこなかった国ですから、どうも民族的にそういった方面での商売素養に欠ける気がするのですが(世界初の株式会社設立はオランダ、植民地経営のための東インド会社です。博打の源流ともいえる保険の発祥もやはり西欧)、つまりはマネジメントを誰がやるかというお話です。
キチンとした事業計画書が出せないとなると今日日の銀行がおいそれとお金を貸してくれるわけがありませんから(銀行も貸付利子で御飯を食べている企業体なので、当然といえば当然なのですが、モノを扱わない情報産業に日本の銀行は特段、厳しいです)、出資は政府系の銀行か自治体系の予算を入れることとなるで・・(文字化けのため省略)・・・ しかし、ハリウッドともなると常に最新の設備を整えなければなりませんから設備投資費も馬鹿になりませんし、原価償却期間が過ぎないうちからの設備乗換も検討しなければなりませんから、会計泣かせなのは確かでしょう。
入れ換えた中古設備品の卸先ですとかそもそもリースにするのかですとか、やらなければいけないことはかなり多いのですが、どうしてかファイナンスやらの悪印象からか「技術集団に経理営業専業はいても無駄!」という思想が根強い様子なのですよ。
本来なら従業員もせめて自社の経営状態くらいは把握出来るだけの経済知識と業界知識は必要不可欠だと思うのですが、割と軽視されがちです。
この点から、逆に技術面では割と大丈夫ではないかと思っているのですが、寧ろ経営面で音頭を取ることが出来るお方が居るかというのが私、一番、心配する所です。
この辺りは実際、ハリウッドに従業なさっているMelon様が最も適正の高い人材かとは思うのですが、やはり経営畑出身の人材が欲しいという要望はあります。幾ら特定業種を優遇する為の予算が組まれていたとしても、予算配分の段階で回収の見込みがある事業であると出資側にプレゼン出来なければ開発予算が付きませんから、経営は重要です。
というわけで、技術面だけでなく経営面や産業面でも、この辺りの問題をオールグリーンにして各方面に働きかけると宜しいかと存じます。基本、「長期スパンでリターンを保証出来る資料を出し、そこに到るまでの経費と受注取組、内部的な企業体制の構築」といったコンサル的な手法が地盤が盤石となるまでは続くでしょうか。
それでは稚拙な文章、誠にお目汚し致して申し訳ありませんでした。
この文章は改変しない限りで自由に利用して頂いて構いません。
しかし、文責は私にありますのでこの文章を公開するに当たって何かしらの問題が発生した場合、その責は全て私が負うモノとします。それに、この文章は「アイデア」とは到底いえぬ「手法論」ですからね。
出来ればどなたか、更に捕捉して下さることを望みます。
私の母校は割と人材が多彩なのですが、技術者だけでなく大学の都市工学者、自治体経営学者、公共政策論学者、経営会計学者といった都市計画、都市財政、経営学者も巻き込みたいですね。
何か御座いましたら、私が可能な範囲で最大限のお返事させて頂きますので、ご質問など気軽にお寄せ下さい。
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