やっと昨日アバター(IMAX)を見に行った。
平日の昼間、しかもバケーション空けなのでそれほどいないかと思ったが、ほぼ満席状態。
しかしながら購入したミネラルウォータが合わなかったのか、始まって10分ほどで猛烈な腹痛におそわれ、映画どころではなくなった。
体温が急激に下がり、自分でも顔が白くなって冷や汗がでてるのがわかるぐらい。
とりあえず、貧血を起こさない程度まで復活するのを待ってトイレ直行。
復活できたが、ジェイク(アバター姿)が最初にネイティリの部族と接触したシーンからはじめてネイティリが乗るバンシーに出会うところまでは、見逃してしまった。
やっぱり3Dでみると見え方が気になって、ストーリーに集中できない部分があった。
なんとか集中できても、スピードが早い動きが、フリッカして見えて、注意が取られてしまう。
それに2時間をすぎると鼻のあたりが痛くなってきて、眼鏡をかけているの苦痛になる。
自分には眼鏡式の3Dは長時間はむずかしいと感じた。
今、コンタクトレンズを使っているのも眼鏡を使うと耳や鼻が痛くなってくるからだ。
同じ理由でヘッドフォン、イヤフォンもだめ、従ってiPodももってない。
ストーリーはともかくCGは、すばらしかった。
未だCGの領域を脱し切れていないという批判も見たことがあるが、それでもいままでのCG作品に較べたら時代をひとつ先へ進んでいるように感じた。
モーションキャプチャもすばらしく違和感をあまり感じなかった。
ジェームスキャメロンがクローズアップの質感を出すのにこだわったというだけあってフェイシャルキャプチャーもすばらしい。
ただ、どこかでそのままのデータを使うだけでなく調整は当然必要、手付けによるアニメーションの調整も行われたということは読んだことがある。
(ジェームスキャメロンはすべてのデータをキャプチャーしたといっているが、アニメーターは手付けでやっていると言っているどちらが正しいのか? 答え:どちらも正しい といった内容だった)
本当にすべてCGで作られているのか?特殊メイクを使っているのではないかと疑問に思うほどだった。
すべてがCGだとすれば、皮膚の質感、目の表情、細かな皮膚の動き、表情筋の動きどれをとってもここまでのものは無かったと思う。
しかしながら、これを実際の人間に使っていたらやはり不気味の谷を出ることはないと思う。
ナヴィの異星人だからこそ、不気味の谷を感じにくかったのだろう。
また、バンシーをはじめとする数々の生き物もよく作り込まれており、本当に生きているような感じを出すための質感や、細かな肉の震えやめくれ上がりといった細かな演出がすばらしい。
もうどんなセットアップをしているのか想像もつかない。
生き物相互のインタラクション、水や細かな灰や砂粒とのインタラクションもすばらしいかったが、皮膚表面のパーティクルとのインタラクションに関しては、あともう一歩なにか欲しいという感じはした。
皮膚のテクスチャーもかなり良かったが、きれいすぎるのか若干CGっぽさを感じる事はあった。
どこまでがCGでどこまでがミニチュアかわからないが、ジャングルの描写はすばらしい。
細部まで気を遣って作られており、空気感を感じられるほどリアルだった。
巨大な木は、RPGのウォークラフトを思い出した。
コンセプトアートでよく異世界を描いた物はある。そしてそれを映像にした物もある。
しかしながら、コンセプトアートの領域をこえて空気感まで伝える物は記憶にない。
アバターはそれを達成していると思う。
難を言えば、アバター公開前の広報活動が、大げさすぎたと感じる。
----------------------------------------
さて、ジェームスキャメロンのアバターに関するインタビューは今やいろいろなところで目にするようになったので、いくつか気になったところをまとめておこうと思う。
(堀 公夫氏によるブログのエントリ「【NO.2832】3D映像がビジネスを変える」より)
「技術は、いくら新しかろうと、ユニークであろうと、それ自体は世の中において何の価値も存在意義も無い。
新しい、ユニークな技術が世の中において価値や存在意義を生み出すのは、該当技術の使い手(価値創造者)が、該当技術のみが醸成できる問題解決とその先にある感動を信じながら有形無形のモノづくりに命を賭けて打ち込んだ時である」 by ジェームスキャメロン
これが今Melを勉強している理由であり、CGの技術を苦しみながらも向上させていく理由なんだなと思いました。
しかし「タイタニック」作成後に公言したことを、実現するために着々と10年もの月日をかけて、開発をすすめていたんですね。
会社を持っているとはいえ、その間に作品を作っていないので、すべて自社からの出費だと思いますが、「タイタニック」で成功してなかったらあり得ませんね。
