日本でハリウッドVFXを制作! 「経産省アイディアボックス」 結果:  
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2010年1月1日金曜日

税優遇措置とは(3): 日本でVFX

実は今回のことを考えるきっかけになったのは以下のページを読んだことに端を発します。

日本経済の再生~ポール・サミュエルソン(米マサチューセッツ工科大学 名誉教授)
上記の記事の2ページ目に以下のような文面があります。
日本が今後も経済を成長させ続けるためには、現在のように輸出主導型の成長に固執するのをやめ、内需を拡大することも必要でしょう。
それには、赤字国債の発行によって財政支出を増やすとともに減税を実施することです。


「減税」
このことばが現在のカナダの状況と結びつきました。


通貨価値の高いイギリスでさえ、税優遇措置でハリウッドVFXの仕事を大量に得ている。
日本にもそれが可能ではないのか?ということです。
こちらのVFXプロダクションで働く日本人には、日本のVFX業界の成長を願う人が多くいます。
私もできることなら、イギリスやカナダと同等の事が日本で起きてくれればいいのにと思います。


また3ページ目にある言葉
今の米国に見習うべきことはありません。
まぁ経済に関して述べていることですが、
この言葉がきっかけとなり日本の「独立」について考えました。


「日本の独立」と言うのは、日本のVFXに対する考えのことです。
日本は多くのことをアメリカに追いつけ追い越せでやってきています。
VFXも例外ではなく、いまだに
「ハリウッド映画並み」「ハリウッド映画を超えた」という宣伝文句が幅をきかせ、
映画監督もハリウッド並の物にしようと意気込む人が存在します。
ここには「ハリウッドが最高でそれを超えたい」というポジティブな面があるのですが、裏を返せば「親の威信」から逃れられない子供のように「たえず脳裏にハリウッド」があり、精神的に依存さえしている可能性もあります。
そこから「精神的に独立」できないかということです。

ハリウッドの仕事を得て「ハリウッド映画のような物を作りたい」という考えではなく、「ハリウッドに売りこみできるものを作る」という考えに至ることが出来ないかと言うことです。
いわば対等の立場に立ち、さらにハリウッドを牽引していくほどの力を持てないかということです。
ハリウッドに認めてもらおうとするのではなく、VFXの技術を独自に開発でき、対等の立場以上にたつことで初めて親を超えることが出来るのではないでしょうか。


残念ながら映画制作全体のパイプラインをみたときに、資本力の規模が影響してか、体質、そこから生み出される結果、共に違います。
おそらく日本が生み出す物は、ハリウッドからみて、アニメーション意外はさほど魅力的ではないかもしれません。
ハリウッドの仕事ができるほどの体質は日本のプロダクションには整っていないと思います。
精神的に独立した状態になるにはまだまだやるべき事がたくさんあります。
しかし、税優遇措置を作り上げるよりは、まだ可能性が高い気がします。
不可能ではないかもしれません。

もちろん、イギリスやカナダのようにハリウッドから仕事を得て、日本のプロダクションでVFXを作り上げるということができるようになるには、税優遇措置など、政府の後押しがあり、さらにいろいろな方面での多大な努力があってこそ実現できる話です。
また、実現できてもそれが安定して長続きするかどうかはまた別の話です。


イギリスやカナダと日本を比較するとき、VFXだけを考えていては違いは見えてきませんが両国は、日本よりも映画産業が発達しています。
イギリスには名作と呼ばれる映画も多く、昔はハリウッドに勝るほどでした。
その他、ハリウッドとも映画政策での協力体制を整えていました。
VFXの仕事ができるのも、そういった背景があるからでしょう。

そのあたり日本は、低予算映画がほとんどで、ハリウッド映画の撮影を日本で行うことは、その作品が「日本の建築物や風景を撮影する必要がないほとんどありません。
日米共同制作といった作品もありますが、ほとんどは日本側は日本独自の作り方を超えることは無いと思います。(実写映画の話でアニメのことは考えていません)


これに勝る物がないとイギリスやカナダに勝てるのは難しいと思います。
また人件費が高いことから人海戦術の作戦は、インドや中国には勝てません。


日本には、昔から「匠」や「職人技」といった言葉があり、現代でも使われています。
他を圧倒する卓越した技術と研ぎ澄まされた精神ですばらしい結果を生み出します。

ここには、日本独自の究極への「追究精神」、強いこだわりがあると思います。
NASAがロケットの部品を日本の町工場に依頼してきた逸話は有名です。
そしてMade In Japanの信頼性を世界に広めたのもこの精神から来た産物だと思います。

そしてハリウッドで成功してきた日本人アーティストの方々の多くはそういう精神を持ってると思います。
これは潜在的な物ですが、唯一の武器であるように思います。


もちろん、精神だけでは、結果を生まれてきません。
そこに適切な技術やノウハウが必要です。
技術はいろいろなチュートリアルや経験者から学ぶことができます。

英語の有名チュートリアルを日本語化」もその一つだと思います。
これにより「技術の底上げ」がある程度見込めるのではないでしょうか?

そしてノウハウについては、今ハリウッドで活躍している人達から吸収する必要があります。
そういった人達を日本に呼び寄せ、ノウハウを生かした作品を作る必要があります。
これは日本人に限らず、英語圏の人間でもかまわないと思います。
税優遇措置が、そられの人にこちらで働く以上の高給をもたらすならそれは可能です。

あとは作品です。
カナダやイギリスに支社を作り、そこで人材育成と実際のハリウッド映画の仕事をし、デモとしてみせられる作品を作り続けると、両方の問題が解決できるかもしれません。
(夢物語ですが)そういった会社を設立できれば日本にいても楽しいでしょうね。)

そして、これは冒頭の「ポール・サミュエルソン」氏が述べているように英語が使える日本人を有効活用出来る一つのアイデアとなるかもしれません。

もし、これにより日本がハリウッド映画に対して、イギリスやカナダと対等に戦えるなら仕事がとれるようになるのではないかと思います。
そしてそれは、それにより数億円がアメリカから日本へ入ってくることになります。

フィギュアの浅田真央さん一人がもたらすとされる経済効果は100億円です。

一億ドル(100億円)分のVFXの仕事がいきなりとれるとは思えませんので、仮にに10億円として、政府はそれに対して優遇措置を検討してくれるでしょうか?

  

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