日本のCG業界は、パチンコによって支えられていると聞いていましたが、ついに日本を代表するSFX/VFX会社「円谷プロダクション」がパチンコ会社傘下に入ることになるようですね。
これからいろいろな議論が出て来るか、それとも当然の成り行きと見なされるか、個人的には注目しています。
円谷プロダクションは
2007年10月にTYOの子会社となり、かつてのミニチュアからCGへの移行が進んでいることを明かしています。
2008年1月にCF/VFXを手がけるビルドアップ・エンターテイメントが、円谷プロダクションの特撮製作セクションにり、その後はバンダイナムコグループの資本参加などがありました。
今回の発表で4月上旬に、TYOは実質、円谷プロを手放し、フィールズ51%、バンダイ49%の株式比率となります。
いままで日本のCG業界はパチンコ業界からの仕事で成り立っていることはいろいろなところで散見していましたが、その資本力の強さが映画業界よりも強いことを見せつけてくれた一例かもしれません。
もしかしたら、このままパチンコ業界が映画製作に乗り出してくれたら、日本映画界、CG業界は安定するかも知れませんねw
パチンコ業界が資本に入ったからと言って、パチンコ色を全面に押し出してくるとは思いませんので、資本提供や、広告、パチンコ台への応用などを考えれば、かつてのスクエアがゲーム業界から映画製作に乗り出したように、パチンコ業界が映画製作に乗り出してくる可能性もないとは言えません。
ただ、30兆円産業と言われたパチンコ業界もかげりがあるようで、そんなことは起きないかも知れません。
<参照>
そこ、つっこみ処ですから:映像産業とかカジノとか
CGトラッキング:日本でハリウッドVFXを製作:経済産業省へ意見提出
J-Castニュース:テレビゲーム開発からパチンコ業界を目指す 楽しく安定した生活を望むクリエイター
マイコミ・ジャーナル:CG・VFXクリエイターは儲かるの? -CG・VFX業界の雇用形態と平均給与
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これから先、ユーザーのニーズがますます多様化していくことは十分予測できる。
車業界、家電業界がそうだったように、その影響はゲーム業界やパチンコ業界にも入り込んでくるだろう。
それは、おそらく映像業界でも同じで、すでにDVDにはその傾向が見られる。
Youtubeなどのネット映像配信で、その傾向には拍車がかかり、現在のハリウッド大作はこれから苦戦を強いられる時代になってくるかもしれない。
10~20年ぐらいは大丈夫かも知れないが、これからは大作自体がニッチなニーズになってくるかもしれない。
というよりも大作というジャンル自体がなくなっていくかもしれない。
ジョージルーカスもこれからは大予算映画の時代は終ったと言っている。
このブログでよく引き合いに出す「アルビン・トフラー」の代表著作「第三の波」に書かれた「脱産業社会(Wikipedia)」は間違いなく映像業界に浸透しており、Youtubeは「生産消費者(Wikipedia)」の具現ともいえる。
「第三の波」を読んだのはもう20年以上前で、読んだ時は難しかったのであまり理解しておらず、「第三の波=情報化社会(コンピュータが普及した時代)」という認識しかなかった。
しかし、インターネットが一般に普及するのはもっともっと後だったこともあり、読んでいる内容に実感もなかった。
今、いろいろな書評やTV番組をみると、この本にはもっといろいろな情報が詰まっており情報化社会に移行した後に社会や経済がどう変わっていくかと言うことまで書いていたことを知って、その予言力には驚くばかりだ。
他の経済学者や未来を予測する学者と違い、ことごとくトフラーが言っている通りに成りつつあるような気がする。
DIAMONDオンラインの「アルビン・トフラー 未来学者の中の未来学者」に以下のような記述がある。
3部作を通じて探究され『パワーシフト』で最も強調されているもう1つの発想は、トフラーが「非大量化」(de-massification)と呼ぶものだ。この言葉は、20世紀後半に隆盛だった「大量」解決法とは反対の趨勢を意味している。彼は、マスマーケティングがニッチマーケティングやミクロマーケティングに道を譲り、大量生産が時とともにカスタム生産に取って代わられ、大企業が小さい自立的な単位に分かれるさまに着目している。政治や国家という概念でさえ、諸般の事情に精通するようになった個人の意識の高まりと、とどまるところを知らない情報技術の発展によってもたらされる「非大量化」の波にさらされるだろうとトフラーは考えている。
http://video.google.com/videoplay?docid=-4771029425568947236#http://video.google.com/videoplay?docid=-307537355744872494#