今思うと、「Ghost of Avys」などの3D作品は、アバターのための布石だったんですね。
しかし慣性までに12年とは...、信念と人間に対する深い造詣がないと続けられないですね。
(クローズアップ現代「3D映像がビジネスを変える」)
NHKのクローズアップ現代「3D映像がビジネスを変える」の全ダイアログです。
(「本誌特集でジェイムズ・キャメロンとの12年の空白、埋めてください」)
「SFというのは、人間であるということがどういうことかを認識させるジャンルである」がキャメロンのSFのひとつの定義
ああ、なるほど、Alien2はそういうことかと納得出来ました。
(【映画業界研究】俳優は不要? キャメロン監督新作『アバター』の全貌に迫る)
日本で今年9月に調査した結果、日本人は単なる戦闘シーンにはあまり感動せず、『よくあるCGの戦闘シーンでしょう』という反応を示すことがわかってきた。
日本人にとって大切なのは、戦闘ではなく、戦闘に至る理由。なぜ、主人公が戦い、なぜ悩んでいるのか? そうした説明があると、すごく興味を持っていただけるんです。
中瀬氏が大切にしているのが、こうした物語を伝えることだ。「先ほどもお話しした調査の際に、映像を10代~50代に見せたんです。彼らの反応で共通していたのが、物語設定を説明したら、多くの方がものすごく見たいと仰ってくれたこと。
「アメリカ本社のインターナショナル部門も、他国とは異なる日本の特殊性を理解してくれている」
ジェームスキャメロンの言葉ではないですが、日本の特異性を語っています。
ジェームスキャメロンの「バトルエンジェル」をはじめ、多くの映画制作者が日本の漫画やアニメに注目しているのは、やはりこのストーリー性なのでしょうか。
幼少期から絵本に親しんだり、良質のTV番組も多かったこともあげられると思います。
また、マンガ文化で、大量のマンガの中で生き残れるのは良質のストーリーを持つ物だけなので、作家側は良質のストーリーを作る事を心がけ、見る側も良質のもに触れる機会が多い。
そしてそれらが、Tvドラマの制作側や見る側にも影響しているとも言えるかもしれない。
絵本なども日本語に訳される物は、多く、種類も豊富に思います。
ちなみにこちらで日本だと普通に発売されている「イエラ・マリの絵本」も、こちらでは一部しか出版されておらず、見つけるのはかなり苦労しました。
また四季の差を感じる事から普段から感情を刺激される部分がおおく、わびさびといった微妙な変化を大切にする文化も影響しているのかもしれません。
これに関して、Wired Visionの「米国でも『少年ジャンプ』が人気」を書いた著者も同記事の中で、以下のようにのべている。
映画関係者ではなくてもストーリー性の差は、明確に感じ取っていることがわかる。
記事の内容からすると、子供も例外ではない。
筆者は、辛抱しながら数号を読んだところ、すぐにストーリーがかなり見事だということに気がついた。
友情や、悪役の複雑な性格描写などを楽しんだ。ところどころにはすばらしい絵が描かれている。ワイルドなコンセプトも気に入った。
確かに日本人は他国の人と比べると『派手な演出や戦闘シーンだけの映画』を嫌う傾向があるような気がします。
返信削除演出&映像が良い=良い映画にはならないんですよね。
前に年配の知人に『最近の映画は「どうせコレもCGだろ」って思って見ちゃうからつまらない』って言われた時は大変ショックでした。。
それに人生かけて生きてるのに・・・笑
ストーリーがイマイチな作品は確かに残念ですが、最近3D映画をよく『体感』しに行くようになり、映像だけでも映画館に足を運んで高いお金払う価値あるな~と思うようになりました。
特に3D映画だと日本の映画館では珍しいことに、観客が「おぉ~!」とか言ったりするんですよね。
なんかそれが個人的にすごく嬉しかったりします^^
長文失礼しました。
こんにちは、まめさん、コメントありがとう。
返信削除自分も10代、20代のころは派手な演出と戦闘シーンがあれば満足してたんですが、今はもう見飽きたという感じですね。 たぶん、一般の人も同じで、だんだん目が慣れてくると偽物は分かっちゃっうんでしょうね。
初期のCGがそうだったように、今のCGもCGくささが目立つようになり、そのうちアバターほどのレベルでも見ていられないぐらいになるのでしょうか?w
手品と同じで種がわかれば他に見る物はストーリーだけ、それなのにどんどんメディアで種明ししていますからね~。
3Dによる体感は、唯一残された楽しみだったのでしょうかね。
そういえば今回アバターを見に行ったときに思ったのが珍しく観客が静か。
もちろん、内容的にそれほどさわぐようなところもないんですが、みんな画面に食い入るようにしてみてました。やはり臨場感の違いかなと思いました。