現在のハリウッド映画自体がマスプロダクト的だが、それさえも、アウトソーシングやフリーランスが主体であり、これはトフラーの言う「生産消費者」の範疇になる。
そしてCGがより簡単になるにつれてノウハウを身につけたフリーランスやアウトソーシングの会社が自分の映像を作り出すようになってきたのはYoutubeをみればわかる。
このようなことから単純に考えると、これから先、映像産業もニッチなものが増えてくる、もしかしたらそれが主流となるかも知れない。
現在でも一昔前に比べて、ニッチな映画が増えてきた。
これにもっと拍車がかかるとしたらどうだろう。
一番の問題となるのはCG制作費のことで、いくら映像作成が簡単になったとはいえ、まだしっかりしたCGを作るのには費用の問題があるため、ハリウッド大作が幅をきかせてる。
マシンパワーの向上、ハードウエア・アクセラレーションによるリアルタイム・レンダリングやシミュレーションの向上がすでに実用段階になり、様々なソフトや、ハードの開発による自動化も進む。
まだハリウッド大作に十分匹敵する映像がつくれるかどうかはわからないが、映像製作コストはこれから確実に下がっていくだろう。おそらくこれから5~6年でかなりさがると個人的には思っている。
そこからくる個人や企業の収入減、CG制作の簡便さの向上を考えると、ノウハウをもった人達は、自分たちの収入をあげるために独立した映像製作をするようになることも考えられる。
実際に、デジタルカメラの低価格化とあわせて、これはすでに起きている。
これらの流れから推測すると、低予算での映像製作、ニッチなニーズになれてきた日本映画会のこれからは明るいかもしれない。
しかし、今まで大予算ができたCGが低予算でもできるようになることが即、優れた質をもった映画が作れることには成らない。
押井守が言っているように、予算の制限が取り払われたとしても作れない物もある。
一因として、大予算映画の映像製作者の目(良い映像と悪い映像を見分ける目、映像製作の指針となる。)が日本には育ちにくいということも考えられます。
「ハリウッドVFX・・・」で得られる「ノウハウ」とはこの部分を指しています。
みなが注目する部分は、大きなパイプラインや技術的な開発部分ですが、むしろここの細部を見分けることが出来る「目」が重要なノウハウの一つだと思っています。
いままでは優れた見をもっていても、予算がなければ生かすことはできませんでしたが、これからは違います。しかし今準備しておく必要があると思います。
LAで働いていて思うのは、優れた目をもつ人はかなり細部にいたるまでの、違いをはっきりと見分けることができるということです。
働き始めて1~2年のアーティストだとVFXプロデューサーやスーパーバイザーに遙かに及ばず、指示を受けても、何が違うのかわかってないことさえあります。
ハリウッド大作は、この細部に至るこだわりが集まって出来ていますが、これからは低予算でも効果的にこのこだわりを実現出来る必要があるとも言えるでしょう。
この「目」については、わかりにくいかもしれませんが、「Working as a Visual-Effects Artist(VFXアーティストとして働く)」という記事にそのことがもう少しくわしく書かれています。
教育/資格:アニメーションとビジュアルエフェクツの教育プログラムは多くの大学で提供されていますが、学位や資格は求められていません。
MovingPictureのLA支部のマネージング・ディレクターであるMark Tobin氏は、以下のように述べています。
「もっと重要な事はアーティストとしての細部(ライト、影、テクスチャーなど)を見る目です。」
「あなたは技術的な知識を教えることはできますが、すばらしい目をさずけることはできまsねん」
「鍵となるのはドア(業界)に足を踏み入れることです」
MovingPictureのLA支部のマネージング・ディレクターであるMark Tobin氏は、以下のように述べています。
「もっと重要な事はアーティストとしての細部(ライト、影、テクスチャーなど)を見る目です。」
「あなたは技術的な知識を教えることはできますが、すばらしい目をさずけることはできまsねん」
「鍵となるのはドア(業界)に足を踏み入れることです」
さて、そういった低予算映画と大予算映画の垣根が小さくなるころには、低予算映画を作成できる人や会社は、世界規模で今よりも遙かに数が増えている。
ニッチを目指せば、競争力が低いとはいえそれでも競争は高いと思う。
それに日本の作品は多少、ニッチすぎて外国人にはうけない物も少なくないとは思う。
ニッチを目指す低予算映画が台頭したとき、今ハリウッドのアウトソーシングを受注している各国は、そのノウハウを生かしてくるだろう。
日本はそのときもまだ「低予算だから」と、言い訳を続けるのだろうか?
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